第15話
「そろそろ1限始まっちゃうから行かなきゃ」
時間を見て少し焦りを覚えながら言うと、彩音ちゃんは私のワイシャツを少し掴んで
「教室戻るの?」
と上目遣いをしながら私を見た。さすが美少女、女の私でも見惚れてしまった。
戸惑い気味に頷く私を見てあからさまに悲しそうな顔をした。
「えらいね千春ちゃんは、、、私、教室行くの怖いからずっとここにいたんだ。」
そう私に告げると何かを心の中で決心したように
「私、今は無理かもしれないけど、千春ちゃんがいるなら教室いってみようかな、、、」
と拳を握りしめながら言った。
「えっ本当!嬉しい!!で、でも、ゆっくりでいいからね。無理しないで、これそうだなと思ったら来てね。」
予鈴が鳴ったことに気づき、彩音ちゃんにまたねと告げてその場を離れ教室へと戻った。教室の扉を開けると一気にみんなの視線が集まった。
「おい!時風、もう授業始まってるぞ。早く座れ」
先生にすみませんと頭を下げながら自分の席についた。
「結局、朝礼サボちゃったんだね。」
「水橋くん。あはは、、初めてサボちゃった」
「たまにはいいんじゃない。」
この間席替えをしたばかりで、水橋くんとは窓側の一番後の席で隣に座っている。
「今からペアで環境問題についての英語のレポートを作るんだって、、隣の人と組むことになってるから千春ちゃんよろしくね」
「あ、うん。ありがとう教えてくれて。水橋くんがペアでよかったよ」
優しい水橋くんと一緒でよかったと安心した。
「それ本当?」
真面目な顔をしながらこっちを見つめてくる水橋くん。さすがにイケメンの目力はすごく、硬直してしまった。
「う、うん」
私がそう答えるフワッと笑い
「俺もだよ」
と言ってきた。
この調子で私は持つのだろうかと自分に訴えかけながら、レポート作成に励んだ。私は、英語が嫌いな方ではないが得意ではないので考え込んでしまう部分が何箇所かあった。
「水橋くん。ここの文章どうやって作ったらいいと思う?」
「ん?どれ、見せて」
考え込んでしまった私は、大西くんと一位を競う水橋くんに頼ることにした、、が肩があたるかわからないくらいの近い距離になった。ちゃんと説明してくれているけどそれどころでは無くなってしまった。
(なんかめちゃくちゃいい匂いがする)
心のなかの自分の呟きに変態か!と思いつつなんとか説明に集中しようと頑張った。
「ここをこうすればいい文章になるよ。って!千春ちゃん、大丈夫!」
「プッハーハーハー」
「もしかしてずっと息止めてたの?もしかして俺のせい?」
「いやぁ、、こっちの問題だから気にしないで」
「ほ、ほんとうに?」
「うん」
なんとか気を紛らわそうと息を止めていたが逆に変に思われてしまった。
そんなこんなで、なんとかこの1時間乗り越えることができた。
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