【東山兄妹編 最終回】美月、僕と一緒に住もう
妹の
…中途半端に元気になった息子のために抜くか。
僕は久しぶりに自分のパソコンを起動し、エロ動画を観る。
女優さんがやってることを、美月にやってもらったら気持ち良いんだろうな…。
いかんいかん。僕は何を考えているんだ。抜けば、そんな事を考えなくなるはず。
…一応抜いたものの、なんかスッキリしない。何でだろう?
抜いて間もなく、母さんが「夕食ができた」とノックして知らせてくれた。
リビングに向かったところ、美月は既に着席しており、大量の料理がテーブルに並んでいた。多すぎないか?
父さんがいないのにもかかわらず、夕食にすることに疑問を抱く僕だが
『仕事が忙しいから、夕食は外で済ます』という方針になったらしい。
その方針になって、この量なの? 食べきれるかな?
母さんがせっかく用意してくれたんだ。なるべく頑張ろう。
何とか平らげた僕。お腹いっぱいだから、早めに風呂に入ってカロリーを消費しよう。僕は自室で着替えを用意してから、着替えを持ちつつ脱衣所に向かう。
風呂から出て自室に戻ると、美月が僕のパソコンをいじっていた。
僕に気付いても、美月は気にせずいじり続けている。
「兄さん、好きな女の子のタイプは変わってないんだね」
さっき見たエロ動画の履歴を確認・再生されたようだ。
「人は、そう簡単には変わらんだろ」
「なら、あたしが兄さんを好きであることも変わらないよ♡」
変わらないか…。美月が小3の時に言っていた『好き』とか『結婚して』に対して誠実に答えていれば、美月は僕を諦めて別の道を進んだかもしれない。
美月のブラコンがひどくなったのは、時の流れが解決してくれると思い、適当に答え続けた僕のせいだ。償わないと。僕が美月に出来ることって何だ?
「美月。真剣な話なんだが、就職したら実家から通うか? 一人暮らしする気か?」
「え? そんな事、まだ考えてないよ…」
考え込む美月。
18歳には難しいことか?
「一人暮らしするなら、僕と一緒に住まないか?」
「どういう事?」
「お前が小3の頃に言っていた『好き』や『結婚して』に対して、いい加減に答えたから、お前のブラコンは悪化してしまった。兄として償いたいと思っている。
思い付いた償いが、一緒に住むなんだが…。どうかな?」
「償いとか…、兄さん。そんな難しいこと考えてたの?」
美月はクスっと笑う。
「もしあの時、兄さんが誠実に答えたとしても、あたしは絶対に諦めなかったよ。
好きな人なんだから。兄さんが『好き』って言ってくれるまで、何度でもアタックしたよ。何度でもね」
僕の予想以上に、美月の決心は固かったのか。
そうなると、美月のブラコンは必然になる。これも運命なのかな。
「一緒に住むのは嬉しいけど、兄さん社員寮でしょ? それはどうするの?」
「社員寮にいられるのは、20代までなんだ。僕は26だから、最長3年になる。
その間に美月が就職先を見つけられたら、お互いの条件にあったところに住めるよな?」
「そうなるね。よ~し、兄さんと一緒に住めるように頑張るぞ~」
美月の奴、ずいぶん気合が入ってるな。きっと真面目に大学生活を送るだろう。
僕も美月のために頑張らないと。
美月の就職先が決まったあたりに、僕は社員寮を出た。
奇跡的に、僕と美月の職場に近いマンションを借りることができた。
両親は、僕達兄妹が一緒に住むことに反対しなかった。
父さんは「男と同居してることを匂わせれば、美月は安全」という、美月の立場しか考えてない発言をした。僕はどうでも良い訳? 父さん…。
僕は美月のために、何でもやってあげたいと思っている。
妹の笑顔を守るのは、兄の役目だからな。
僕と美月の関係がどうなったかは、ご想像にお任せしよう。
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