第12話
それから数日後の仕事終わり。
「なぁ…ちょっと坂下くん、少し時間ある…?談話室あたりで話したいこと、あんだけど…」
「え…?…はい、…」
何だろう…この前真由のことを報告した先輩が、少し暗い表情で俺に声をかけてきた。
なんか怒ってる…? 俺はゆっくりと先輩の背中について行く。
「あのさ… この前俺、栗原さんにやっと告白したんだ…」
先輩の言葉に、チクリと胸がうずいた。
「はあ… そう、でしたか… 」
「…そうでしたか…じゃ、ねえだろ…おまえさ…俺のこと、舐めてんの…?」
「 … はあ…? …」
意味が分からない…
先輩が俺に対して苛立っているのは雰囲気からもなんとなくわかるが、なんでだ…
意味が分からない…
「はあっ…って… 俺が栗原さんに告白した時、彼女になんて言われたと思う…?」
「は…、わかりません… 俺、何も…」…そんなこと、わかるはずもない。
「彼女さ…栗原さんさ… おまえのことが気になってんだって…好きなんだって…そんなこと言ってたよ…」
「 は あ… ? は、 いやいや…まさか… 」
「そのまさかだよ…何が、頑張ってだよ…ふっざけんなよ、おまえ…俺の様子見て、面白がってたのかよ…?」
「 …そんな…馬鹿な… 面白がる…なんて…」
「俺が馬鹿だったわ… 最悪だよ、告ったその日にその相手に、別の男が好きとか言われて…しかもその相手が、俺が相談したおまえ…とかさ… 俺、滑稽もいいとこだよ…」
「でも… そ…、 そんなこと…ありえな…」
「だから~~~!俺はそう、彼女に聞いたっつってんだろ…!?おまえ、俺の言うこと信じられないのかよ…?」
「… いえ… そういう、わけでは…」
先輩の眉間に、あからさまに深い皺が刻まれる…
でも、…どうしたらいい…だって俺自身は真由に、何も聞かされていない…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます