第28話 楽しもうよ!
「それに、これは結婚するまでの練習って思えばいいでしょ?」
自分の荷物を床に置くと、腰に手を置き胸を張る。
「練習か」
「そう練習!」
「ポジティブだな~相変わらず」
どっちかというと、マイナスの方に思考が向いていないだけだろうけど。
「え~、それに零二くんは嬉しくないの?私と住むのは」
「いや、嬉しくないわけじゃないけど」
「ならいいじゃん」
これで嬉しくない男子がいないわけないだろ。
同棲なんてお色気ハプニングとイチャイチャの雨あられ。いつでもラブコメがそこにある展開だろ。
それに相手が奏だ。最高過ぎる。
「あと、今後の為でもあるんだと思うよ?」
「今後って?」
「結婚した時、いきなり同棲はハードル高いじゃん?」
「今でもハードル高いけどな」
「だから練習なの!」
プクッと頬を膨らませて奏は言う。
「結婚する前とかでも全然いいとは思うんだけどな俺は」
別に、今からしなくても、婚約前とか、進学してからでも遅くはないとは思う。
時間はたっぷりあるしな。
「それじゃ遅いんだよ零二くん」
片目をつぶり人差し指を立てると、左右に振る。
「遅いとは?」
「ほら、婚約したカップルが同棲始めたら生活習慣とか色々違い過ぎて別れちゃうなんてことあるでしょ?」
「なんかよく聞く話だよなそれ」
「そうそう、だから今から練習をしなきゃってことなの」
自慢げに鼻を鳴らす奏。
「でも、そんなことよく知ってるな」
案外、こうゆう事は事前に調べているのか。俺に関係することはぬかりないよな奏のやつ。
それを勉強にでも少し生かしてほしいものだが。
そう関心していたが、
「恋愛ドラマで見たんだよ~」
テヘっとお茶目に舌を出す。
やっぱ奏が何かを調べるなんてありえない話だとは思った。ただ単に、日常で役に立ちそうな知識をテレビやアニメで取り入れているだけだ。それはそれで凄いとは思うが。
「まぁ、練習と思って楽しもうよ!同棲生活!」
俺の腕に抱きつくと、上目遣いをしてくる。
新しい環境、そして初々しい俺達の新しくできた関係性。
いい事も悪いことも、これから出てくるだろうとは思うが、
「ま、楽しむか」
と、俺は奏の頭を撫でた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます