第25話「エルフの村」

…ようやく着いた。ここ、エルフの村


村とは言えど、ちゃんとした街並みでもある。茅葺屋根とは言わないで、コンクリートで作られた家が多い


門をくぐって街の中に。馬車は止めておいて街の人含める8人は降りる


恵たち一行はエルフの街並みを見て驚く。イメージとは違う、まるで王国にいるような街並みだった


おそらく文明開化があったのだろう。きっとエルフの村とは言わずエルフの街と言っていいのだろう


「私が案内しますので、着いてきてください」


さっき助けた街の人が先頭に歩く。本当にとても良い街並みだ


街を歩くと通行人に色々と言われる。当然だ。人間が歩いているのだから


「あ。人間だ」「こんなとこに人間が来るとはなあ」「何かしでかさないかどうか」


…そんなささやかな声だ。歓迎してるのか拒絶しているのかはわからない。ただ来ても文句は無い。と言った感じだろう


「エルフの街並みってほんと静かな感じね」


「私、エルフの村にはそこまで来てないけど、思ったより悪くはないけどね」


杏、リリアナが言う。一方のサンダースはあまり良い表情をしていない


「…」


リミットはちらっとサンダースの顔を見たが、怖い顔をして少々雰囲気が悪いとは思った


「ここが、女王のいる屋敷ですよ」


女王のいる屋敷。ここがトップがいる場所か。恵たちは案内してくれた人にお礼を言う


「ありがとう」


「いえいえ。女王には失礼のないようにしてくださいね!では!」


そう言うと街の人は去っていった


7人は早速入ろうとした。門番が早速対応をする


「私恵っていうの。女王はいないかしら?」


「はい。少々お待ちください」


門番は中に入り、ちょっと経つとまたもどってきた


「どうぞ」


7人は入っていった。機嫌の悪そうなサンダースを入れて


その屋敷の中というのもきれいな屋敷だった。ステンドグラス、シャンデリア、高いものだらけだった


玄関を通り入ると早速その屋敷のメイドが案内する


「恵様。こちらでございます」


1階の場所を案内されてメイドが広いドアまで行く。サンダースの顔がますます不愉快な顔をしていた


「ささ、女王がお待ちですよ」


がちゃ…広い居間まで通された。そこは王の間。と言っていいのだろう。そこには鎮座する女王と横に人間がいた


その女王、きれいな表情をしていてきれいなドレス。きれいなロングヘアをしている


恵たちは女王の近くまで来た。女王は全く表情の変化はない


「…待ってました恵たち」


「あれ?私たちのこと、わかるの?」


そう言うと横にいるエルフが言う


「貴女たちのことはもう王国から伝わっていますわ。だから名前も全員わかります」


「えっへっへ…ようこそ…アタシは嬉しいなあ…」


女王の横にいる人間、一人はおしとやかだがもう一人はなんだか変だ


「でも…サンダース。貴女が来たとは」


女王はどこかきつい口調で言う。恵の後ろにいたサンダースは大きな声で荒らげて言う


「母上!!私は、あんたに絶対服従なんてしないからな!!なんでそんな偉そうなんだ!!」


…母上!?恵含む全員がびっくりした


「え!?アンタこの女王の娘なのかい!?」


カロフトは驚いて言う。それを聞いてるのか聞いてないのかわからないが、サンダースは更に言う


「私は…あんたがいたからここを出ていった…そして今も全く変わらない…変わらないからこそ!このエルフの村は腑抜けどもが多いんだ!!」


な…!サンダースの機嫌が悪かったのはこれが理由だったのか


「ね、ねえサンダース。あまり女王に言わないほうがいいですよ」


「そうだよー。どこが悪いのサンダースお姉ちゃん?」


女王は静かにうなずいて、横にいる人間は黙って聞いていた


「確かに娘の言う通り、変化はありません。貴女が家出した理由はわかります。でも、母として黙っていません!!」


「好きなだけ言え!!私の妹チャイニー!風の人コルス!あんたらもどうしてこんな女王の側にいるんだ!」


今度は女王の横にいる人間に質問を大きい声でぶつけてきた。妹?風の人?


「わたくしはあくまでも母上のもとにいたいからです。姉上のようなことはいたしません」


「へっへっへ…そりゃあ、女王の側にいたほうが色々とできるからさあ…アタシは辞められないんだよねえ…へへへ…」


チャイニー、コルスと呼ばれる人は質問の答えた。そう言うとサンダースは更に声を荒げる


「ふざけるな!!もう母上とはいられない!!ここへ来て悪かった!!みんな不幸になれ!!」


そう言うとサンダースはドアをバン!と言う音を出して出ていった


カロフトとリリアナは反応して出ていったサンダースを追いかけることになる


「待ちな!サンダース!」


「お、おーい待ってよー」


…残った恵たちと女王と側の人はサンダースの態度に色々と思うことがあった


女王はぽつりとサンダースのことを言う


「…サンダース。私の娘は変化の無いこのエルフの村を嫌ってました。雷の極意を身につけていたのも家出をしたかったからです」


「…というと王国の兵士になったのも、貴女が原因ってわけ?」


恵が思ったことを言う。女王は深くうなずいていた


「姉上は本当に、嫌いと言ってここを飛び出したのですわ」


「クックックッ…家出なんてしないほうが彼女的にはよかったんじゃないかねえ…」


チャイニー、コルスは言う。なるほど。だから嫌な顔してたのか


そんな重い空気になってたらメイドが急いでここへ来た


「大変です!血漿族が…血漿族が現れました!」


何!?血漿族が!どうしてここに!


「なんと!…コルス!」


「へえ、アタシの出番ですかい!?」


「貴女は恵たちと共に血漿族を倒して!」


コルスと呼ばれる人間は女王の命令に従う


「アタシに任せんさい!」


「コルスって言うのね。よろしくね」


コルスは恵の側まで行く


「へえ、恵さん!アタシは風の力で血漿族をズタズタにしてみます。楽しみにしてくだせえ!」



サンダースはエルフの村の郊外にいた


あんな悪女の女王なんて…!どうして私はあんなのと一緒にいたんだ…!深い心の底で憎しみの気持ちになっていた


そう思っているとカロフトが来る


「おーい!サンダース!」


「…カロフトか」


後ろを向いてカロフトを見る。カロフトはサンダースがあまりにも憎悪な顔をしているのを見かけた


「どうして、自分の母である女王をあんなふうに?」


「私は嫌だったんだ。あの母といたことを。だから家出もした。私のことをほっといてくれ」


サンダースは相変わらず嫌な声をした。カロフトが言った


「アタイは!母と父なんかいなかった!だから大切な気持ちもあったし尊敬の念もあった!けどアンタはただ嫌がってるだけじゃないか!」


「…」


サンダースはカロフトを見ながら黙っていた


「後で聞いたけどリミットだって父と母はいなかったらしいよ。でも母がいるだけでも十分に嬉しいじゃないか。

昔からよく言うだろ?裏切らないのは家族だけだって。家族を捨てて、どうするつもりなんだい?アンタは一方的だろ?」


「…」


サンダースはカロフトの言うことを黙って聞いている


「おーい…。ゼエゼエ、大砲持って走ると重量トレーニングみたいで嫌ねえ…」


のんびりとした口調でリリアナは来た


「リリアナ。遅いよ」


「えー。だって大砲持って走ると遅くなるわよー」


リリアナは着いて言われたことを言う


「カロフト。サンダース。血漿族が来たみたいだよ。これから退治しましょう」


「何!よし行こう!…サンダース!」


「…」


名前を呼ばれて横を向いたサンダース。リリアナは言う


「サンダース。色々あると思うけど…今は私たちの大敵、血漿族を倒そう。ね?行こう?」


「…わかった」


3人は血漿族の出た場所へと恵たちと合流する



サンダース、女王


仲直りすることができるだろうか?



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