第10話 冬は寒いの暖かいものが定番です!

転生前の異世界において思い出していた。

魔王時代の配下に氷と吹雪に閉ざされた大陸の支配を任していたが

自分は終ぞその地に足を運んだことはなく、基本は遠距離からの

魔術通信を用いての報告のみでしか知らなかった。

側近らの話によれば、氷と吹雪が支配しているかの大陸は

通常の魔物では住みにくい環境らしく、人間たちも生活圏が少ないというらしい。

それほどまでに極寒なのか、と他人事同然ではあったが一度は足を踏み入れておきたい

と考えたことはあったが終ぞ叶わなかったのは前述の通りである。


マオウ(どれほど寒かったんだろうな・・・)


舞台は現代に戻り、セカイの家。

久しぶりにユウキと共に買い物の外出を行い、帰宅した所から。

冬の空気を実感させる肌寒さの季節となり、厚手の上着を着込んでの外出となった。


セカイ「うう・・・寒かった・・・」


手袋を外し、手をこすりながらリビングへと向かうユウキ。

その後を追う様にユウキといっしょに買い物した物が入っている買い物袋を持って

キッチンへと向かうマオウ。


マオウ「すぐに温かい物を用意しますね」

セカイ「お願い~いや~まさか、昼からこんなに冷えるなんて―――」


脱いだお互いの上着を掛けながらセカイは寒さの不満を漏らす。

少し前までは気温も秋、とまではいかないがまだ半袖でも過ごせたのが

一気に冬の到来を嫌と云うほど実感させる寒さで襲い掛かってきたのだ。

寒暖差で体調を崩さなかったのは幸いと云った所か。

しばらくしてホットカフェオレを保温ポットに入れて持ってきたマオウ。

温めておいたマグカップに暖かいカフェオレを注ぎ込んでセカイへと手渡す。


マオウ「熱いですから気を付けてくださいね」

セカイ「ありがとうマオウさん。いただきまーす」


両手で持ったマグカップで冷たくなった手を暖めるべく、しばしそのままの状態になるセカイ。

その後、暖まった両手を動かし、今度は身体の中を暖めるべく、少しずつ熱さに

気を付けながらおそるおそると口へと運ぶ。

口の中で熱さを感じさせながらそれが喉を通して腹の中へと流れ込んでいく。

寒さで冷えた身体を胃の中から暖めていくのを実感し、ホッとした感じに息を吐くセカイ。

その様子をマジマジと見ていたマオウ。

それに気づいたセカイはマオウの方へと視線を向ける。


セカイ「どうしたの私の顔に何か付いてる?」

マオウ「いえ、寒い時に暖かい物ってやっぱり色々凄いんだなぁと思いまして」

セカイ「マオウさんはそういう経験がなかったの?」

マオウ「完全に無かった訳ではないですが・・・何分メイドとしての修行が大半でしたので」


人それぞれね~、となんとなくセカイは思いながらカップに残ったカフェオレを飲み干す。

マオウからは「おわかりは?」と聞かれたのでお願いと答え、カップを渡す。

おかわりの入ったマグカップを手に取りながらセカイはふとマオウのことを考えた。

彼女とは出逢って月日が浅いのもあるのだがかなり不思議な女性だと思った。

出身などは特に聞いてはいないが少なくともそこら辺は特に変わりのないのではないかとセカイは思っていたが彼女が不思議に思っていたのはマオウの取り巻く雰囲気だ。

時折、彼女からはメイドだからとか関係無く何かと不思議なオーラの様なそんなものを感じ取ることがある。

無論、彼女にはそのことを話してはいない。

必要がないとも言い切れないがさしたる問題ではないと不思議と判断したのもある。

言葉にしにくい部分もあり、どう表せばいいのかわからなくなることもあるが

それでもセカイは彼女のことは特段問題のない人物だと断言はできていた。

何故かと聞かれれば言葉として表すのであれば「直感である」としか言えない。


セカイ(胸の大きさとかどうしたらそう育ったのとか聞きたいけどもね)


最後にそんなくだらないことを想いながら帰宅後の少し暖かさを感じる雰囲気で

身体を暖めてるとその後の仕事の作業へと移っていくのであった。

暖かみは身体と精神双方に大事なのだとマオウは述懐しながら自身の作業を行っていく。

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