第27話 同棲生活!?


「今日から同棲生活だね~」


 一週間後、俺達の新居であるマンションの一室でグーンと背伸びをする。


「…………マジでするのかよ」


 キャリーケースを置くと、俺は深くため息を吐く。

 目の前に広がるのは、白を基調したリビング。


 引っ越しも既に終わっており、使っていた私物やら、生活に必要なものは全て揃っている。

 自宅から少し離れた2ⅬⅮKのマンション。


 これが、これからの俺と奏の家になる。

 こうなった経緯なのだが………………事は奏が平日に泊まりに来た日の翌日に遡る。


 俺達が行為をしているのが母親にバレ、部屋の前にゴムが置かれていた。

 顔を合わせるのは気まずいのだが、奏はそんな事気にもせず、「お腹減った~」と言って朝ごはんを食べる為に俺達はリビングへと移動する。


 俺も、気まずそうな顔をして奏について行くと、


「あら、昨日はお盛んだったようで」


 と、親らしからぬ発言をする母親。もう俺達の関係はこれでバレた。


 なので、付き合ってると報告をすると、「なんだ、まだあなた達付き合ってなかったの」と、真顔で言われてしまった。


 誰が付き合う前にヤるか、とツッコミたかったが、そんな空気ではない。

 正式に俺達の口から付き合ってると報告を受けた母親は、奏の親とも話し合い、同棲を強要してきた。


 奏は大喜びであったが、俺は困惑で頭が真っ白になっていた。

 だって、普通いくら幼馴染と付き合ってるからと言って、同棲って……………頭のネジ外れてるな、俺の親。奏も親も大概ではないが。

 とまこんな感じで今に至る。


「キャ~、これから毎日零二くんと一緒に居れるなんて幸せすぎる~」


 相変わらずテンションが高い奏。足をジタバタとさせ、両手で顔を覆う。

「別に同棲しなくても、いつも一緒にいるだろ」

 家から出て、帰るまで毎日行動している。頻繁に泊りにくるし、そこらのカップルより一緒にいる時間は遥かに長い。


「違うよ~、やっぱ?一緒の場所と時間を共有するって、なんか違うじゃん?」


「まぁ、そうだが」


「それが、零二くんとだったらもっと違うじゃん?」


 まじまじとこちらを見ながら近寄ってくる。

「だとしても、同棲はやりすぎじゃないか?わざわざマンションまで借りてさ」

 このマンション、ただ俺達が住むが為に、俺達の親が借りたらしい。全く意味が分からない。


「それくらい応援されてるってことだよ~」


「応援ですか…………」


 ただただ鑑賞して楽しんでるようにしか見えないが。

 だとしてもマンションを借りたり、家具が家電までも新品ってやりすぎにも程がある。


 これから、ずっとここに住めと言っているようなものだ。

 そうだとしたら、なんか親に飼育されてるみたいだな。


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