妹とファッションサイトをめぐる

 妹の舞がネットで買う服の意見を俺に求めてきた。

俺は舞のパソコンがある、彼女の部屋に向かう。



 記憶の限り、部屋の雰囲気は変わっていない。最後に入ったのは、舞が小5あたりだったかな。中学生以降は疎遠になったのは、言うまでもない。


だがあの頃と違って、部屋内に良い匂いが漂っている。何でだ?


「舞。お前、香水とか芳香剤を使ってるか?」

舞は高1だし、そういうのを使っていてもおかしくない。


「使ってないけど何で? …もしかして、臭う?」


「逆だ。良い匂いだから気になったんだよ」


「それは兄さんが私をじゃなくて、として見ている証拠だよ♡」


…マジで?


「その話は、また今度。今は服のことをお願いね」


舞はパソコンの正面に座った。俺は舞の後ろからパソコンを覗き込む形だ。


「後ろから兄さんの気配があって落ち着かない。興奮しちゃう」

舞がそわそわしている。


「そう言われてもなぁ…。こうじゃないと、俺が画面を見られないぞ」

真横でも良いけど、画面の全体が見づらいんだよ。


それに、舞にだいぶ接近する必要がある。いくら俺でも緊張するな。


「わかってる。頑張って私が我慢するから…」


それ、頑張らないといけないほどなの?



 舞はファッションサイトにログインして、トップページに移動した。

有名な企業なので、商品数が豊富だ。


「まずは、これを見てもらおうかな」

舞はお気に入りから、ある商品を見せた。


「おい…、これパンツじゃないか? 服じゃないのかよ?」

パンツは基本見せないんだから、俺に意見を求める必要ないだろ?


「下着だって服でしょ? 慌てすぎじゃない? 兄さん」


確かにそうかもしれない。ちょっと恥ずかしくなってきた…。



舞が見せてきたのは、白のフリル付きパンツだ。可愛いな。


「それとね…、これを迷ってるの」


舞が次に表示させたのは、同じく白でリボンが1つだけ付いた無地のパンツだ。


う~ん、どちらも値段はほぼ一緒か。本当に好みの問題だ。


「ねぇ、どっちが良いかな?」

舞が俺の顔を観ながら訊いてきた。


「…リボンがついたほうかな。無地のほうが使いやすいと思う」

シンプルイズベストだろ。


「わかったよ。これにするね」

舞は俺が選んだリボン付きパンツを、ショッピングカートに入れる。



それにしても、普通のパンツで良かった。てっきり、マイクロビキニみたいな露出度が凄いパンツを選ばされるかと思った…。


「エロい下着じゃなくてごめんね。高1だから、まだそういうサイトで買えないの。この家を出て兄さんと2人暮らしをする時は、喜んで着るから♡」


舞が俺の心を読んだような絶妙なタイミングで言ってくる。


「そ…そうか」

これ以上の言葉が思い付かない俺。



 「次はこれとこれ。…どう思う?」

細線のストライプスカートだ。今回は色の悩みみたいだな。


黒かライトグリーン、そうだな…。


「ライトグリーンのほうが良いかな。爽やかな感じが好みだ」

夏休みの今、黒の服は暑苦しく見える。その影響もありそうだ。


「そっか…。わかったよ」

舞は俺が選んだライトグリーンのストライプスカートをカートに入れる。



 「最後はワンピースなんだけど…」

黒のチェック柄ワンピースと、ネイビーの無地ワンピースか。


「このワンピース、妙に丈が長いな」

ふくらはぎあたりまで届く長さなので、気になった。


夏にこんなの着たら、めちゃくちゃ暑いだろ。


「これは秋・冬用だよ。寒い時に着たいんだから、早めに買わなきゃ」


それもそうか。夏だからといって、夏用の服だけ買うとは限らないよな。

俺の思慮不足だ。舞は俺の予想より、大人になっている。


値段はネイビーの方が少し安い。さて、どっちにしようかな?


「…黒のチェック柄のほうがいいな」

舞には悪いが、値段のことは無視している。


「下着は無地を選んだよね。何でワンピースはチェック柄にしたの?」

不思議そうに訊いている舞。


「バランスかな。ワンピースは服が占める割合が多いから、無地だと味気ないんだよ。ここはチェック柄のほうがいいと思うけど…、嫌か?」


俺が意見を言っても、舞が着るんだから、舞が嫌なら意味がない。


「そんなことない。兄さんの意見が聞けて嬉しい。…これにする」


舞は俺が選んだ黒のチェック柄ワンピースをカートに入れて清算した。

数日で届くだろう。通販の届く早さには、いつも驚かさせる。




 「今日はありがとう、兄さん。またお願いしても良い?」


舞の服の候補を知ることは、舞を知るきっかけになる。俺も損しない。


「もちろんだ」


「ありがとう。…ふぅ」

舞はゆっくり立ち上がり、ベッドに倒れこんだ。


「もう私、我慢の限界。…もし声が漏れても、気にしないでね」


「わかった」


俺が舞の後ろに長時間いたから、舞の性的興奮が限界に達したらしい。



さて、用は済んだ。俺は舞の部屋から立ち去った。

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