応援に行こう
栗原慎一
第1話 末期がんのツーリング
いじりまくった 仏壇カラーRZ250 から降りて落ち着こう
何時もの整備工場で、社長と話していると
GSXのツアラーがある 安くするからどうだと
RZを後輩に売り飛ばして、GSXのツアラーを買う
やたらパワーがある
例の信号で並んで 最新のGSX-Rの400に勝てる
パワーと言うよりトルクがある
あの信号でやるって 全然落ち着いていない
整備工場の社長と カウルとかを外して
整備書を見ながら部品Noとかを追っかける
あれ、これって海外用の部品No
でも車検証を見ても このエンジンNoだし チャンと400
社長に下取りの経緯を訊いてみると
金持ちの息子で レーサーレプリカは親が許さず
このツアラーにして でもヤッパリ飛ばすから
免取り危機で入ってきたと 40オーバーを連発で 詰んだらしい
まだネットのない時代 オータバイ紙を読んで
「これって欧州仕様の600じゃ それを無理くり400登録」
社長と二人で「そう言う訳か 速いはずだ」と納得
「メーターとかは欧州仕様の260に変えた とか言ってたが
そもそものオリジナル 良かったよ 落ち着いた仏壇に売って」
峠こそ行かなくなったが、例の信号に行くという落ち着きレベルだ
ピットクルーを取って、鈴鹿で走ってるレーサーの手伝いやら応援やらで
峠に行かないだけなんだが
ピットクルーがどうしても本戦の日曜日に都合付かない
人はいるが ライセンス切らしたのを忘れていたりで、居ないと困っている
「どこ? 土曜日は?」
「MINEサーキット」
「流石に 遠い そして便が悪すぎる」
「遠いよりも 便が悪すぎなんですよ ピットクルーの人も
土曜日の夜発で帰って 月曜日の仕事に間に合わせないと不味くて
でもレースは行われる ここでポイントがとれれば、まだ後半に掛けれる
DNCは避けたいです」
泊まりのツーリング気分でと若いGPzがいいだして
30のVFRが 行こうか と言っている
君らピットクルー持ってないやん
一緒に走る 二人に不安しか無い
特にVFR 落ち着くとかではなく 末期がん
どこでも飛ばす
VFR30は 東名には 5車線あるから と その5車線で走っていく奴だ
左から 路肩 走行 ライン上 追い越し フェンス際の1m
往復 各一泊 現地はニ泊 の 4泊5日 余裕を持っていけば
甘かった
山陽道 空いてる
GPz23が全開で行く
VFR30は後も見ずに かっ飛んで見えなくなって
おい、お前ら三台の余裕のツーリングだろ
しかたなくGPzについていく
200か バイク的にはまだ40は余裕がある
VFR30がペースダウンして三台になって 落とすかと思ったら
GPz23 そのまま
三台で200クルーズ
途中 覆面に捕まっている車
一瞬 アクセルが緩む
前ニ台 一切かまわず 200クルーズ
離されるが600のパワーで240まで加速して追いつく
高速を降りての喫茶店を探すもない
飯屋があった
VFR30が 3桁からのフルブレーキで 飯屋に入る
GPzも俺も フルブレーキ
飯を喰いながら GPz23に注意される
「仏壇さん 怯んじゃダメです 180で3分走れば9km離せます
降ろしてとかで すぐ3分 9km離せば追いつけません」
そんなこんなでMINEについて ピットクルーの登録をして
全日本の子が走りはじめる
よく見ると3つ隣のピットには赤木三兄弟
長男は すっげぇ 律儀で 俺達みたいなのにも挨拶を入れる
こっちも 応援してます と入れる
なんとか6位入賞でポイントを取って一安心
「仏壇さんが来てくれて DNCではなくてポイント 助かります」
民宿で祝い酒になり 全日本の子が奢ってくれた
帰り道もやっぱり200クルーズ
VFR30が末期がんの走りでぶっ飛んでいく
途中渋滞があっても 末期がんの走り ぶっ飛んでいく
頑張ってついていく
あれGPzが来ない
地元のベースの喫茶店に戻りGPzを待つ
コーヒーを飲みながらGPz 一番若い23
VFR30 と GSX28 の俺達に
「末期がんの走り 無理」とか言ってくる
「それは VFR30のことだよね」と確認すると
「いえ二人ともです 二人共5車線使ってましよね」
思い返すと VFR30も5車線 俺も5車線
「あの 追い越しの右のとこは普通は使いません」
「え!!」とVFR30と俺 「使わないと 追い越せない」
「GPz23さ 怯んだ俺に説教入れたろ ヘタれるなよ」
全然 落ち着いていなかった オレ仏壇
末期がんの走りのVFR30とツルンで走る
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