悪役ギルドマスターですが、助けたヒロインたちに尻を狙われてます。~貞操逆転ギルドの童貞、勘違いで仲間たちに惚れられる。あと貞操も狙われる~
メソポ・たみあ
プロローグ
〇×年、△月
成人の儀式を終え、俺も神から加護を得た。
その名も〔天運の加護〕。
魔術や武術のような派手さはないが、なんでも運勢を爆上げしてくれるらしい。
その効果は絶大で、儀式の帰り道に落ちている財布を10個も拾ってしまった。
しかも全部中身は札でパンパンだった。
流石に怖くなったので、中身をちょっとずつネコババしたら衛兵に届けたけどな。
ククク……金をパクるなんて、やっぱり俺は悪だぜ。
×△年、□月
そういえば、加護に関して神官がなにやら言ってたな。
「〔天運の加護〕を我が物としたくば、〝純潔を守り通す〟〝加護のことを秘密にする〟という誓いを守ること」
秘密にするのはともかく、純潔を守れってのはちょいと残念だ。
だって俺まだ童貞だし……。女抱いたことないし……。
せめておっぱいは揉んでおきたかったなぁ……。
それに誰かとキスだけでもしておきたかった……なんて思うが、まあ仕方ない。
この先女とヤレないのは残念だが、〔天運の加護〕さえあれば富・権力・名声が全て手に入るだろう。
どんな悪行に手を染めようと、運が俺に味方してくれるのだから。
最高だ。俺は俺が望む極悪人になれる。
まずはギルドを作るんだ。
そのために部下を集める。
何もかも俺の思い通りになる組織を作り上げ、成り上がってやる。
△□年、〇月
薄汚い小娘を拾った。
剣を持っていた上に酷く怯えてこちらを警戒してきたが、もう腹が減って戦う気力さえない様子だった。
どこからか必死で逃げてきたらしい。
剣には血が付いており、誰かを殺してきたのかもしれない。
コイツはいい、俺にピッタリの悪党だ。
この小娘に恩を売って駒にすれば、忠実な悪の
コイツの
さっそく腹一杯に飯を食わせて「俺の部下になれ」と言ってやった。
小娘は喜んで俺に忠誠を誓ってくれたよ。
ククク……悪の野望の第一歩目だな。
ところで何故かやたらと俺の尻を見ていた気がするが、きっと気のせいだろう。
□〇年、×月
町で女ヤンキーと喧嘩になった。
いや、俺は「部下にならないか?」って持ちかけただけなんだが。
なんか悪そうな奴だったし。
ヤンキー怖いわー。
「タイマンで勝ったら部下になってやるよ」とか脳筋かよ、怖いわー。
ぶっちゃけマジで殺されるかと思ったけど、女ヤンキーのおっぱいを揉んだら俺の勝ちってことになった。
自分でこれを書いてても意味がわからんが、ともかくおっぱい揉んだら喧嘩に勝ったんだ。
これも〔天運の加護〕の成せる技か……自分が恐ろしい……。
でも念願のおっぱいがちっぱいだったので、全然揉んだ気がしないのは無念。
喧嘩には勝ったんだが、女ヤンキーはやたらとプライドが高く、すんなり負けを認めて部下になろうとしなかった。
そこで俺は悪知恵を働かせた。
こういうプライドが高い奴は、自分が下になることが許せないだけ。
だったら対等な関係を持ち掛ければよいのだ。
「いや、やっぱり部下にはしない。友達になろう」そう言ってやった。
するとどうだ、女ヤンキーはころっと堕ちて仲間になってくれたよ。
流石は俺、考えることがあくどいぜ。
そう言えば仲間になった女ヤンキーがやたらと尻が綺麗だと褒めてくれたが、男が尻を褒められても別に嬉しくないんだよなぁ。
〇×年、△月
イカれた魔女が廃墟となった孤児院に住み着いた、という噂を聞いた。
その首には貴族によって賞金がかけられて、報酬額は膨大。
こりゃ一儲けできそうだと踏んだ俺は、部下たちを連れて乗り込んだ。
で、結論。
魔女ヤベーわ。
ぶっちぎりでヤベーわ。
こんな依頼受けるんじゃなかったと本気で思ったわ。
めっちゃ後悔したが……ククク、それでも天運は俺に味方した。
紆余曲折あって、魔女と孤児院にかつて繋がりあったことが発覚。
そのことで揺さぶりをかけて正気を取り戻させ、なんとか会話できる状態にまで魔女の精神を回復する。
説得の結果、なんと魔女は俺の部下になってくれると言う。
マジかよ、やっぱり俺ってばスゲーな。
殺そうと思ってた魔女を仲間にしちまうなんて、悪の親玉感MAXだよ。
賞金も手に入ってもう気分は有頂天。
……それはそうと、なんでこの魔女俺に「ママ」って呼ばせようとしてくるんだ?
オマケに隙あらば尻を触ってくる。
怖い。
やれやれ、いずれはキッチリとした上下関係を叩き込んでやらねばなるまい……。
×△年、□月
『腐屍のメイデン』は小さいながらも強大なギルドになった。
部下たちも全員有能。
しかも血も涙もない極悪人の異常者ばかり。
最高だ。
最高…………なんだが、
なんというか、その、アレだ。
アイツら全員、貞操観念が吹っ飛んでいる。
性の倫理観がポップコーン並に弾けている。
しかも男に飢え過ぎているときた。
もうずっと、部下たちに尻を見られているのだ。
怖い。
いや、見られているだけならいい。
アレは狙っている目だ。
捕食者の目だ。
だってたまに尻揉んでくるし。
今日は部下たちと荷馬車に積んだ金銀財宝を強奪する仕事をしたんだが、その報酬として俺の処女を要求してきやがった。
処女をくれと言われて「はいどうぞ」と尻を差し出す男がどこにいるんだよ!
頭おかしいんじゃないのか?
部下にセクハラされるギルドマスターなんて笑い話にもならない。
〇×年、△月
盗賊団と協力して金銀財宝を強奪したのに、いつの間にか領主と協力して盗賊団を捕まえていた件。
なにを言ってるかわからねーと思うが、俺にもわからん。
俺の企てた計画が、気が付いたら盗賊団を誘き出す囮捜査ってことになっていた。
秘書の女が俺の話を曲解し、正義の味方に仕立て上げてしまったのだ。
お陰で領主から褒められてしまった。
俺は悪党になりたいって言ってんだろーが!
ぶち犯すぞホント!
いや、童貞でいるために犯すとか無理だけど!
計画は潰れるし寝室から下着は消えるし、もう最悪!
×△年、□月
誰がギルドマスターの処女を散らすか、で激しく言い争っている部下たちを見た。
怖い。
冗談じゃないぞ!
俺はまだ童貞なのに、先に尻の処女を奪われてたまるか!
いや、男に飢えて頭がおかしくなっているアイツらなら童貞も狙ってくるだろうな。
俺が〔天運の加護〕を獲得していられる条件は〝純潔を守り通す〟〝加護のことを秘密にする〟ことだ。
万が一にでもあんなチンパンジー共に純潔を奪われでもしたら、俺の人生設計が全て台無しになる。
怖い。
色んな意味で。
それから町人たちが俺のことを【災厄のD&V】という異名で読んでくるので、どういう意味なのか部下たちに聞いてみた。
そして愕然とする。
D&Vは童貞・アンド・バージンの略だった。
しかもその異名が広まった原因は部下たちだった。
俺は理解する。
このギルドは終わっていると。
□〇年、×月
久しぶりにいいことがあった。
俺に奴隷の商売を持ちかけてきた男がいたんだ。
なんでも、俺の悪名と実績を聞いて声をかけたらしい。
ぶっちゃけ奴隷商人にいい印象はないが、儲け話が来るのは悪くない。
ククク、俺の悪っぷりもここまできたか。
――そういえば……最近部下の一人に元気がないな。
以前はあんなに俺の尻を狙っていたのに。
思えば俺が奴隷商人とビジネスの話をしてから、なんか態度がおかしかったんだよ。
なにかあったんだろうか?
探りを入れてみるか。
〇×年、△月
最悪の気分だ。
部下が奴隷商人から脅されていた。
どうにも弱みを握られて、当人にとって最悪な仕事を手伝わされていたらしい。
俺がもっと早く気付いてやっていれば……。
いや、アイツの
――俺たちを利用しようとした奴隷商人。
面白れぇじゃねーか。
上等だ。
確かに部下はアホだし、俺の尻を狙ってくる変態だ。
だけどな、泣かせていいってワケじゃねぇだろうが。
それに舐められっぱなしは悪党の流儀に反するんだよ。
余所者がウチの団員に手ェ出したらどうなるか、骨の髄まで味わわせてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます