最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜
樽秘
転生編
第1話 転生
「・・・ここはどこだ?」
目の前には、東京の町並みでも近くの公園でもなく、生い茂る木々が生えていた。全くこんな所に来た覚えは無い。
・・・確か、櫻井の野郎に散々パワハラで残業させられてたっけ。今回は自分の発表するプレゼン資料を俺に作らせて、それを使って自分の手柄にしていた。
成果は自分のモノ、失敗は部下のせい。典型的な最悪な上司だ。しかも、説教がネチッコク、揚げ足ばかり取ってくる。
流石に3連チャンで徹夜はキツかった。最終日は華金だったので、そのまま飲み屋に直行して、終電で帰ったまでは覚えているが、その先は・・・。
「流石に記憶がないからって、こんな樹海のような所まで来ないだろう・・・。」
そもそも富士山の樹海を見たことも無いし、行きたいとも思っていなかったし。日々のストレスで無意識にこんな山の中に来ちまったのか・・・?
久々にあそこまで飲んだのに、二日酔いになってないのは有り難い。こんな状況で、二日酔いだったら、最悪すぎる。
何時かと思って、左手の腕時計を見るが、時計が見当たらない。ポケットに手を突っ込みケイタイを探すが見つからない。財布もカバンもない・・・。
「やっちまったーー、最悪だよ。」
落胆のあまりに尻もちをついて、そのまま草むらへ寝転がった。木々の間から顔を出す空は、青々としており雲ひとつ無く清々しい気持ちになる。
そして、太陽が2つ?ある・・・?
「・・・はぁ?」
俺は左右の目に乱視が入っているが、メガネをしているし、はっきり見えているのでボヤケている訳じゃない。
癖でメガネを上げようとすると違和感を覚えた。スルッとメガネのある場所には何の抵抗も無い。明らかにメガネをしていない。そう、メガネをしていなくてもよく見えているのだ。
コンタクトは持っていないので、酔っ払ってコンタクトをするなんて有り得ない。可能性はゼロではないかも知れないが、夜中に眼医者に行って、視力測定してコンタクトを頼むなんて荒業は有り得ない。
「・・・眼の前に太陽が2つあるのは現実か?」
さっきから手をついている土の感触がリアル過ぎる。ほっぺを抓るが痛みが走る。
そんな事を考えていると、急に心臓の鼓動が早くなり、頭が割れるような激痛に見舞われた!!
次の瞬間、自分以外の人物の記憶が頭に入ってきた。
「ぅうわあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜。」
この激痛の時間は数時間にも感じた。実際は数十分かもしれない。果てしない時間に感じて額には汗がびっしょり出ていた。
整理すると・・・俺は『転生』してるっぽいな。
まず、見たこともない服装をしている。ゲームやラノベで出てくる冒険者の様な格好だ。腰には小型のナイフも装着されている。ただ、服は所々が破けたりしているが、外傷は無い。
近くにエドのバックらしい物が落ちており、その中に簡易の食料、飲水が入っていた。路銀は綺麗になくなっている。
そう、エドとはこの体の持ち主だった男の名前だ。先程の頭の割れるような激痛で、エドの記憶が俺の中に入ってきた。
エドは今年15歳になる青年だ。何処かの貴族や裕福な家庭に育った青年ではない。孤児院出身だ。
この世界では、15歳で成人する。そして、12歳のときに協会で『スキル恩寵の儀』を無料で受けられる。このスキル情報は、国に報告されて個人のスキルが国で管理されている。
国が優秀なスキル所有者を登用するためや特殊なスキルを得た者など反乱の異分子を管理・把握している。
そして此の国は、【オザミク王国】という。此の大陸には東西南北に4つの大国があり、その他無数の小国がある。オザミク王国は大国の1つで、南に位置する。
地球と同じで気温は、南が暑く、北が寒い。そのため、比較的過ごしやすい国であった。食料も比較的に育ちやすく豊富だ。ただし、貧富の差が4大国の中で最も開いている。
権力者である貴族の力が強く。その取り巻き達にもお溢れがあるが、それ以下の者たちは、一生懸命に働いても僅かな蓄えしかできない状況である。
そのため、危険と隣り合わせだが、腕っぷしさえ強ければ、ある程度生活ができる自由気ままな冒険者に成るものが多い。
自由気ままな冒険者とは、聞こえが良いが、実際は危険な冒険者しか就けなくて、生活のためにそうならざる得ない者も多い。
農地、店などを引き継げない次男坊以下の子。また、領地を引き継げない貧乏貴族で、且つ騎士団へ入隊できない出来損ない者も稀に冒険者になる。
そういった出来損ない貴族の坊っちゃんは、冒険者になってもプライドだけ高くて、成功する者は少ない。大体は、追い剥ぎにあって、そこら辺でくたばっている。
奴隷の制度もある。基本的には、借金奴隷、犯罪奴隷の2つである。枠外で、特殊奴隷などもいるようだ。これは、様々な条件があるので、エドの記憶を探ってもよく分からなかった。
お金は、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、金延棒
があり、市場で一般人が使用するのは、銀貨が殆どである。物価などから日本円に換算するとこんな感覚である。
・銅貨 1枚 100円
・銀貨 1枚 1万円
・金貨 1枚 100万円
・大金貨 1枚 1,000万円
・金延棒 1本 1億円
そうそう忘れてはいけないが、俺は
中の下の大学を卒業して、入社した会社が
ブラック企業だった。この3年間必死こいてガンバってきたが、そろそろこの会社に見切りをつけて、失業保険を貰ってる間に次の企業を見つけようと考え初めていた矢先。
ラノベとかだと、過労死で転生って感じだろうか・・・。酔っ払っててその辺りの記憶がないんだよな・・・。
俺の人生って何だったんだろう・・・。今思えば、大学時代が一番充実してたな。リア充だった。大学卒業後の3年間は思い出したくもない。
彼女とは、大学卒業後の半年で、仕事で殆ど会うことさえ出来なかった。そんな俺に愛想を尽きてちゃんと話して別れた。まあ、当然といえば当然の結果だな。
2度目の人生だし、転生者はチートスキル持ってるだろうから、これからこの世界を満喫してやるぜ。
「これからは、俺のターンだ!」
なんちゃってな。
<他作品>
タワーディフェンスゲーム的生活〜〜変異した地球をユニークスキルで引き籠もりたい(願望)〜〜
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330654796177025
良ければ御覧ください。
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