白い目で見られてるよ君に
@uruseeeeeeeyo
第1話
白い目で見られてるよ君達に
今、コンビニの前、僕は見た。見てしまいました。
初恋の人が何処の馬の骨かもわからない男と楽しそうに話している一場面を。
自転車を止めて楽しそうに立ち話をしている。
顔は影で見えなかったがサラサラの長髪と、丸い顔。水色の自転車にベルが二つある。
ベルが二つついているのは、一つは音が乾いてベルとしての仕事をなさなくなったからである。
それを確認して、僕は気まぐれなジョギングを後悔した。そして、コンビニの角に隠れた。
心臓はジョギングをしていた時よりも早く、大きく鳴り、騒いでいる。
僕は胸に手を当て、思っていた以上の胸のざわめきに驚いた。
僕は彼らの会話が終わるまで動けない。
僕は彼らの会話なんて聴きたいし、聴きたくないし、聴きたい。
微かな声が聞こえてくる。
男「ー、のバンドが好きなーよ」
女「あんた、それーも言ってー。」
男「ーー、(笑)」
女「ーも、ーー」
前半は風。後半は車の音で聞こえない。
もどかしい。僕は飛び出し、彼女が僕の思う彼女か確認したかった。
ここで何か確実にさせたかった。
そうすることで、繰り返しの日々という今日を全く違う日にできるのではないか。退屈なループする日々を今日は抜け出せるのではないかと考えた。
恵まれて暮らしてきた僕の人生に苦みを味合わせるのは今日だ!
苦みを経験してこそ人生である。と一応楽観的思考に落ち着いた僕は。
あとは、勇気を出し、彼らの元へ向かうのみであった。
僕はブツブツと「苦み、苦み」と声に出しながら。彼らの元に向かう。
ああ、最悪の日だな。
そう思いながら何故か自分で体を動かし、最悪に近づいていく。
彼女の顔が段々はっきりと、僕の思う彼女の顔になっていく。
ほらね、最悪だ。
と口に出してしまうほど最悪。
僕は彼らの前で立ち止まり、第一声でつまづかないようにと咳払い。
「ーーさん?」
と声をかけた。
女「はい、そうですけど、なんで?」
隣にいた男はじっと僕の方を見てる。外見だけで評価すると僕があまり好きじゃない男だ。
不自然に膨らんだ金髪。ピアス。都会にどこにでもいるような服装。
男「知り合い?」
女「わかんない」
僕は黙り込んだ。ダンマリを決め込んだ。
そして、だるまさんが転ぶ時、何故立ち止まらないといけないかを考えた。
だるまさんは転ばないのにな。いや、だるまさんは転び続けているのかもしれない。
僕はダルマさんを思い浮かべて、
「人生って刺激的ー!」
と叫んだ。自分の声色なんて気にせずに。
コンビニの店員、客、彼女ら。周囲の人々に白い目で見られてる。絶対に。
でも白い目で見られているなら見られていないとおんなじだ。
僕は赤いダルマになった。
そしてコンビニの横にある上にまで続く坂を登った。
僕は楽しかった。すごく楽しかった。心は踊り狂い、体をも躍らせ、走らせていた。
ただ唯一脳みそは楽しくない。
脳みそはだるまさんになれない。
白い目で見られてるよ君に @uruseeeeeeeyo
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