第3話 美人さん
「あの......、どうなさったのですか?」
「......えない..........。」
「えっとー、あのぉ......、」
「ありえないですわっ!!!!!!!!」
やっと声が出た......、と思いきやそれは後ろから聞こえた声だった。
驚いて振り返ってみるとそこにはサラサラとしたブロンズのロングヘアを風でたなびかせるザ・美人が扇子を口元に当てて、スカイブルーの綺麗な切長の瞳で私を睨んでいた。
「うわぁ。美人さん......。」
思わずうっとりと眺めていると、その美人さんの頬はあっという間に薔薇色に染まった。
それを隠すように扇子を軽く持ち上げると、美人さんは目を吊り上げて扇子を持っていない方の手で私をビシッと指差した。
「あ、あなたっ!!わたくしが"美人"だという一般常識なんて今更呟かないで下さる!?そ、そんなことよりも......っ、先程のアレはなんですの!?」
「あ......えと、ごめんなさい?お師匠様に負けない美しさをお持ちの方を見るのは初めてで、つい。それで、アレとはなんでしょう?」
「つい、って......。わかるでしょう!?アレはアレですわっ!!学生証を取り出していた......、」
「あー、あれは単なる空間魔法ですよ。美人さんも知ってるでしょ?」
「単なるって......、あれは6級魔法ですわよ!どうしてわたくしと同じく、まだ学園にも入学していないあなたがそんなものを使えますの!?」
............あれ??おかしくない??お師匠様はこのぐらいの時は4級までしか使えなかったって言ってたよね!?
「もしかして、美人さんって......、」
「何よ!その目はっ!!勘違いなさらないで!わたくしは一般的には10歳で使えるようになる10級魔法を上回り、今この段階で8級魔法まで使えるんだからっ!!それと、わたくしはベルディーネ。ちゃんと名前があるのだから、そちらで呼んで下さいませっ!!」
「そ、それじゃあベルって呼ぶね!私はエリアレット。これからよろしくね、ベル。..................って嘘!?10歳って10級魔法しか使えないの!?」
..............お師匠様って、実はとてもすごい人なのでは!?!?
だらだらと背中に嫌な汗が滲む。もしかして、憧れの学園では新しい魔法を習えないのでは?と急に不安になってきた。
「え?えぇ。ってまさかエリア、貴女それも知らずにそんな魔法を使っていたの!?........ありえないですわぁっ!!!!!!!!」
ベルの雄叫びはとてもよく響き、校舎内にいたたくさんの在学生たちが窓から顔を出し始めたため私たちは注目の的になってしまった。
「あらららららぁ。とっても目立っちゃってるじゃないですか。いけませんねぇ......。」
そんな私の様子をお師匠様が水晶玉で見ていたことは、この時の私はまだ知る由もなかった。
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