ド底辺絵描きの俺が異世界に行って最強スキルで無双する小説にしたいです。

覚えやすい名前

第1話 こんな後輩いいよねの話

聞けば昔はかわいい女の子を描く能力がある人なんて一握りだったらしい。

日本人の総人口は約1.258億 (2020年)。その中でもイラストレーターを志望している人間の割合はおそらく0.01%ぐらいだろう。

いや、ミスった。なんか少なく感じるわ。

要は、イラストレーターになりたい人間はこの日本において多すぎるってことが言いたいんです。

この10年の間にジャパニーズポップカルチャーが台頭してきていてアニメ文化の浸透、マンガを読む人間の増加、それによるアニメ絵の需要拡大。

・・・あーーだるい、硬っ苦しい文章書くのってマジだるいわ

何が言いたいのかめちゃめちゃ崩して言うと、ライバル多すぎてイラストレーターになるのクソむずいって思ってんのよ。

だって考えてみろよ今現役で活躍してるイラストレーター一万人はいるんだぜ?無理ゲーじゃん、人生をゲームに喩えちゃう系のいっちゃん嫌われるタイプのノリ出しちゃったわ、めんご。

それにフリーランスなんて言葉も最近じゃあ珍しくも無いし、むしろそっちを目指してるわけよみんな、無理だって、諦めてくれよ!俺のために!代わりに俺がやるからさ!俺が一人で金稼ぐから、みんなはサラリーマンしてくれよ!頼むよ、譲ってくれよ!!

「先輩何書いてんすか?」

ビクッ

時刻は午後3時、パソコンの前に座りブルーライトで目をビッギンにしながら現実逃避をしていた俺は後ろから声をかけてきた立田味 凍(たつたみ こごえ)によって現実へと里帰りをさせられた。ふぇえ現実に帰りたく無いよぉ。

「まーた、くだらない書き物してんすか?ちゃんと仕事しないとダメっすよ?」

「い、いや、これは違くてだな、そっそう、企画書だよ企画書、今度上司に提出するやつだから今のうちに案をまとめておこうと思ってだな、ハハハ、、」

完っ全に嘘で塗り固められたキメラドラゴンだがまあかわいい後輩だし信じてくれるだろう

「ふーん」

めちゃめちゃ疑いの眼差しを向けられている。無理っぽいな

「ごめんなさい、サボってました」

なんだかんだ一番俺をわかってくれて世話してくれてんのがこいつだ、そんくらいの嘘を見抜け無いほど馬鹿では無い、というかただでさえ窓際社員の俺は唯一の話し相手から嫌われるのは凄く嫌というかなんというかなので素直に非を認めて謝ることにした

「そうっすよね、素直が一番っすよ先輩!」

肩の辺りまで伸びた髪をバッサリ揺らしながら凍は、真夏の太陽に照らされるヒマワリみたいな笑顔をつくる。

いやーかわいいなー、なんで後輩ってこんなにかわいいんだろうなぁ、まじプリキュアとか目指せるレベル、胸のドキドキ止まらないよ!恋かな!違うよ!更年期だよ。

まだピッチピチの24だけどな!

「それはそれとして先輩、これ」

世界の後輩ちゃんは手に持っていたファイルを差し出す

「え、なにこれ、仕事?うちでは世話できないから返してきなさい」

「えーうちで飼いたいっすよ!ちゃんと世話するっすから!毎日散歩も連れてくっす!」

「みんな最初はそう言うんだ。でも三日後には飽きてるんだよ、ソースは俺」

「いや、そりゃ先輩はダメ人間っすから」

おっとー普通に傷つくぞっ!

「てか会社に来てる以上仕事はしてもらうっすよ先輩」

「そこをなんとか」

「なるわけ無いじゃ無いっすか」

そのまま要らないと押し返そうと思ったが普通に俺がやり込められてファイルを渡されてしまった、この後輩なかなかやるな。ついでにこの仕事もやっといて

「いい加減怒るっすよ」

目が本気だったのでこれ以上は文句を言わないことにした

はぁ。

仕事しよ


思いの外後輩が持ってきた案件は曲者で普通にやってても真面目にやってても不真面目にやってても深夜までパソコンと向き合って無いと終わりそうに無い感じだった。

やだ、こんなにドキドキしながら向き合っているなんてまさか俺、このパソコンのこと好きなんじゃ?

「先輩、終わりそうっすかぁー、自分もう帰りたいっすよぉぉ」

「いや、俺が終わるまで待つって言ったの君なんだけどね?」

「だってそれは先輩が後10分で終わるとか言ったからっすよぉ」

誰もいないオフィスの端っこの方で二人。

椅子に座ってくるくる回っている後輩ちゃんは口を尖らせている

「いや実際嘘じゃないけどね?」

「嘘じゃないっすか、あれから2時間っすよ?もう12時回っちゃってますし、終電も終わってるっすよぉ、自分帰れないっすよぉ」

「え、終電逃してんのに、本当になんで帰らなかったの?」

「それは、・・・先輩が好きっすから、一緒にいたいっすから!」

世界一可愛い後輩ちゃんは嬉々として俺に告白を仕掛けてくる、だが俺は知っている、こいつが単に交通費ケチって俺の車に乗って帰ることが目的であることを、ついでに夕飯も俺の奢りにしてやろうと考えていることも。あとこいつさっきまで熟睡してた。

「ハイハイ、あとこれだけ、、、、、よし、帰るか」

「はいっす!」

「おでこの『肉』は消しとけよ」

「は?・・・・・・・はぁぁぁ?」


俺の書いた落書きを消す後輩を待ちつつ、二人で会社を出た。

「もう嫌いっす、先輩のこと」

後輩ちゃんはそれはもうご立腹であった。

「そうか、じゃあ嫌いな先輩の車には乗れねーよな、頑張って帰れよ」

「やっぱ大好きっす!先輩!結婚しましょう!」

「しない」

ちゃっから助手席に乗り込んだ後輩はニコニコしながら鼻歌を歌っている、実はそんなに怒ってなかったっぽい。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ド底辺絵描きの俺が異世界に行って最強スキルで無双する小説にしたいです。 覚えやすい名前 @daigodaisuki007

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る