第4話「男性と谷と囚われの女性」

…森をそれなりに進み抜ける


そしたら見えてきた村が。ロザリーはこの村は初めてではないが、恵にとっては初めての村だ


2人は村の入口に着いた。普通に村であり別に観光というものはないのだろう


「ふー。着いたわね」

「はい。早速入りましょう」


そう言うと恵は一歩踏み出して歩こうとした。するとまたどこからか声が聞こえた


…神の声だった


『恵…ひとつ、言い忘れてたことがある』


『お前の仲間に閃光の力を授けてることが可能だ』


『やり方はロザリーの手を掴み、閃光の力を与えよ』


『きっと心強い味方になるだろう…』


「…神の声…」


神の声が聞こえて、恵は進むのを止めた。するとロザリーは不思議に思った

「どうしたんですか?」


恵はロザリーの側に行き、手を取った

「貴女に…私の力をわけるわ」

「え?」


恵が言うと力をロザリーに授けた。するとロザリーの体が一瞬だけ何かが通った感じがした。それだけで終わった

「な、なんですか…恵?」

「神の声がまた聞こえたの。私の力は分け与えることが可能だって。貴女は私と同じように血漿族と戦えるわ」


そんなことだったのか。ロザリーは嬉しそうな顔をする

「ありがとうございます。私、恵の足手まといにならないように頑張りますね」

「うん!」


入口を抜けると普通に暮らしてる人々の姿が見えた。どちらかというと…なんだか色々な音が聞こえる…

「何をしてるのかしら」

「ここは鍛冶の村でもあります。ごく普通の村なんですが、鍛冶が多いですよ」

「へえ、そうなんだ!それじゃあ、私ソードでも買ってみて…!」


そう言うとまた神の声が聞こえた


『恵…ひとつ言う』


『お前の力の源は体術だ。ソードを使うと閃光の力が半減されてしまって上手く戦えない』


『買いたい気持ちを我慢しろ。いいな…』


そう聞こえた。恵は従うしかなかった

「…神の声聞こえてソードだと上手く戦えないって言われたからやめるわ」

「そ、そうですか」


この村の名物なのかわからないが店にて硬い煎餅があったので買って食べた。硬いがなかなか美味しくて喜ぶ

「この煎餅硬いけど美味しいわね」

「ええ。食べづらいですけどなかなかいけますね」

食べ終わるとどこからか大声で言う男性の声が聞こえた


「何か言ってません?」

「ええ。行きましょう」


ちょうど村はずれだろうか。そこには門があって門番と男性がいた。その男性は何か通りたがりたいのか大きい声で言ってた

あれだろう。2人は近寄ってみる


「…だから!うちの娘がその場所にいるんだ!通してくれ!戻ってこなくて焦っているんだ!」

「落ち着いてください。この谷は封鎖されているんです」

娘…谷…2人が近寄り話を聞こうとした


「ねえねえあなた。どうしたの?」

恵が言うと男性は声の方向に向いた

「…な、なんだ君は?私に用があるのか?」

「娘が戻ってこないと言っていますが、何かあったのですか?」


恵とロザリーは言うと男性は困った顔をして言う

「じつは…この谷に神社があるんだが、そこは血漿族の場所になって娘が行ってたんだ。しかし戻ってこない。何かあったんだと思う」

「つまりあなたが行きたいってわけね」


「しかし谷は封鎖しています。戻ってくるでしょう」

「つまりこうやって私が行こうとしてるんだ!」


血漿族の場所。なら私達が行けばいい。そう思った恵だった

「私達と行きましょう。大丈夫よ。私、これあるから」

恵が言うと手の甲にある紋章を男性と門番に見せた。それを見て驚くそぶりを見せる


「それは!神の紋章!?噂で聞いたがまさかこんな女の子に紋章があるとは…!?」

男性が言うとロザリーが言う

「私達、この世界の血漿族の浄化をしようと旅に出てるんです。大丈夫です。私達と行きましょう」

恵とロザリー。神の紋章。それらを聞くと門番も大丈夫そうだと思ったのだろう。口が開く


「わかりました。あなた達ならきっと大丈夫です。どうかお通りください」

そう言うと道を開く。男性は嬉しそうな顔をした


「名前はなんて言う?」

「私は草原恵」

「私はロザリーと言います」

「私は間宮人志。恵、ロザリー、一緒に行こう」

3人は谷へ行こうとした


谷に進んだ。登山というわけでは無くほぼ一本道に進めばいいだけの道だ

恵を先頭にして進んだ。後ろにロザリー、人志といた

「娘さん、このさきにいるのね?」

「ああそうだ。戻ってこないからきっと何かあるに違いない」


しかし上手くは行かないものだ。血漿族の御出座しとなった。しかも血漿族とは言えど羽が生えている血漿族がいた

ブーンブーン…うるさい音を出してこちらに近寄ってきた。数体いる

「うるさいハエね」

早速恵は波動弾の構えをした。ロザリーは光で浄化できないかと思った

「恵、私に任せてください。私が光を出します」

そう言うとロザリーは先頭に出てハエっぽい血漿族の近くまで来た


「だ、大丈夫か!?」

人志は慌てるが恵は冷静だった


「…はぁ!!」

ロザリーは光を出した。一瞬どころか結構眩しい光であった

「ぶぶぶぶ…!」

その光は浄化の光か。さっき恵から力を分け与えてくれたことがきっかけでその力は血漿族を葬るほど強くなっていた

ハエみたいな血漿族は一瞬にして落下して再起不能。あっという間に片付けた


「き、君も紋章があるのか!?」

「いえいえ。恵から力を貰っただけですよ」

恵の紋章といいロザリーの力で驚いた人志だった


更に進むとこの谷に到着か。神社っぽいものが見えた。しかしその神社は残念ながら血漿族のアジトとなっている

「ここだ…っ!?ああ!私の娘!」

人志が大声で叫んだ場所を見た

「どうしたの?あっ!」

恵は驚いた


樹木が立ち塞いていてその樹木からまるで生えたように女性が埋まっているではないか

その女性も静かに目を閉じていた。3人を見ると樹木が動いた。間違いない。これも血漿族の化け物だろう

人志が絶句しながらその化け物を見た。しかし恵とロザリーは動じなかった

「娘さんは私にまかせて人志!」

「私達でなんとかします!」

「…ああ」

恵とロザリーはその元凶に近寄った


大きく、樹木の化け物であってさすがに拳で行けるか、光で上手く浄化できるか

「これはどうするべきかしらねえ」

「波動弾で上手くいけませんか?」

「でもねえ…女性に当たると怖いわね…」

退治に困っていた恵はまた聞こえた。神の声が


『恵…』


『お前の力は斬ることも可能だ。手刀の構えをせよ』


『硬いものも斬れる。それで女を救え…』


神の声どおりに手刀の構えをした。ロザリーはその姿を見てまた神の声なのかと思った

「ありがとう神…!やってみるわ」


化け物樹木が恵に襲いかかる。分かれた枝が恵に襲いかかった。しかし瞬時に避けて恵は手刀で一気に枝を斬った!

「ぐうううう!!」

血漿族が叫ぶ。ロザリーはまた驚いた。枝が再び恵に襲いかかろうとした

だがまた瞬時に避けて手刀で枝を斬る

「ぐあああ!!」

また叫んだ。斬ったのかその樹木は弱くなった

「今ね!」

恵は今度は樹木の胴体を斬った!スパッ!一瞬で斬れる

「ぎゃああああ!!」

樹木は大きい声を出してそのまま浄化された

埋まっていた女性は上向きに転がり、やがてその樹木は再起不能となった

終わったあと、すぐに恵はこの地帯の浄化をした。それは一瞬だ。あっという間に血漿族の地帯は消え去った


「手刀で…樹木を斬った…!?」

人志はもうありえないことで驚くしかなかった


樹木から上手く女性を取り出そうとする恵。しかし案外すんなりとすっぽ抜けてくれた

問題はこの女性が生きてるかどうかである。女性は巫女服を着て目をつぶっていた

「ねえ起きて!お父さんいるわよ!」

「恵。私が癒しの力でこの人を癒します」

そう言うとロザリーは癒しの力を使い、女性に当てた


人志も近寄り、娘の無事を祈った

「しっかりしろ杏(あんず)!無事でいてくれ!」

少し経つとその女性から声が出た


「う…ううん…」

その声を出すと杏と呼ばれる巫女が目を開けた


「あ、あんた誰…?しかもお父さん…?どうしてアタシはここに…?」

無事だった。その姿を見て人志は嬉しそうな表情を見せた


「杏ぅぅ!!」

叫ぶと人志は寝ている杏を抱きしめた

「ちょ!お父さん!抱きつかないでよ!」

恵とロザリーはその姿を見てほっとした



『私の言う通りの行動をして嬉しいぞ』


『その娘を救うことは未来のお前の行動でもある』


『上手く立ち回れ。それがお前の定めだ』



続く





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