外伝・異能管理局から見た誘拐犯と上野泰斗
とある部屋にて諸々の処理、手続きに負われて疲れ切っている二人の異能管理局職員がいた。正確にいえば一人の職員は先輩からより多くの仕事を押し付けられて疲労困憊という状態であった。
「ハア、全くもって、ただでさえ【国営・異能魔法学校】を設立する件で忙しいっていうのに、誘拐事件なんて最悪ですよ」
一人の好青年もとい先輩から仕事を押し付けられた不幸な後輩君は目にクマを作りながら、重たいため息を吐く。
それを自分は仕事を後輩君に押し付けてかなり楽をしている先輩が心底楽しそうに笑う。
「ハハハハハ。それはお疲れ様」
「そう思うなら、先輩も手伝ってくださいよ」
「嫌だよ。面倒くさい。私はそういう事務作業が嫌いなんだ。それに元を正せば私とのギャンブルに負けたお前が悪い」
「そうですよな。ハア、こんなことになるんだったら、あの時仕事を一週間かけてトランプ勝負なんてするんじゃなかった」
「ハハハハハ。まあ。これからはギャンブルは程ほどにな」
「いや、ギャンブル大好きで、何回か賭けマージャンで罰せられかけている先輩の台詞じゃないですって」
「ハハハハハ。これは確かにそうだな。一本取られた」
「ハア。まあしょうがないですし、コツコツ仕事終わらしますよ」
「お。その意気だぞ。頑張れ後輩君」
「あ、そういえば先輩。あの上野泰斗でしたっけ?彼、先輩の言う通り化け物でしたね」
好青年は半年前に起こった異能【闇喰】を思い出してそう呟く。
「まあね。それにしても、まさか闇魔術師だったとわね。異能力者だったと思ったけど、違ったわね」
「もしかしたら、闇魔術師であり異能力者かもしれませんよ」
「後輩君、面白いことを言うね。確かにその可能性はあるわね。確率で言えばかなり低いだろうけど。魔術師が100人いればその中の一人は異能力者であるわけだしね」
「そうですね。そう考えると、やっぱり異能力者って多いですね。まあ100人に一人ですもんね。それは多いですよ」
「といっても、使える異能を持ってる人は少ないからね。使えなくないにしても副作用が異常に多かったりね。今回の誘拐を行った異能力者達もデメリットが中々に多かったしね」
「確かにそうですね。異能【短小的短距離転移】・異能【縛る者(弱)】・異能【体内火炎生成】・異能【幼女探知】今回の誘拐事件を起こした異能犯罪者達の異能、どれも全部癖が強いと言いますか。デメリットが多すぎるといいますか。最早、同情すらしてきますよ」
「確かに。いやでも異能【短小的短距離転移】は笑ったね。自分の短小を露出している状態のみ、自分の短小で触れた2か所に自由に転移出来る異能。ただし、短距離、具体的には100mしか転移が出来ないと。いや~。酷い異能だね。クソ程下品だね。しかも短小じゃない状態だと転移が出来ないというデメリットまである。アレは笑えるわ。ハハハハハ」
「先輩って一応女の子ですよね?」
「後輩君。この私を女の子と言いますか。せめて私よりも強くなってからいいなさい」
「じゃあ、一生無理ですね。先輩は女の子じゃなくてゴリラですね」
「ハハハハハ。あら、そう。諦めんなよ。自分を信じろよ。きっといつか0.00001%くらいの確率で後輩君が私を下せる時が来るさ」
「それ、実質不可能じゃないですか」
「あら、バレた。で?ちょっと真面目な話をするけど。後輩君は上野泰斗という存在をどう思う?」
さっきまでふざけていた先輩が急に真面目な顔となる。
「上野泰斗ですか。俺は出来るならば8歳児ということも考えて、今のうちにこの国の為に働くように洗脳教育を施すべきだと思います。可能ならば私の異能含む、好感度上昇系統の異能や依存度を高める異能を使ってでもね」
好青年はそう言い切った。
彼は常識のある人間であり、一般的な正義感を持っている。
今自分のいる日本という国に対する忠誠心もあり、平和を願っている。
そして自分の今の発現が倫理的にはアウトだということも理解していた。
その上で言い切ったのだ。
上野泰斗という化け物は洗脳教育してこの国にとって都合の良い駒にした方がいいと。
上野泰斗という存在はそれだけの価値と恐ろしさを持っていた。
「ハハハハハ。言うね~~~。ハハハハハ。ハハハハハ。だから後輩君は駄目なんだよ。あの化け物を洗脳する?逆に問う、出来ると思うか?今回の事件、あの化け物は誘拐犯を一切なんの躊躇いもなく闇魔法を使って拘束した。一切傷つけることなく拘束をした。それでいてあの化け物は何一つ疲れている様子も心を痛めている様子もなかった。これがどれだけ異常なことか分かるか?」
「え?えっと、闇魔法を使いこなし過ぎていることですか?」
「まあ、それもあるね。それもあるけど。もう一つある」
「もう一つですか?」
「ああ。それは、闇魔法を使って人を拘束するという形で危害を加えたのに、一切表情を変えずになんとも思ってなかったことだ」
「あ。確かに異常ですね。普通は普通の人間は闇魔法という人智を超えるような力を使って人に対して害をなしたら、それなりに動揺するものですからね」
「そういうことだ。つまり、あの化け物は上野泰斗という人間は僅か8歳にして自分の力を理解し、その力を完璧に扱うことが出来て、その力を人に向けても一切気にしない成熟し過ぎている精神性を持っているということだ」
「なるほど。今考えてみれば、いきなり友達と一緒に巻き込まれる形で誘拐されて、普通はパニックになるのが普通である筈なのに、その誘拐犯を返り討ちにするって、とてもじゃないですけど8歳児の行動として有り得ないですね」
「でしょ。だから。化け物なんだ。異常な精神性を持った子供を皮を被ったナニカなんだ。それに対して洗脳教育?通じると思うか?速攻でバレた上で信頼をなくして、最悪諸々全部蹂躙エンドだぞ。少なくとも今のあの化け物を殺そうと思ったら私じゃあ、多分無理だ。スリー以上を引っ張ってくるか、私含むナンバーを引っ張ってこないと、それでも無傷では難しい。確実にこちら側に被害は出るだろう。それを考えればナンバー全員引っ張って来てようやく無傷で殺害可能って所かな。といってもあくまで希望的観測だがな」
「そこまでですか」
「ああ。そこまでだ」
「じゃあ、どうすればいいんですか?このまま放置ですか」
「いいや。放置は一番不味いでしょ。だから私の権限で【国営・異能魔法学校】にぶち込んだんだよ」
「ああ、そういえばそうでしたね。って、そのせいで私の仕事が更に増えてるんですけ」
「ハハハハハ。まあ、いいじゃないの。それに、後輩君だって賛成でしょ?」
「まあ、そうですけど・・・。ハア。取り敢えず、今から集中して仕事するんで。一旦、静かにして貰えますか」
「はいはい。じゃあお仕事頑張ってね」
「ハア、嫌々、やりますよ」
―――――――――――――――――――
補足説明
今回の誘拐犯を紹介するぜ。
異能【短小的短距離転移】
主人公と小篠さんを誘拐もとい転移させた全身黒ずくめ(局部露出)の変態の持っている異能だぞ。
自分の短小を露出している状態のみ、自分の短小で触れた2か所に自由に転移出来る異能。ただし、短距離、具体的には100mしか転移が出来ない。
極限の下ネタ的異能だぞ。
使いようによっては便利だが、まあ変態以外の何物でもない。
異能【縛る者(弱)】
小篠さんを縛ろうとしてた小柄で禿げた男の異能だぞ。
人を縛るのが少しだけ上手くなるというゴミみたいな異能だぞ。
異能【体内火炎生成】
赤髪でビキニみたいなを着てたエチエチお姉ちゃんの異能だぞ。
体内で火炎を生み出すという普通に強い異能だぞ。
ただし副作用として常に体に熱がこもって熱いぞ。
その上定期的に火炎を放出しないと命に関わるぞ。
異能【幼女探知】
死んだ魚の目をしているオッサンの異能だぞ。
名前の通り、半径100メートル以内の幼女の居場所に名前まで探知出来るというロリコン大興奮の異能だぞ。
デメリットとして、オンオフがつかないから、ロリコンでも、歩いてるだけで下手に学校の前を通ったり子供たちの帰り道に遭遇すると、何百人っていう幼女の居場所と名前が頭になだれ込んできて、気が狂うレベルの頭痛に襲われるぞ。
因みにこの異能の持ち主はロリコンではなく熟女好きだぞ。
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