カレーを巡る戦い

*前回に続き、カレーの神に啓示を受けたので書きました。


インド人は激怒した。


「インドカレーが日本のカレー如きに負けただと!」


そう、これは2022年12月23日の出来事である。某旅行オンラインガイドが発表した、2022年における世界の伝統料理ランキングで日本のカレーが世界一位に輝いたのだ。当然これを知ったカレーの大国のインドはキレた。

多分この時ほど日印関係が悪化したことはないだろう。


ここから始まるのは当時のインド人と日本人の対話である。勿論全てはフィクションであり、実在する人物。団体とはカレーに誓って一切関係はない。


「日本のカレーは我が国のインドカレーよりも優れているという評価はあまりに不当である。きっと採点者の下が腐っていたに違いない!」


「けれどもそれが大衆に受けるというものなのだよ、インド人君」


「何だと。あのような澱粉質のドロドロ高カロリー食が今の時代のトレンドだと言いたいのか?」


「いやいや違うよ。スパイスを多量に使ったのが良くないんだ。君たちの国では泣いて、開かれた赤子の口にスパイスを突っ込んで慣れさせるという英才教育を施しているようだが、私たちは残念にもそんな高等教育は受けていないのさ」


こうして日本人とインド人のカレーを巡る争いは激化し、その果てに勃発したのが現在教科書に載っている第一次カレー戦争である。皆も知っての通り、この戦争によって日本では多数の人間がスパイスによる腹痛を訴え、インドでは肥満者が続出するという大惨事となった。そのため両国の代表は協力して日印カレー協会を……


出典:日印カレー協会発足の歴史

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