第三章 砂の都ノーバイド

10話 争いあう人々

 二人は砂の都ノーバイドの入り口までたどり着いた。二人とも汗をかいている。遠くから見た白い壁は目の前に高くそびえ立っていた。入り口だけがぽっかりと空いている。入り口には甲冑を来た二人の兵士が槍を持って立っていた。

 エリックとローエンが入り口に近づくと兵士たちが警戒する目で二人を見た。声が届く距離である。


「何者か?」


 兵士の一人がいった。


「旅の者です。中に入れてはくれませんか?俺はエリック。隣にいるのは、ローエンといいます」


「旅の者か……中に入るのは構わない。しかし、あまり勧めはしない」


「勧めない?」


「今、この砂の都ノーバイドでは争いが起きている。表面上は平和だが二つの派閥に分かれているんだ。砂地から旅立つべきだという行動派と、自分たちの居場所はここだという穏健派。二つの派閥は互いに争っていて終わる気配はない。だからひょっとしたら旅人が厄介事に巻き込まれるかもしれない。それでも入るのか?」


 エリックとローエンは顔を見合わせた。ローエンの情報通りだった。


「入ります」


「そうですか。くれぐれもお気をつけて」


 兵士の片方が頭を下げた。エリックとローエンも頭を下げながら白い門を潜った。

 最初の都。砂の都ノーバイド。

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