第3話 出撃

『…ルイ―ゼ』


と、ルイ―ゼの耳に付けていた通信魔道具から声がした。


この声は隊長の声だ。


「なんでしょうか、隊長」


ルイ―ゼは歩きながら応じた。


『どうだった?あの小僧は戦ってくれそうか?』


隊長の問いにルイ―ゼは苦々しい声で答えた。


「いえ、無理でした」


『そうか…』


隊長が落胆したのが通信越しに伝わってきた。

ルイーゼ自身も同じような気分だったが、すぐに気持ちを切り替える。


今やるべきことは戦うこと、それだけだ。


「では、当初の作戦どおり私一人で戦います」


『…大丈夫なのか?』


隊長から、心配の声がかかる。


「何がです?」


『―お前は、魔導騎士に乗るのは初めてだろう?』


ぴたっ、とルイーゼは足を止める。


確かにその通りだ。彼女が魔導騎士に乗るのは初めて。当然、操縦も実戦も未経験だったが…


―そんなもの、関係あるものか!


キッと頭を上げると、そこには青色の鎧に覆われた魔導騎士が立っていた。


「それでも、やるしかないんです。生き残るためには」


そう言うと同時にルイーゼは履いている靴に魔力をこめた。すると靴裏から風が吹き出し、彼女の体を浮かせる。そのまま急速に上昇したルイーぜは開いていた胸部の操縦室に着地する。


―この中が棺桶かんおけになるかならないかは私次第だな…


ゴクリ、と乾いたつばとともに頭に浮かんだ最悪の予想を喉の奥に流し込み、少女は操縦席に座り込む。


あぶみに足をかけ、左右にある操縦桿を握る。すると、開いていた扉が音を立てて閉まる。


外からの光が遮断され、操縦室は暗闇に包まれた。


『中に入ったか?』


「はい。では、これより。」


ルイーゼはギュッと操縦桿を握り、ある呪文を唱えた。


魔力接続開始コネクト・オン!」


唱えたと同時に、魔導騎士が起動する。


真っ暗だった操縦室が明るくなり、前の壁に外の光景が映った。


次の瞬間、彼女の体に痛みが走った。


「グッ…!」


痛みに顔を歪め、ルイーゼは小さい悲鳴を上げる。


『ルイーゼ!大丈夫か!?』


「はい…。大丈夫です…」


答え、歯を食いしばり、ルイーゼは機体を動かした。彼女の体に流れる魔力と繋がり、半ば一体化しているこの機体を動かしているのは彼女の思考だ。


だが、完全に思考で動かしているわけではなく、操縦桿とあぶみを使って動かす必要がある。

彼女は魔導騎士の操縦方法を習っていない。それでも操れるのはこの機体と繋がっているおかげだ。


ルイーゼは魔導騎士を操って格納庫から出る。


そして、機体を走る体制へと動かし、その名を呼んだ。


「ルイーゼ。“トリスタン”、出るぞ!」


ドッ!と踏みしめていた地面を砕き、魔導騎士…“トリスタン”は発進した。


▲▽▲


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