王子の逆鱗に触れ消された女の話〜執着王子が見せた異常の片鱗〜
犬の下僕
第1話
この国では5歳になると王宮でお披露目会が行われる。お父様に付いて王宮へ行った私はその日、運命の人と出会った。
「は、はじめまして!ダリア・ハーヴェイです!」
「ジョシュア・アークハインツです」
緊張しながらカーテシーをした私にそう穏やかに微笑んだ美貌の王子様。
挨拶以外話すこともなくすぐに去ってしまったジョシュアを名残惜しく見送るとダリアはすぐに父親にジョシュアと結婚したいと強請った
「お父様!私ジョシュア様のお嫁さんになりたいわ!私のお願い聞いてくれる?」
ダリアに甘い父親はすぐに婚約者"候補"の座を勝ち取って帰ると誇らしげな顔をして
「ダリア!これで未来の王妃はお前だ!ジョシュア様を支えられるように頑張るんだぞ!」
「ほんとに!?お父様大好き!やったわ!ジョシュア様のお嫁さん!私頑張るわ!」
「ああ!お前以外に王妃に相応しいものなんていないさ。」
それからのダリアは両家の顔合わせを終わらせると王妃教育に打ち込んだ
「今日はこれで終わります。…ダリアさんやる気がないなら私から陛下に言付けておきますが。」
「あるわよ!酷いわ私だって頑張ってるのに!」
「…はぁ。わかりました。ではまた明日」
「ぐすっ…何よあのおばさん…でもこれもジョシュア様の為」
今まで甘やかされまくったダリアに厳しい王妃教育は辛かったが月に1度はジョシュアと顔を合わせられるのでダリアは頑張れた
「ジョシュアさまぁ♡今日は何処に行きますか?私新しいドレスが欲しいですぅ♡」
「好きにしなよ」
しかしダリアは気づいていなかった。両家の顔合わせの時も、ダリアと居る時もジョシュアの目には欠片も感情が宿っていなかった事に
そんな厳しくも幸せな日常を送っていたダリアだったが8歳を迎えたある日その幸せはいきなり崩れ去った
コンコンッガチャッ
「お父様いきなり呼んで何の用ですか?」
「ダリア…すまない」
「お父様どうしたんですか…?」
いきなり父親に書斎に呼ばれたと思ったら深刻な様子で謝られた。
「王太子殿下の正式な婚約相手が決まった」
「まぁ!やっとなのね!それで婚約パーティーはいつになるんですか?」
「ダリア、よく聞いてくれ。王太子殿下の婚約者はジャンヌ・オルティア公爵令嬢に決定した。ダリアは王妃にはなれないんだ。」
「……え?」
突然婚約者がジャンヌになったと言われてもダリアは納得出来なかった。なぜなら
「…お父様、そんな冗談言うなんて悪趣味ですわよ?ジャンヌ様にはアカシア王国の第3王子という婚約者がいるじゃないですか。産まれた時から決まっていた事なんですよね?それなのにジョシュア様と婚約だなんてそんな事あるわけないでしょう?」
「冗談だったらどんなによかったか。…アカシア王国が滅んだんだ」
「い、いったい、なにをおっしゃっていますの?」
「3日前、突如現れた巨大な影に飲み込まれアカシア王国がこの世から塵も残さず消えたらしい」
「だからって!ジョシュア様には私がいるんですよ!?なにもジョシュア様じゃなくたって!」
「私もそう言ったよ。けれどダリアはまだ候補の段階だったからオルティア公爵家に決定したんだろう。」
「そんな…!だって王妃教育だって!私今まで頑張って来ました!そうだ!ジョシュア様は!?ジョシュア様はなんて仰られてるの!?そんな事ジョシュア様が許すはずないわ!」
「…ジョシュア様も納得されている。」
「………そんな。嘘よ!嘘よぉおおっ!!」
ダリアは泣き崩れた。
それから程なくしてジョシュアとジャンヌの婚約パーティーは盛大に開かれた
「皆の者今日は私達の婚約パーティーに来てくれてありがとう。これからはこの愛するジャンヌと一緒にこの国の王太子として相応しい姿を見せられるように精進する。今日は楽しんで行ってくれ!」
8歳ながら堂々とした姿でそう宣言したジョシュアは誰もが見とれるほどに美しくそしてその隣で凛と寄り添うジャンヌは幼くも時期王妃として相応しい姿をしていた。
「許せない…!ジョシュア様は私の物なんだから…」
遠くから幸せそうな2人を見つめるダリアのその瞳は憎悪に濡れギラギラと光っていた
ある日のこと、ジョシュアを諦めきれないダリアは父親と王宮に抗議に訪れていた。
きっとジョシュア様は、陛下に無理矢理政略結婚をさせられるんだわ!じゃないと、私との婚約が無くなるはずないもの!愛のない結婚を強いられるなんて…お可哀想に。私と会えなくてきっと寂しがっておられるはずだわ。ジョシュア様!今私が会いに行きますからね!
するとなんという偶然か、前方からジョシュアが歩いてくる。その姿を見つけ喜び駆け寄るダリア
「ジョシュア様!お会いしとうございました!貴方のダリアが来ましたよ!」
スタスタスタ
そんなダリアが見えていないかの様にジョシュアは通り過ぎて行く
「ジョシュア様!無視しないでください!ジャンヌですか!?ジャンヌが私と喋らないように無理矢理約束させているんですか!?」
クルッ
その言葉にようやくジョシュアがダリアに振り返った
「…!やっぱりそうなんですね!?許せない!あの性悪女!私とジョシュア様を引き裂いて!でも「ねえ」
「お前ごときがジャンヌの名前を呼ぶなよ」
「………え?」
ダリアはジョシュアらしくない言葉遣いとそのいつも浮かべている穏やかな笑みを消したゾッとするほどの無表情に一瞬何を言われているのか分からなかった
「てか、お前誰。」
「誰って…ダリアです!ジョシュア様の婚約者の!」
「…?婚約者?僕の婚約者はジャンヌだけだけど」
本気で分からないとでも言うように首を傾げたジョシュア
「っ!!ジャンヌに言わされてるんですね!?安心してくださいジョシュア様!今お父様に言って婚約を取り消してもらって「グエッ」
そのジョシュアの様子が許せなかったダリアはそう言い募るが言葉の
「は?なんて言った?婚約を取り消す?僕からジャンヌを奪うつもり?許さない。許さない許さない許さない許さない!…殺す。決めた。こいつをここで殺す」
ギュウゥッと8歳児とは思えない力を込めとどめを刺す勢いのジョシュアに慌ててダリアの父親が駆け寄ってきた
「ジョシュア様!お辞め下さい!娘が死んでしまいます!お願いします!」
「死ねばいい」
それでも首から手を離さないジョシュア。ダリアはいよいよ泡を吹きピクピク痙攣する様子をみせる様になり危険な状態だ
「何でもします!お願いですからダリアを許してください!」
なりふり構わず跪いて命乞いするハーヴェイ公爵のその言葉にやっと反応したジョシュアはダリアを解放した。
ドサリッ
「カヒュッ!ゲホッゴホッ…ゼーゼー…うわぁぁん!お父様ぁああ!!!」
「ダリア!大丈夫かい?いったい何があったんだ?!」
「陛下にジャンヌとジョシュア様との婚約を取り消して貰うって言っただけよ!」
「そんなことで…」
「そんなこと?」
ジョシュアの血も凍る様な冷たい声に背筋が震えた
「あっ!いえ!申し訳ありません!」
「言っておくけど、次ジャンヌを軽んじたらハーヴェイ公爵家は一族郎党皆殺しだから。」
突拍子も無い言葉だがジョシュアの目は本気だった。
「は、はい!肝に命じます!」
「あ、さっきの言葉だけど」
「…はい?」
「何でもするって言ったよね?」
「は、はい!命を助けて貰えるなら何でもします!」
「じゃあ、ハーヴェイ公爵家が保有するアメジストの独占権僕にちょうだいよ。ジャンヌに良く似合うんだよね〜!それと、もうその女僕にもジャンヌにも近づけないでね?あと、婚約の事でごちゃごちゃ言うようなら明日の朝日が拝めると思わない事だね。ハーヴェイ家は今まで色々王家に尽くしてきたみたいだから1回だけなら見逃してあげるよ。でも次はないから」
「そんな!いくら何でもと言ったとはいえアメジストの独占権だなん「じゃあ、死ぬの?」
「いいんだよ?僕はお前らが死んだ後に独占権を回収しても」
「…っ!わかり、ました。全て承諾します、、」
「うん!じゃあ帰っていいよ」
そう言って去っていくジョシュアを見ながらハーヴェイ公爵はもう二度とジョシュアとジャンヌには関わらないと心に刻み込んだ。そして、少し盲目的な所がある娘に言い聞かせる。
「…ダリア、もうジョシュア様には二度とお会い出来ないと思いなさい」
「嫌よ!私のジョシュア様なんだから!お父様何でそんな事言うの?今まで私の願いなら何だって叶えてきてくれたじゃない!ジョシュア様が欲しいの!ジョシュア様と結婚させてよ!」
パンッ
殺されかけたというのにそれでも懲りてない娘の発言に思わず生まれて初めて頬を打った
「いい加減にしないか!死んでもいいのか!?…ダリア。お前を甘やかした私も悪いがこればかりはどうにもならない。ダリアは可愛いんだ他にもいい人がきっと見つかるはずさ」
「痛い!…わかったわよっっ!!!(死ぬ?何よお父様の腰抜け!あれはジョシュア様の照れ隠しなんだから死ぬはずないじゃない!きっと久しぶりに会った私が可愛すぎてちょっと力加減を間違っただけよ!絶対に諦めないわ。でも、もうお父様には頼めないし、きっとジョシュア様に近づけば怒られてしまうわ。仕方ないからほとぼりが冷めるまでは大人しくしてあげる。…ジャンヌつかの間の幸せを精々楽しんでおきなさい。)」
◇◇◇
あれから5年の月日が経った
「もう!何であの日から1度もジョシュア様にもジャンヌにも会えないのよ!」
「お嬢様、旦那様から王子殿下とアークハインツ公爵令嬢には近寄るなと接近禁止令が出ております」
「うるさいわね!たかがメイド風情が私に意見してるんじゃないわよ!って…ん?あれは」
街に買い物に出かけていたダリアは偶然にも同じく買い物に出かけていたジャンヌとジョシュアを発見した。
「なんで…ジョシュア様なんでそんな女と手を繋いでるの。私とはいくらお願いしても繋いでくれなかったのに。」
ダリアが見つめる視線の先には誰がどう見ても幸せそうな一組の恋人達
しかもジョシュアはダリアといる時には決して見せない熱の篭った瞳でジャンヌただ1人を見つめている
ギリッ
「許せない…ありえないわ。そこは私の居場所よ!」
ダリアは親指の爪から血が出るほど噛み締めるとジャンヌの姿を恐ろしい形相で見つめ続けた
そんな折、突如ダリアに絶好のチャンスが訪れる
「お招き頂きありがとうごさいます!」
「よく来てくれたわね、ダリア公爵令嬢」
この国の第二妃であるセシリアのお茶会に誘われたのだ
「ダリア、可哀想にね。ジャンヌ公爵令嬢に王妃の座を奪わたんですって?まったく図々しい。私はダリアがジョシュア様の妃になるのを楽しみにしていたのだけれど…」
「私もジョシュア様の妃になりたいです。きっとジョシュア様もそう思ってらっしゃるはずです。でも、ジャンヌ様が…」
「ダリア、ジャンヌ公爵令嬢とお話してみてはどうかしら?ジョシュア様とダリアが愛しあっているならジャンヌ公爵令嬢は喜んで身を引いて下さるかもしれないわよ?」
「セシリア様それはいい考えですわ!あ、けど私お父様に接近禁止令を出されているんです…」
「接近禁止令?そんなの関係ないわ。私の招待を断れるはずありませんもの。私がお茶会の場を用意してあげます。」
「本当ですか!?それならきっと上手く行きますわ!」
セシリアは賢く操りにくいジャンヌではなく馬鹿で操りやすいダリアを妃の座に置いて王宮を掌握しようとコソコソ動いていた。そんな事とはつゆ知らずダリアはセシリアの思惑通り動いていた。
王子の最愛を引きずり下ろそうとする悪女達。この時はセシリアも、ダリアも自分がどれ程愚かな選択をしたのか分かっていなかった
◇◇◇
「ジャンヌ公爵令嬢ようこそお越しくださいました」
「第二妃殿下、本日はお招き頂きありがとうごさいます。どうか私の事はジャンヌ、とお呼び頂けますと幸いに存じます」
「ほほほ、ではジャンヌとお呼びしましょうか。そちらにお掛けになって」
そう言って見事にカーテシーをしてみせたジャンヌの大人顔負けの気品にセシリアは内心「可愛げのない子」と思いながらも顔には出さずダリアが座る向かいの席へ着席を促した。
「ええ。ありがとうごさいます」
「じゃあ、はじめましょうか。実は今日ダリアがジャンヌにお話があるそうなのでこの場を設けましたの。ダリアお話してあげて?」
やっと、やっとだわ!この5年間ジャンヌに味わわされた屈辱を忘れた日は無かった。今日この日をどれだけ待ちわびたか!お父様は必死に止めてきたけどセシリア様のお誘いを断れるはずないじゃない?ジョシュア様に殺されるって、まだあの冗談を信じているのかしら?
興奮に逸る気持ちを紅茶で落ち着けてジャンヌに話しかける
「セシリア様ありがとうごさいます!ジャンヌ・オルティア公爵令嬢初めまして。私貴女にとってもお会いしたかったんです。…そうとってもね」
「お初にお目にかかります。ダリア・ハーヴェイ公爵令嬢。それで、お話とは?」
「ジョシュア様の事です。」
「…ジョシュア様が何か?」
「ジャンヌ様はジョシュア様がお好きですか?」
「ええ。お慕いしております。」
「っ…そう。ではジョシュア様に幸せになって欲しいと思いますよね?」
「それは勿論」
「じゃあ、ジャンヌ様…ジョシュア様の幸せの為に彼を解放してあげてください!」
「解放?どういう事ですか…?」
「ジャンヌ様は知らないかも知れませんが、私は以前ジョシュア様と婚約しておりました!とても愛し合っていたのに突然引き離されて…。なぜだかわかりますか?」
「…いえ」
「ある日以前からしていた婚約が無くなったからと、嫌がるジョシュア様を他所に婚約者の座へと陛下がとあるご令嬢を据えたのです。…誰だと思います?」
「…」
「
「まあまあ、ダリア落ち着いて?でもジャンヌ、ダリアの言うことは一理あると思うの。ジャンヌがジョシュア様を本当に愛しているのであればジャンヌから別れを告げてあげるのもジョシュア様の為になる筈だわ。だって誰だって愛した人と一緒になりたいはずだもの。」
「…でも、ジョシュア様は私の事を愛してるといつもおっしゃって下さいます。」
「はんっ!そんなの義務だからに決まってるじゃない!陛下に言われたから仕方なくあんたを愛してる振りをしてるのよ!本当は私の事が好きなのにあんたがいるせいでジョシュア様は幸せになれないの!」
「、そんな、、」
「わかったら自分から身を引きなさい?そしてもう二度とジョシュア様の前に現れないで!」
「っ一度、ジョシュア様にお話してみます…」
それ以降、なにも話さなくなったジャンヌを尻目にセシリアとダリアは和やかに話してお茶会は終わった
◇◇◇
それから数日
ダリアにジョシュアから誰にも内緒で"マダムスージーの
「これって…!きっとプロポーズだわ!婚約指輪を贈ってくださる気なのよ!やっぱりジョシュア様はジャンヌじゃなくて私と結婚したかったのね!うふふ!嬉しい!何着て行こうかしら〜♪」
気分よく明日のドレスを選んでいたダリアは現在王宮で第二妃が行方不明になっている事も、その犯人が自分のよく知る人物であることも、…まだ知らない
「ハァハァ、えーと、マダムスージーの宝石店…はこの店ね!こんな森の中に宝石店があるなんて知らなかったわ。隠れた名店ってやつかしら…?ジョシュア様わざわざ私の為に調べてくれたの?きゃっ///」
ガチャッ ギィィー
扉を開けるとそこには愛しいジョシュアの姿が
「やぁ、待ってたよ」
「ジョシュア様!お待たせしてすいません!」
「…ほんとに凄く待ったよ。」
「そんなに私に会いたかったんですか?も〜ジョシュア様ったら私の事好き過ぎじゃないですか!」
「は?何言ってんの?」
「ジョシュア様照れなくてもいいんですよ!もう今日の要件も分かってますから!私はいつでも大丈夫ですよ♡」
「へぇ、分かってんなら話は早いね。死になよ」
ビュッ スパッ
「へ?」
そう耳元で音が聞こえたのと同時に顔の横を何かが通過しダリアの頬からツーと血が流れた
「ちっ、外したか」
「な、なにするの!?危ないじゃない!」
「殺すつもりなんだから危ないも糞もねーだろ」
「ころす…?なんで…?プロポーズは?」
「プロポーズゥ?ははは!馬鹿だ!こいつ本当に馬鹿!」
「だってここ宝石店でしょ?そういう事じゃないの?ジャンヌと別れたから私をお嫁さんにしてくれる為に指輪をくれるんでしょう…?」
「はー、馬鹿は1から説明しなきゃダメなの?2回目だよこの説明。お前と結婚とか死んでもないから。」
「お前らジャンヌに何か吹き込んだでしょ?じゃなきゃジャンヌから婚約破棄なんておぞましい単語が出るわけないもん。僕がどんだけジャンヌの事手に入れるのに苦労したと思ってるの?あの忌まわしい第3王子を亡き者にして悲しむジャンヌを慰めて周りに手回ししてやっと僕の事を好きになってきた所だったのに、こんなにもジャンヌを愛している僕にジャンヌの口から婚約破棄なんて言葉を聞かせるなんて、、、『やっぱりあの時殺しておけばよかった』」
ダッ
今まで状況が理解出来ていなかったダリアだがその言葉を聞いた瞬間走り出した
「た、助けて!誰か!誰かいないの!?助けて!!」
いくら逃げてもここは森の中
助けてくれる人はいない
ドカンッ ドンッ ドカンッ
「逃げるなよ、あんまり派手にやると誰かにバレるかもだろ〜?」
「お願い、謝るから!もう二度と関わらないから!勘違いなんてしないから助けて、」
「だめ〜、前に言っただろ?次は許さないって。一度で懲りておけば死ななかったのになぁ」
「なんで、助けてよ!誰か助けなさいよ!お父様!お母様!誰か!…きゃっ」
ジョシュアの攻撃から間一髪逃げ延びていたダリアだが何かにツマづき転けてしまった
「いたた、何…きゃああああ!!!」
見るとそこには辛うじてセシリアと分かるボロボロの遺体が投げ捨てられていた
「セシリア様!え、なによこれ!何なのよこれぇえ!!うぇっぐすっ、こわいぃ!」
「あーあ、見つけちゃったねぇ。怖くないよ、これから君もこうなるんだから」
「お願い!助けて!ジャンヌにも謝るから!もう二度と近寄らないから!許して」
おかしい。狂っている。この人は化け物だ。見た目が美しいだけの壊れた化け物。私はこの人に関わるべきではなかった。
「ジャンヌ様。…だろ?来世では自分の身の程を弁えた賢い子になれるといーねぇ。それが長生きする秘訣だよ。じゃ、バイバイ」
王宮にて
「ジョシュア…第二妃とハーヴェイ公爵令嬢が行方不明なんだが何か知らないか?」
「さぁ?化け物にでも食べられちゃったんじゃないの?」
王子の逆鱗に触れ消された女の話〜執着王子が見せた異常の片鱗〜 犬の下僕 @momomomomo0000
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