ザ・タイムリミット
瀬田 乃安
プロローグ
三十歳にまでに例外を除き全ての国民は結婚しなければいけないという結婚をしたくない人たちにとっては地獄の様な法律が何故成立したのかはエピソード1に任せるとして、この法律が起草された理由は日本人が地球から居なくなるという、とある機関の研究結果が元になっている。そして、憲法に謳われる婚姻の自由が、特例として婚姻の義務とされたのは、義務としながらも強制ではなく努力と解釈されたことで憲法違反には当たらないという法制審議会の見解に依る。
しかし、実際は政府が相手を見つけ、その相手との同棲を義務付けており、本来の努力という言葉とはかけ離れる実態がある。しかし、結婚の為の同棲という位置づけから、同棲に向けての人的及び物的支援は充実しており、様々な条件はあるものの一年以内の婚姻成立を目指す政府の意気込みは並々ならぬものが感じられるが、その本当の目的を知る者はいない。
二十一世紀最大のプロジェクトと称して日本人の未来を立て直すという強い思いが表明されて成立されたわけだが、それが果たして多くの人たちの福音になるのか、今まで以上に禍をもたらすのかは、時を待たなければ知ることは出来ないだろう。
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