シャドウズ
saji
プロローグ 女神さまと124人の王さま
地球という星があります。人がたくさん住んでいます。
そこに王さまがいます。124人もいます。
毎日毎日、飽きることなく戦争をしています。
そのたびに人がたくさん死にます。
本当にたくさん、死んで死んで死んでしまいます。
みんなとても悲しみました。たくさん泣きました。
戦争なんて無くなればいいのに。
誰もがそう願っていました。
するとある日、空から女神さまが舞い降りてきました。
舞い降りてきた女神は言いました。
「争いなんて止めて、みんなで平和に暮らしましょう」と。
この世界を救うことが女神さまの使命だったのです。
女神さまは妖精を作りました。
みんな妖精と仲良くなりました。
妖精の力を借りて魔法も使うことができました。
みんなの暮らしが豊かになりました。
――けれども、戦争はなくなりません。
そこで、女神さまは宝石に力を込めました。
それを王たちに分け与えました。
妖精石、これがあればいつでも、妖精を呼び出せるので、独りぼっちなんて怖くありません。
魔法石、これがあればどこでも、妖精たちがいなくても魔法が使えます。
生命石、これがあればだれでも、何回死んでも生き返ることができます。
――、これがあれば――は、――ます。
――、――
――、――
――、――
王さま以外にも、たくさんの人が宝石の力を借りることができました。
飢えが無くなりました。
孤独が無くなりました。
死が無くなりました。
戦争は――。
ある日、一人の王さまが女神さまに恋をしました。
女神さまに思いを伝えると、その気持ちが伝わり、二人は仲良く暮らしました。
けれど、その王さまは女神さまの力を独り占めしようとしていたのです。
とても悪い王さまでした。
その企みに気付いた若い青年の王さまは、その王さまを懲らしめようと、仲間を集めました。
悪い王さまには、44人の王さまが集まりました。
若い青年の王さまには78人の王さまが集まりました。
二人は再び、大きな戦争を始めました――。
戦争は、若い青年の王さまが勝ちました。
女神さまを悪い王さまから救った若い青年の王さまは、人々からたくさん「ありがとう」を言われました。
そして今度こそ、女神さまと共に助け合い、若い青年の王さまは争いのない平和な世界を築こうとしました。
女神さまの力と王さまの強い意志、絶え間ぬ努力、家来たちや人々の協力が合わさり、ようやく世界は平和になりました。
平和になった世界で、若い青年の王さまと女神さまは、立派なお城で仲良く暮らしたとさ。
めでたし、めでたし――。
■
地球という星があります
人がたくさん住んでいます
そこに王さまがいます124人もいます
毎日毎日飽きることなく戦争をしています
そのたびに人がたくさん死にます
本当にたくさん死んで死んで死んでしまいます
みんなとても悲しみました
たくさん泣きました
戦争なんて無くなればいいのに
誰もがそう願っていました
するとある日空から女神さまが舞い降りてきました
舞い降りてきた女神は言いました
「争いなんて止めてみんなで平和に暮らしましょう」と
この世界を救うことが女神さまの使命だったのです
女神さまは妖精を作りました
みんな妖精と仲良くなりました
妖精の力を借りて魔法も使うことができました
みんなの暮らしが豊かになりました
――けれども戦争はなくなりません
そこで女神さまは宝石に力を込めました
それを王たちに分け与えました
妖精石これがあればいつでも妖精を呼び出せるので独りぼっちなんて怖くありません
魔法石これがあればどこでも妖精たちがいなくても魔法が使えます
生命石これがあればだれでも何回死んでも生き返ることができます
――これがあれば――は――ます
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王さま以外にもたくさんの人が宝石の力を借りることができました
飢えが無くなりました
孤独が無くなりました
死が無くなりました
戦争は――
ある日一人の王さまが女神さまに恋をしました
女神さまに思いを伝えるとその気持ちが伝わり二人は仲良く暮らしました
けれどその王さまは女神さまの力を独り占めしようとしていたのです
とても悪い王さまでした
その企みに気付いた若い青年の王さまはその王さまを懲らしめようと仲間を集めました
悪い王さまには44人の王さまが集まりました
若い青年の王さまには78人の王さまが集まりました
二人は再び大きな戦争を始めました――
戦争は若い青年の王さまが勝ちました
女神さまを悪い王さまから救った若い青年の王さまは人々からたくさん「ありがとう」を言われました
そして今度こそ女神さまと共に助け合い若い青年の王さまは争いのない平和な世界を築こうとしました
女神さまの力と王さまの強い意志絶え間ぬ努力家来たちや人々の協力が合わさりようやく世界は平和になりました
平和になった世界で若い青年の王さまと女神さまは立派なお城で仲良く暮らしたとさ
めでたしめでたし――
■
ちきゅうというほしがありますひとがたくさんすんでいますそこにおうさまがいますひゃくにじゅうよにんもいますまいにちまいにちあきることなくせんそうをしていますそのたびにひとがたくさんしにますほんとうにたくさんしんでしんでしんでしまいますみんなとてもかなしみましたたくさんなきましたせんそうなんてなくなればいいのにだれもがそうながっていましたするとあるひそらからめがみさまがまいおりてきましたまいおりてきためがみはいいました「あらそいなんてやめてみんなでへいわにくらしましょう」とこのせかいをすくうことがめがみさまのしめいだったのですめがみさまはようせいをつくりました
みんなようせいとなかよくなりましたようせいのちからをかりてまほうもつかうことができましたみんなのくらしがゆたかになりました――けれどもせんそうはなくなりませんそこでめがみさまはほうせきにちからをこめましたそれをおうたちにわけあたえましたようせいせきこれがあればいつでもようせいをよびだせるのでひとりぼっちなんてこわくありませんまほうせきこれがあればどこでもようせいたちがいなくてもまほうがつかえますせいめいせきこれがあればだれでもなんかいしんでもいきかえることができます――これがあれば――は――ます――――――――――――おうさまいがいにもたくさんのひとがほうせきのちからをかりることができましたうえがなくなりましたこどくがなくなりましたしがなくなりましたせんそうは――あるひひとりのおうさまがめがみさまにこいをしましためがみさまにおもいをつたえるとそのきもちがつたわりふたりはなかよくくらしました
けれどそのおうさまはめがみさまのちからをひとりじめしようとしていたのですとてもわるいおうさまでしたそのたくらみにきづいたわかいせいねんのおうさまはそのおうさまをこらしめようとなかまをあつめましたわるいおうさまにはよんじゅうよにんのおうさまがあつまりましたわかいせいねんのおうさまにはななじゅうはちにんのおうさまがあつまりましたふたりはふたたびおおきなせんそうをはじめました――せんそうはわかいせいねんのおうさまがかちましためがみさまをわるいおうさまからすくったわかいせいねんのおうさまはひとびとからたくさん「ありがとう」をいわれましたそしてこんどこそめがみさまとともにたすけあいわかいせいねんのおうさまはあらそいのないへいわなせかいをきずこうとしましためがみさまのちからとおうさまのつよいいしたえまぬどりょくけらいたちやひとびとのきょうりょくがあわさりようやくせかいはへいわになりました
へいわになったせかいでわかいせいねんのおうさまとめがみさまはりっぱなおしろでなかよくくらしたとさめでたしめでたし――
これは内緒にしていましたが、結局女神は平和なんてもたらしてはくれなかったのです。
そして、これからもこの世界に平和なんて訪れはしないのです。
ずっと……。
ずっとね……。
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