猫魔王討伐!(kei's Adventure Party)

kei

第1話 プロローグ

昨日のスキー場の帰り道、keiはマーケットのお寿司売り場にいました。

18時も過ぎたので、売れ残っていたバラちらし寿司が、半額の198円で3つもあります。

錦糸たまごや桜でんぶがキラキラしていて、おいしそおなんです♪

「これ食いますか、ちょうど三つありますよ。」

ニット帽のお兄さん達3人も、特価バラちらし寿司を狙っています。

冬の間、山にこもってスノーボードをしているような感じのお兄さんたちです。

「おお良いな、おれはちらし寿司と即席味噌汁にするかな。」

え~、keiが先に発見したバラちらし寿司だよ。


「おれはホカ弁って、選択肢で行くよ。」

「じゃあ、2つですね。」と言って、売れ残り特価のバラちらし寿司を取り上げる日焼けしたお兄さん。

よかった~!

keiの分が残ったo(^^o)

これを食べてお兄さんたちのようにキッカーでジャンプするんでっす(^^)/


今日のスノーボードの呪文は「板を太ももにひきつける~引き付ける~」でした。

そうやって意識してると、ヒールサイドターンからトウサイドに、うまくクロスオーバーできるような気がする。

keiは毎日呪文を作って、スノーボードの練習してるんでっす。スノーボード技術検定1級をとって、インストラクターになりたいのね。

( 2021 日本スノーボード協会公認インストラクターなりましたー )

そうそう、昨日のお兄さんたちも猫猫スキー場のローカルさんかしら~?

きっとパークで飛んでるんだとおもお。


とりあえず、緩斜面で今日の呪文の練習をして!

こんどは急傾斜な秘密の沼B線ロマンスリフトに乗ります。

さっきまで晴れていたのに、急に曇って風が出てきまった。

寒いのでインナーのフリースのチャックをあげて、顎とお口を包み込みましたよ。

B線ロマンスリフトの隣は、山頂まで昇る秘密の沼A線トリプルリフトです。

そのトリプルリフトの山頂付近に黒い雲が出てきたのね。


びゅ~。って、風がひと吹き!

雪が渦を巻いて、過ぎ去りまった。

そのとたん、ものすごい風が吹きつけてきた。

木々から雪や霧氷が、強い風とともに襲ってきます。

霧氷がほっぺにぴちぴち当たって痛い!

わぁ~風圧でリフトが傾いてるぅ。。

こんどは雪です。

まったく前が見えないほど、横殴りに降りつけてきます。

なんか、雪崩の中ってこんな感じっ!みたぁいな雪まみれ。

きゃぁ~~(゜O゜;)


ズボンのポッケの中の"さめ"も、もぞもぞと動き始めまった。

異常事態に気づいたのかしらっ?

あっ、ヒレでkeiの腿をツネったよ。

なんか、用事があるみたいです。

"さめ"をポッケから出してみた。

「keiさんっ こ おうしわ です。」

強い風と雪で、なに言ってんだか分からないので、やっぱポッケにしまった。

もぉ。。

"さめ"ってば、またつねってる。

しかたがないので、"さめ"をニット帽の耳あてに入れて、お話を聞き取りやすくしました。

「keiさん!」

うるさぁ~い!

耳元で叫ばないでぇ~!


そうそう"さめ"はkeiの使い魔です。

ホオジロザメなんだけれど、まだ体長7cmの幼児です。

これが最近は生意気なんだなぁ~

あっ実はkei、魔法使いなんでっす。

でも、社会人としては観光に来たお客さん向けのサービス業してますよ。


「keiさん、この異常事態は猫魔王の魔力に関係してると"さめ"は思います。」

猫魔王ですかぁ~(-_-;)

たしかにこの風と雪は尋常じゃありません。

猫猫スキー場ローカル組にとって、風雪の強さや寒さは当たり前。

でも、こんなの初めて~

リフトは超減速運転です(ありんこが歩くスピード)。

数十分も時間が経ち、吹雪の中にとつぜんリフト降り場が見えてきました。


リフト係のおじさんが、keiの手を引いてリフトから下ろしてくれたよ。

スゴイ積雪なんでっす。

リフト降り場の雪はひざ下近くまであって、リフトが通るところだけ除雪してありました。

「パークは閉鎖です。視界が悪いのでセンターゲレンデをまっすぐ降りてください。」

「はぁ~い、毎日滑ってますからぁ。。だいじょうびだとおもいます。」

おじさんはウェアからおっきなトランシーバーを取り出しました。

「お客様は青のシムスのジャケットとバートン黒のパンツです。板はおがさか、青いユニオンのビィンディングです。オーバー。」

ジッ

「パトロール2、Roger!」

ジッ

「パトロールが途中まで迎えに来ます。とにかくネコジャンセンターをまっすぐ降りてください。」

すごい深雪だよ。なれたゲレンデと言っても、やっぱ深い新雪を転ばずに降りる自信ないなぁ。

「ハイクで降りちゃいけませんかぁ。」

「この寒さです。なるべくだったら、体が冷える前に速やかに滑り降りてください。では気をつけて、It is a fortune to you! 」

吹雪でなんだかよく分からなかったけど、おじさんてば英語でなんか言ってたような気がする。

"さめ"が翻訳してくれました。

「keiさんに幸運を!って、言ってくれたんですよ。」

え~!なんで最後に、しかも英語でぇ~

この事態に"幸運を"だなんて、やばくないですか~?

危険な香りがしますねぇ。。


ポンピン パンリン ペロリンコ~♪

keiの頭の中ではムーミンの主題歌が流れていました。

さっきまでネットTVでムーミンを見ながら朝ご飯を食べていたのにね。

いまは命が危険にさらされているのかも。


「さて、keiさん。どうしましょう。」

keiは板をズリズリしながら、センターゲレンデの真ん中までやってきまった(たぶん)。

「"さめ"は車に戻って現状の把握から、調査をはじめたほうが良いと思います。このただならぬ事態にはやはり猫魔王が関係してると思うのです。」

「そうだね、車に戻ってエンゼルパイを食べよお。」

とにかく、ネコジャンセンターを降りなきゃですね。

パウダースノー苦手だなぁ。。

「後ろ足で雪をなでるように落ちていくんです。雪と喧嘩をしちゃダメです。」

後を振り向くとネコジャンセンターゲレンデ山頂に向かって、吸い込まれそうな闇が広がっていまった。

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