本の生態報告書

今まで人類はBOOKと戦ってきました。

その歴史は古く、Xデーから既に120年が経過しています。

本というものは物理的質量にとらわれず、空間を自由に移動することが出来、

個体にもよりますが、その圧倒的な情報質量から繰り出される攻撃はメモリーカードを筆頭とした高密度デジタル情報媒体によってでしか防ぐことが出来ません。


Xデーの発生は"次元間の壁"である、

[削除済み]の第三次調査が原因とされています。

[削除済み]の第三次調査ではプラズマ掘削機が導入され、

[削除済み]の最下層まで到達し、

本とのファーストコンタクトがなされました。


この際に接触した本が人間を

またプラズマ掘削機による[削除済み]の破壊がXデーの直接的な原因です。



▼当報告書は、別次元、通称"情報世界"における本の生態調査の結果です。



➤当調査で使用したアーマー、ブレード

エクサアーマー(10kg,10EB:意味のない情報羅列)

ゼタブレード(3kg,1ZB:意味のない情報羅列)


なお、ゼタブレードは非常に高価なため、当調査では3本のみ使用した。


➤注意事項

当調査では生還した隊員がおらず、

これは[削除済み]跡地で発見された隊員のノートをもとに書かれたものです。

そのため、本に書き換えられた可能性があり、信憑性はとても低くなっています。


➤発見されたノート

情報世界について。

情報世界は巨大な塔を中心とした小惑星帯のような世界である。

いたる所に本が飛んでおり、本達が常に戦い続けている。


本の戦いについて。

本はお互いの情報質量をぶつけ合い、相手がぼろぼろになるまで戦う。

相手が動かなくなった場合、相手の内容を学習する。

これによって勝った本は情報質量を増加させる。

まるで[判読不可]だな。


本について。

一応基底世界とは違うかもしれないから調査。

物理的に破壊しても、いくらでも再生する。

やはり例にもれず、情報質量で殴るしか対象方法がないらしい。


後、そのへんに飛んでいた本の中身を見てみた。

タイトルは"トマト式[判読不可]前進技術に関する考察"、

中身は当然トマトの話もあったが、

主に料理系の内容のほうが圧倒的に多かった。

もしかしたら本は同じ系統の情報を集めているのかもしれない。

せっかくだから持ってきたトマト缶を与えてみたら、

最後の方にトマト缶の記述が増えた。


あまり肉付きの良くない固そうな食材が持ってきたのは、

トマトの絵が書いてある缶詰であった。

その食材が缶詰を開くと、中にはトマトが潰されたようなペーストが入っていた。

当書[判読不可]ではこれをトマト缶と呼称することにする......


だそうだ。

人間を食材だと思っているらしい。

まだ情報が足りないようだ。




#以下、走り書きされた文章

今回、あの巨大な塔には行けなかった。

あまりにも本の[判読不可]が多くて行けなかった。

とにかくアーマーのデータ消費速度がエグい。

後、人間大全集なる本がいた。

的確に弱点を学習するし、情報質量が圧倒的に大きい。

ゼタブレードでさえ、データ破損率が70%を超えた。

あいつだけは手がつけられなくなる前になんとかしないと。


▼補遺

調査隊の死体付近から回収されたゼタブレードのデータである。


テーマは既に決まった。

後は時間が全てを解決する。


#以下、意味のない情報羅列。






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