9歳11か月 洒落にならない事件が起きた

 2020年 2月〇日


 今日、俺の通っている学校のとある生徒が同じクラスメイト、3名を毒殺した。

 

 ・・・・・・・・・・・・


 うん。日記として書いて見たが、とんでもないことになってんな。


 いやだってそうだろ。クラスメイトを3人毒殺って、しかも小学生でって、何というかとんでもないな。語彙力が軽く崩壊しそうだ。

 まあ、俺の知ったことではないと言えば、そうなのだが。そのせいというべきか、おかげというべきか、学校は休校となっている。

 因みに俺はほんの少し最後の最後だけ関わってしまった。

 本当は関わりたくなかったが、まあしょうがない。あの場で俺が止めなければ最悪あの学校の生徒・教師含め全員が死んでいたかもしれないからな。


 ようは何があったかと言うと、物凄く簡単に言えば虐められていた者の復讐だ。


 事件が起きたのは今日の昼休み。


 今現在小学4年生の俺なのだが、一個上の小学5年生の先輩が虐められてていたらしい。

 そんな中、異能【凶毒】という、触れた生物に対して即死レベルの毒を一瞬で注入するという、控えめに言って大量虐殺に向きすぎている異能を授かってしまった訳だ。

 しかもこの異能【凶毒】の何がよろしくないって、一度発動したら強い意志を持って止めようと思えない限りその即死レベルの毒をひたすらに広げていくのだ。

 つまり、誰かが止めない限り、永久に触れた生物を毒で殺すという悪魔みたいな力を発動し続けるってわけだ。

 まあ、控えめに言って地獄だわな。


 でまあ、そんな大事件が起きていた時、俺は例の強盗事件によって奪い取った1億円を使って大量に買い揃えたライトノベルを昼休みに黙々と非常に楽しく読んでいたわけだ。


 そしたらいきなり小篠さんが今すぐに貴方が5年生の教室に向かわないと大勢が死ぬという啓示を授かったとか言い出すわけだ。

 気持ち良くライトノベルを読んでいたから、面倒事を持ってくるなと一瞬イラっと来たがまあそれは置いておこう。

 流石の俺も小篠さんの力を知ってる訳で、その小篠さんがそんなことを言ったのだ。俺は大人しくそれに従って慌てて階段を駆け上がって5年生の教室に向かう。


 そんで事件発覚。


 異能【凶毒】を使ってクラスメイト3人を毒殺して、高笑いを上げているヤバい奴がいたという訳だ。


 俺は速攻で闇魔法・闇拘束を使って拘束。

 ただ俺が拘束した際にまだ殺したりないようで、「他にも俺を虐めてい奴をこの異能で毒殺してやる」とか「もっと殺させろ」とか「俺は最強だ」とか完璧に頭いっていてる言葉を叫ぶわけだ。

 軽くため息を吐きながら、口の方もグルグルに巻いて、黙らせて、異能管理局に丸投げした訳だ。

 

 以上

 終わり。


 いやまあ、最後の方めちゃくちゃに適当な感じにしたけど。普通に大問題&大問題だったからな。


 だって死者が3人も出てるんだよ。

 その上で今の日本の法律では、異能を授かったことによる暴走は罪に問われない&未成年ということで名前および個人情報は保護されるというダブルパンチで今回の事件を犯した先輩はまあいじめられていた復讐というのはあったが3人も人間を毒殺して、それの罪も問われないし、全ての個人情報も保護ということになった。


 まあ、それを今回の件で息子たちを殺されら両親が納得するわけもなく、その日のうちに学校に怒鳴り込んでくるわけだ。


 その先輩は明確な殺意を持って異能を行使していたので、俺としては、まあ、何とも言えないところはあるが、法律上は先輩は無実だ。

 それはどうしようもない事実であり、覆ることはない。

 

 俺は最強の力を持ってるし、異能管理局の長というコネ?もあるから、多少の犯罪行為は黙認されそうだけど。いや正確に言えば俺を犯罪者として裁くことが不可能だと思う。

 少なくとも俺を殺すことすら出来ないのに、殺すよりも難易度が高い捕らえるなんて不可能だろうからな。


 でも、先輩はそうはいかない異能【凶毒】なんていう触れた生物を毒殺出来るかなり強い異能だが、触れなければいいだけの話、それこそ対毒装備をした軍人一人で簡単に制圧出来るだろう。


 こう思うとやっぱり弱いってのはある意味で罪だな。

 って、なんか話がずれたな。

 というか別に俺は進んで犯罪を犯すつもりはないからな。

 こう見えてもある程度の一般的な倫理観は持ち合わせているつもりだよ。多分。知らんけど。


 まあいいや。話を戻そう。


 でだ、今回の件で殺された子供3人の両親が学校に怒鳴り込むわけだ。

 でも法律は法律。どうにもならないしなる訳がない、普通に異能管理局と警察の人が出て来て、そのまま強制的に家に帰らされることとなるが、まあ、納得いくわけがない。

 目には明らかにヤバいレベルで復讐してやるって強い意志を感じたよ。


 そんな、復讐確定となった異能【凶毒】を授かった先輩はめちゃくちゃにこじらせていた。

 自分の授かった異能が強いからと、身勝手の極意を極めているような発言の数々、ひたすらに傲慢で愚かで自己中心的な考え方。

 俺が異能管理局に渡す際に拘束から解放したら、お前覚えとけよとか、絶対に殺してやるとか、とんでもない言葉叫んでだし。

 なんというか、このままこいつ野放しにしたら犯罪を犯しまくるんじゃねって思うレベルにはクソな人間だったわ。

 本当にこいつ無罪放免でいいのかって気になったので異能管理局にいる俺の便利な使い走り、ゲフンゲフン、異能管理局に長に質問したら、一旦解放して時期を見計らって秘密裏に処理するって言われた。


 いや。怖って思ったけど。凄く納得はした。

 どうやら精神的に未熟で将来確実に犯罪を犯して秩序を乱すような存在かつ異能が非常に強力、具体的には簡単に大量虐殺を起こせるよな危険な異能の持ち主は今回の件も含めて秘密裏に処理をしてたらしい。

 といってもそんな存在はほとんどいないし、今まで秘密裏に処理ってなった人の数も少ないらしい。少ないらしいが、それでも一定数はいるらしい。


 なるほどねって思ったわ。


 まあでもそれはそうだよな。

 異能管理局の目的の一つとして異能の地位向上と異能力者が差別される世の中を防ぐというのがある。

 そんな異能管理局にとって異能を使って大量虐殺をするような犯罪者は最悪の存在だろう、仮にまだしてなくてもする可能性が高い存在は、事件が起こってからでは遅いし予防の意味も込めて処理をする。

 人道的・道徳的・倫理的には分からないが、合理的ではあるな。

 それに件の先輩は異能を授かった直後に起こった事故?とはいえ故意で人を殺してるし、もっと殺そうとしてたから、まあうん救いはいらないね。


 え?俺はどうなのかって?


 まあ、この条件に当てはめれば俺は後者には当てはまり過ぎてるほど当てはまってるけど、前者はそうでもないやろうけど。

 過去の事を掘り返すようだけど。数年前、強盗事件の件で俺の力の一端が明らかになった時、もしもの可能性を考えて異能管理局の長は俺を処理しようとした。

 結局は返り討ちにあって洗脳されてるからアホ以外の何者でもないかもしれないけど、俺と言う簡単にこの国を崩壊させれるだけの力を個人で持った化け物を野放しにするっていうのは、確かに最悪の可能性を考えれば処理という選択は悪くないなとは思ったわ。

 ある意味で異能管理局の長の選択肢は凄く合理的で国の為、世界の平和の為と考えれば別に悪くはない選択肢だったのかもな。まあ、俺を殺すなんて不可能に近いけどな。


 以上

 終わり。


 まあ、このまま何事も怒らなければ数か月以内に事故に見せかけられて件の先輩は処理されるだろうな。

 俺の知ったことではないな。

 面倒だしね。




―――――――――――――――


 補足説明

 一体いつから平和の下には屍がないと錯覚していた。


 一応、この作品のコンセプトの一つとして、氷上の平和というのがあります。

 この作品の世界線においては異能やら魔法やらが出現して紛争が一時的にストップして、戦争等も起きていない、魔法や異能による犯罪は一定数存在こそすれど、犯罪発生率という点で見れば魔法・異能発生前よりも少なくなってるくらいです。

 そんな平和な世界ではありますが、何かしらの拍子に簡単に崩れてしまうような薄い氷の上にある、酷く脆い平和の世界、異能に魔法が当たり前のように受け入れられている、異常な事態となっている世界。

 誰かが少し行動するだけで崩れてしまうような世界って感じです。


 例えば今回の件。

 もしも異能【凶毒】を授かった小学5年生という幼い子供が自分のいじめられていたという過去から異能を授かった自分は最強だ。今度は俺が人を虐める番だ。人の上に立つ番だと勘違いをして、自分の気に食わない人間を無差別に大量毒殺するという痛ましい事件を起こしました。

 もちろん、すぐさま異能管理局や主人公によって殺されますが、その場合は異能【凶毒】という危険な力を持ってるのに何故隔離しなかったのだや何故、捕まえておかなかったのだ、更に異能発現時に3人毒殺したことと日ごろの言動が明らかになれば更にその声は高まり、異能管理局ひいては警察や国に対する信頼度が下がります。

 異能管理局の信頼度が下がれば異能を使った犯罪の件数は増加しますし、警察や国に対する信頼度が下がれば、それは=で国民の中に嫌な火種が出来てしまうということです。

 そんな中、テロ組織が異能を使って大規模テロでも起こそうものなら更なる大混乱が起きます。

 そして行きつくのは異能力者に対する差別に暴力。

 100人に一人という低確率そうに見えてかなりの確率で授かってしまう異能。

 それでも100人に一人、残り99人は普通の人間です。

 魔女狩りのように異能力者狩りが始まり、異能力者と普通の人間とで対立は確実に置きます。

 そんなことをしてたら、その普通の人間側から次々と異能力者が生まれだす。

 なんたって100人に一人が授かるのですから、確率論的には全然あり得る話なのですから、そうして誰が異能を持ってるか分からなくなって。まるで人狼ゲームでもしてるかのようになり、人が人を信じられなくなっていく。

 社会というのが成り立たなくなっていく、日本がそうやって崩壊すれば、同じようにその火種は他の国にも飛び火して、そちらでも異能力者狩りが始まってって、そんな中、国民の意思を一つに統一させる為に何処かの国が戦争でも起こそうものなら、それこそ終わりです。

 平和なにそれおいしいのってなってしまいますね。


 だから異能管理局は不安の種は詰むようにしますし、世界が平和であるように非道なことにも手を染めます。

 そうして今も壊れそうだけどなんとか平和が維持されているって感じです。


―――――――――――


 頑張って更新をしていきますので、面白いと思っていただけたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。

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