10/2 あれ鈴虫が鳴いている
部屋の中で……。
10月2日。
昨日は9時過ぎには床についた。はずなのに、今日も午前中は無為。ずっと寝て過ごす。10時のおやつのおよばれにも応えられず。昼ごはんだけはなんとか食べたけれど。2時過ぎまで、私は死んでいる。
自分が何もできなくなったような気がしている。
無能感? 全能感の逆。私は何もできない。
どん底にいるような気がする。
何もできずにベッドにいながら、ひたすら沈み込んでいた。消えたい、と思った。先が見えないことに絶望していた。今まともに働くことすらできていない私が、この先どうやって生きていけるのか、わからなかった。詰んでるんじゃないの、私。大学卒業後すぐの時間をこんなに無駄にして、取り返しがつくのだろうか。そう思うと窒息感で胸がいっぱいになった。
放っておけばどこまでも落ちていきそうだった。
午後2時半。母に外に連れ出される。
いつもの海岸に行く途中で、母のスマホから『時代』が流れた。
――そんな時代もあったねと、いつか話せる日が来るわ。
――あんな時代もあったねと、いつか笑って話せるわ。
そんな日が来るのだろうか。助手席で歌を聞きながら、自然と涙が滲んだ。
今日の海は深い青緑。日差しと風が強い。
先が見えなくて怖い、と言うと、母はいつものように「今は焦っちゃだめ」と言う。「そう言われても焦るしかないんだよね」と母は笑う。
夕方4時過ぎ。帰ってきてから、母に勧められて、離れの部屋にこもった。今日はリモートで私の誕生日会(という名の雑談)をする予定があった。予定まで短い映画を見よう、と思った。ずっと見たかったアニメ映画『鉄コン筋クリート』を見ながら、ひたすら時間を潰す。
離れのトイレに行ったら、便器の中にムカデの死体が浮いていた。
ZOOMでわいわい話をしている途中、鈴虫の声が部屋の中から聞こえた。
母屋の部屋に戻ったらアシダカグモがドアに陣取っていた。
のんびりできるのはいいのかもしれないけれど、自然と近い暮らしは虫まみれなのが嫌だ。
今日は『鉄コン筋クリート』を見ながらこれを書いている。
解釈の難しい映画だが、100本ノックにはどうまとめようか。
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