太陽の守護者
みみこ
めざめました
ふわり、と意識が浮上した。
ずいぶんと長い間眠っていたようだ。身じろぎをしようとしても、うまく体が動かせない。ぼんやりと目を開けると、木目の天井が目に入った。
(あれ、ここはどこだっけ)
見覚えのない景色に戸惑いながら、まだ夢の中にいるようなふわふわした感覚に酔ってしまう。
「あら。目が覚めたの?」ふいに顔を覗き込んだのは若い女だった。肩までのふんわりした薄茶色の髪をした、たれ目の秀麗な女性。「本当に悪運が強い子ね」
(誰?)
彼女の顔に、見覚えがなかった。声を出そうにも喉がひりひりして、うまくいかない。脳みそをぐるぐるとかき混ぜられているかのように、頭もくらくらする。声を出すのも、動くことも諦めて、小さく息を吐けば、再び睡魔が襲ってきて、またゆっくりと目を閉じた。
今度は、額のひんやりとした手の感覚で、再び目が覚めた。
「あ、起きたか」
声は若い男だった。聞き覚えのない、低い声。どうやら、この額の冷たい手も男のものらしい。次第にはっきりとしてきた視界の中に、20代後半くらいだろうか、黒髪の短髪で、左目に黒い眼帯をつけている男が映った。青い右目が心配そうに覗き込んでいた。
「あれからまた3日意識がなかったんだ。気分はどうだ?」
ゆっくりと瞬きをする。体に力が入らず、視線を投げかけることしかできない。男は戸惑ったように眉をしかめる。
「
「見れば分かる。1週間以上寝てたのよ。起きたばかりで体が動かせないはずだわ。ほら、医生の足音が聞こえる。見回りの時間みたいよ」
「そうだな。しかし、もう目覚めないかと思ったぞ。ガキのくせに毒を飲むなんて無茶しやがって」
月影は、意識が次第にはっきりとしてくると、考えを巡らせた。
(毒?私、毒なんて飲んでない!それに、この人たちはだれ?ここはどこ?まったく記憶がないんだけど!)
跳ね起きようにも、体中が重く、指一本動かせない。かろうじて動かせるのは眼球だけだ。周囲の景色を見ようと必死に目を凝らすが、すぐに眩暈を覚える。こつこつと足音が聞こえたかと思うと、やがてがらり、と扉が開く音がした。
「おや、意識が戻ったのか?
白い口ひげを蓄えた年配の男だ。柔らかな瞳で月影をのぞき込むが、わかろうはずもない。
ここは見知らぬ場所だ。
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