第7話 見せて貰おうか。魔導騎士の性能とやらを
時は戻り現在。
裕斗が乗る魔導騎士“ランスロット”は“ソルジャー”を殴り飛ばした。
なんとか間に合ったなと、裕斗は胸をなで下ろす。
『き、貴様なぜここにいる!?』
ブゥン、とおとを立て、モニターの端にルイーゼの姿が映し出された。
へーこんなこともできるのかー便利な機能だなーと思いつつ、裕斗は口を開く。
「選手交代だ。次は僕が戦うよ」
『な――』
ルイーゼは目を見開く。
『む、無茶だ!一人で勝てるわけが――グッ!』
突然ルイーゼがうめき声を上げると、ブツン、と彼女の姿を映したモニターが途切れた。
「え!?ちょ、ルイーゼ!?」
『大丈夫です。おそらく魔力が途切れて気絶したのでしょう』
シーラの言葉に、良かった……と、もう一度胸をなでおろす。
『それよりも、今は目の前の敵に集中してください』
ハッ、と裕斗が前を向けると、“ソルジャー”がゆっくりと身を起こしていた。
「ええ。そうですね」
裕斗は答えると同時に、腰に差していた剣を抜いた。
刃のない柄だけの剣。しかし、次の瞬間光の刃が現れた。
魔力剣“アロンダイト”
普段は柄だけだが、魔力を込めることで光の刃を形成することができる。
気持ち悪い感じだと裕斗は思った。
ついさっき乗ったばかりのこの機体のことが手に取るように分かるのだから。
「まあ、今はどうだっていい」
ゴッ!と地面を蹴り飛ばし、“ソルジャー”へと肉薄。
“アロンダイト”を振るった。
“ソルジャー”は身を守るように斧を前に出したが、その上から吹っ飛ばす。
「とりあえず……」
“ランスロット”は凄まじいスピードで“ソルジャー”に再び接近し、
「ここから出てけ!」
蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた“ソルジャー”は面白い勢いで壁の穴を通過し、見えなくなった。
――脚力スッゴ!
裕斗は機体の性能に驚きつつ、すぐに地面を蹴って“ソルジャー”に肉薄。
起き上がろうとしていた“ソルジャー”は何も出来なかった。
「だああああ!」
“ランスロット”の振るった一閃が“ソルジャー”の首を切断する。
胴と泣き別れになった“ソルジャー”の頭が地面に落ちた。
――やった!
裕斗は勝利を確信したのだが、なんと首なしになった“ソルジャー”が“ランスロット”目掛けて斧を振るったのだ。
「おおう!」
とっさに“アロンダイト”で受け止める。
「シ、シーラさん!コイツ首なしになっても動くんですけど!?」
『暴走した魔導騎士は切った程度では止まりません。倒すには胸にある
――
チラッと裕斗の目にとまったのは“ソルジャー”の胸に埋め込まれた赤黒い宝石。
「あれか!」
定めるべき目標を決めるや、裕斗は“ランスロット”を駆け出した。
“ソルジャー”は迎え撃つように右の斧を振り下ろした。
しかし、斧が”ランスロット”ごと裕斗を両断する直前、裕斗は右へとジャンプした。
“ソルジャー”は右に避けた標的を左の斧で仕留めようとする。
「遅い!」
ブン!と振るった”ランスロット”の一振りが“ソルジャー”の左腕を切り飛ばした。
切り飛ばした“ソルジャー”の腕は孤を描いて地面へと落下する。
「これで……」
裕斗はは“アロンダイト”を両手で持ち、
「終わりだ――!」
“ソルジャー”目掛けて振り下ろした。
しかし……
ガキィィン!と凄まじい音が鳴り響く。
“ソルジャー”のまだ残っていた右の斧が“アロンダイト”を受け止めたのだ。
「な……!?」
裕斗は信じられないように目を見開く。
裕斗は押し込もうとするが、ビクともしない。
“ソルジャー”はこれを破壊されてはマズイと分かってるのか、先程よりも力が上がっているように感じる。
『いったん離れて再度攻撃を……』
「いや、それはできないです……」
裕斗は額に汗をにじませながら答えた。
視界が点滅し、まぶたが重い。
先ほどからこうだ。
原因は分からないが今の裕斗は気を抜けば意識が落ちるレベルであり、とてもこれ以上激しい動きができる状態ではない。
「だから、今ここで……コイツを倒す!」
その時だった。
”ランスロット”の持っていた“アロンダイト”が突然光り輝いたのだ。
ただ光っただけではない。
鍔迫り合いをしていた“ソルジャー”の斧が少しづつだが切り裂かれていったのだ。
何だか分からなかったが、チャンスだと思った裕斗は剣を一気に押し込む。
「い…けぇ―――!」
声とともに、“アロンダイト”は斧を両断。そしてついには、“ソルジャー”の
——こ……今度こそ……やっ……た……
今度こそ本当に終わったのだとホッと胸をなでおろし、裕斗は必死につなぎとめていた意識を手放そうとした。
がしかし、切り裂かれたはずの
「これは……!?」
『
「そういうことは先に言ってくださいよ!」
裕斗はグチりながら“ランスロット”を後ろに飛び下がらせた。
次の瞬間、凄まじい強音とともに
「うわぁ……」
アレに巻き込まれていたらどうなっていたんだろうと、裕斗は背筋を
――まあ、何はともあれこれで……一件……らくちゃ……く……
もう何もないことを祈りつつ、裕斗は深い眠りへとついた。
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