第3話

俺は、数年前、職場恋愛で結婚をした。


妻は、真由という。

子供はいない。


くっきりとした目鼻立ち、スタイルも抜群な俺の妻。

おそらく男の誰が見たとしても、妻を可愛い…美人な女だと、評価するだろう…。


真由が「おはようございます」という明るい挨拶とともに職場に顔を出すと、辺りがぱあっと明るくなる。完全に、オーラがある。いわば、高嶺の花だ。


いや、だからといって話しかけづらいというわけでもない。

彼女自身は気軽に話しかけるものだから、話しかけられた人間はとても楽しそうだ。


会社では、男女問わず誰に対しても、その愛想を惜しみなく振りまく。

明るく、弾けんばかりの笑顔と、もともと備え持つ美貌で、何人の男が…いやもはや、女もいるかもしれない。

何人が、彼女に振り回されてきたか、その魅力に翻弄されてきたか、わからないほどだ。


いや…振り回したというと語弊があるかもしれない。


彼女…真由はいつも無自覚だ。

決して計画的ではない。

特定の男を狙って、自分が良く見えるように振る舞っているわけでは決してない。


ただただ、彼女は本当に自由奔放で…

それがむしろ嫌味もなく、彼女の魅力をさらに引き出しているのかもしれない…。


気付けば、周りの男がただただ、翻弄されている。


ずっと、そんな感じだった。


そんな中、俺と彼女が近付くきっかけになったのは

ある、職場でのトラブルがあってのことだった。

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