第10話 ……恥ずかしいね

「ちょ!一旦離れろ!」


 このままだと本気で奏を襲ってしまいそうなので、体から離す。だが、


「え―――ひゃっ」


「おまっ、手つかむ…………んん!?」


 奏の体を押す手を掴まれ、俺も体を引っ張られる。

 そして布団の上に、奏を押し倒す形で倒れ込む。


「んん!?」


「……………ってて………零二くん大丈夫?」


 俺を見上げる奏。

 奏を見つめる俺。

 なんだ、このエロマンガみたいな展開は。


 この後確実にヤる流れだぞ、漫画なら。だが現実はそう上手く行かない。

 俺が一方的に我慢するだけで、奏はなにも思ってはいない……………と思っいたが、


「なんか…………恥ずかしいね」


 頬をじんわりと赤くしながら、はにかむ奏。

 こっちが恥ずかしいわ!


 傍から見たら俺が押し倒してるみたいな感じだし、今更だけど天然な幼馴染にコンドームを見つけせてる俺の方がよっぽを恥ずかしいわ!


 それにこの体勢………………色々マズすぎる。

 ズボンからはち切れんばかりにモッコリしてる俺の息子が丸見えだし、奏も息も少し荒い。パジャマも少しはだけている。


 もう、いっそこのことを同人誌にして出して欲しいくらいだ。

 相当売れるぞ?天然無知な幼馴染との初体験エッチとか。AVにしても売れそうだ。


「ねぇ、零二くん」


「な、なんだ?」


 言うのか!?もしかして言うのか!?

「……………シよ?」って言うのか!?


「そろそろ恥ずかしいから………さ、せめて上に乗っかるんじゃなくて横に寝そべってくれない?」


 予想していたが、言われないとなんか萎える。


「お、おう」


 と、俺は奏の横に座る。


「一緒にくっついて寝るのはさ、昔からしてるからいいんだけどさ?…………こう、上に乗っかってじっと見つめられるのは………………いくら零二くんでも恥ずかしいね」


 頬を掻きながら言う奏。

 それも、俺にとってはよっぽどハードルが高いけどな。


 昔から思考が変わらないのはお前だけだ。俺は中学生に入ったくらいから思春期を迎えて一緒にいることすら恥ずかしかったんだからな。

 今はもう慣れたけど。


「いつもくっついてくるのはお前だろ」


 泊りに来た時、いつも別々に寝てるはずなのに、朝起きたら奏が俺に抱きついて寝ている。


 スヤスヤと幸せそうな顔をして、寝相が悪くて胸元がはだけているたわわな胸を押し付けて。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る