第4話 Ich.は遍在しない
一目であれば、間違いなく世界と誤認する。しかし、彼は溶けたひとつの動である。過熱した拳の衝波そのもの。うち寄せる死を前に躓くことはなく、流れ美しい髪はうら悲しい夜の池のよう、抱く決意は忘れがたく無垢な絶望のうちにあった。尽きない噴水を追う異邦人。こんこんと湧く水の源は天中のホーリーシンボル。象の死骸には慣らされていた。得々と語ることを忌め、身を犯し、血をえり出した。確かに彼らは高速移動していた。しかし同時には、静止していた。生の涯ての夢だったのか、もしくは、授かった新しき名の荒術か。
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