第4話 マッサンとアサガオ
マッサン「おはよう。」
アサガオ「あ・・・おはようございます。」
その日の朝食は、マッサンとアサガオのふたりだけだった。
「マッサンってさ、いつも河原のとこにいて体鍛えているけど、私も一緒にやっちゃダメかな?」
「ん?鍛えているといったっていつもは、河原でぼうっと考え事しているついでに、軽くストレッチなんかをやっているだけだよ」
「私ちょっとダイエットしようと思っていて、一人だと続かないから・・・。」
「なんや?気になる人でもできたんか?まあそれが俺ではないということくらいはわかるけど、何なら相談乗ったろか?」
「えっ・・・・・。」
「いやな、俺も今気になる人ができた。だから俺の話もちょっと聞いてほしいのよね。ここじゃあれだし、今から川いこうか。」
河原に着いたふたりは、同時に口を開いた。
「で・・・、誰?」
「アサガオが気になっているのは、歌がうまいあの人?てんぼうさん?」
「いや違う・・いや違わない。」
「俺が気になっている人というか、俺の方はアサガオのとは少し違うんだ。あの新しく入ってきたイサコって子、あの子は多分死にたがっているように俺には見えていて
俺の勘違いならいいのだけど、どうにも気になって仕方がないんだよ。」
「気になるってそっち?好きとかじゃないの?」
「まあね。」
「なんでそう見えるの?あの気持ち悪い管理人にほぼ毎日絡まれてはいるけど、私には結構楽しくやっているように見えるよ。」
「え、あの管理人って俺は嫌いだったけど、アサガオも嫌いだったの?」
「いやいやいやいや、あいつだけはほんと、1回殺してやりたいくらい嫌い」
「私ね、元看護師で点滴の種類間違えたり、患者さんの薬とか取り違えて飲ましちゃったりして、何人か殺しかけた過去があるの。」
「俺な、ここには本当は死ぬために来たんだ。何となくもう8か月もいて、それなりに楽しかったし、もういいかなって思ったりもしてな。」
「絶対ダメ。死んじゃダメ。困る。というかなんで死にたいの?」
「それはまあ、いろいろあって・・・。」
「俺さ。彼女とはなんか同じような感じがするんだよね、でも俺おっさんだし、下手に話しかけたりして変な感じになってもあれだし。」
「じゃあさ、私は痩せたらてんぼうさんに告白するから、マッサンも痩せてイサコさんに告白すればいいじゃない。」
「俺が告白とか絶対無理や。うまくいく未来が全く見えん。」
「私も頑張るからさ、マッサンも頑張ろうよ。それがいい。そうしよう。」
「でもまああれだ、アサガオとはちゃんと話したのは多分初めてだと思うけど、ここの住人でこんなに話したのって、敬さん以来だわ。」
「へ~、そうなんだ。私も敬さん以外の人とちゃんと話をしたのは初めてかもしれない。」
「今日はアサガオと話せてよかったよ。ありがとう。これからもよろしく。」
「マッサンは普段何をしているの?」
「ん~、この河原に来ている以外はほぼ部屋でゲームしているかな。アサガオは?」
「私もほぼ毎日ゲームしているだけ。それ以外はてんぼうさんが歌っている時は
こっそり聞いてる。」
二人が打ち解けた次の日の朝は雨だった。
アサガオが死んだ。
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