GUYBACK《ガイバック》

風海 徹也

第1話 悪夢の序曲

(エピローグ)


二十三世紀に入り、深刻なエネルギー問題に直面した地球は、その活路を宇宙に求めた。そして、とある惑星の宇宙鉱石こそが、まさしく人類の救世主になる筈だった。


しかし、それは神と共に悪魔をも呼び起こしてしまったのである。


(場面:惑星エルザス)


不気味な静けさが漂う。

血の匂いが混ざった、生暖かい風が静かに吹く。


おびただしい数のコマンド部隊兵士と肉食獣GUYBACKの死体が横たわっている。

突然、折り重なった数体の死体が動き出す。


ラルフ「うおおおおーっ」


その死体を押しのけ、ラルフが下から姿を現す。

ラルフ、ゆっくりと立ち上がる。


地球第27コマンド部隊・第14分隊隊長 ラルフ・ロレンゾ曹長


ラルフ「はぁ…はぁ…はぁ…」


ラルフ、あわただしく周囲を見渡す。

その時、後頭部に痛みが走る。


ラルフ「(顔をしかめ)ウッ!」


ラルフ、後頭部を手で押さえ、数回首を横に振る。


ラルフ「………」


そして、想いにふける。


(場面:約7時間前/ラルフの回想)


ラルフ率いる第14分隊に、次々と迫りくるGUYBACKの大群。

第14部隊、各種銃器を駆使し、GUYBACKの撃退を図ろうとする。

しかし、GUYBACKの圧倒的な攻撃力に劣勢を強いられる。


GUYBACKは、大きく3つのタイプに分類される。

Aタイプ:全長4m,四足歩行,2m以上ある長い尾が主な武器。

Bタイプ:体長2.3m,二足歩行,3m以上の跳躍力と鋭い爪で襲う。

Cタイプ:体長3.1m,二足歩行,動きは鈍いが怪力である。


ラルフ、戦闘を続けながら部下達に向かって叫ぶ。


ラルフ「あわてるな!」

   「一体ずつ確実に撃破するんだッ!」


兵士達が次々とGUYBACKに襲われていく。


兵士達「助けてくれーっ」「ウワーーーッ」


阿鼻叫喚に焦る、ラルフ。


ラルフ「前線基地まで誘い込むようにしながら、後退しろッー!」 


じりじりと後退する、コマンド部隊。

兵士Aがラルフのすぐ横でGUYBACK-Bに襲われる。


兵士A「ギャーーーッ」


ラルフ、それに気づき、兵士Aを襲うGUYBACK-Bを撃ち殺す。

そして、倒れた兵士Aに駆け寄る。    


ラルフ「大丈夫かッ!?」


血まみれの兵士A、意識が薄れていく。


ラルフ「しっかりしろッ!」


その時、ラルフの背後に一頭のGUYBACK-Cが忍び寄る。

ラルフ、背後の気配を感じ取り


ラルフ「!!」


GUYBACK-C、ラルフの後頭部を殴りつける。


ラルフ「ぐッ!」


ラルフ、気を失い倒れる。

GUYBACK-Cの牙がラルフに迫る。

兵士B、それに気づき、GUYBACK-Cに攻撃を加える。

殺傷されたGUYBACK-C、ラルフに折り重なるように倒れる。

兵士B、一瞬ホッとし


兵士B「隊長!大丈夫ですか!?」


兵士B、ラルフに駆け寄ろうとする。

すると、側面からGUYBACK-Aに襲われる。


兵士B「うわーぁ!!」


兵士B、絶命。


その後も至るところで殺戮が繰り返され、正に地獄絵図が描かれていく。


(場面:現在)


ラルフ、立ちすくんでいる。


ラルフ「死体の下敷きになっていたのが幸いしたわけか…」


ラルフ、腕時計を見る。


ラルフ「かれこれ、7時間…」

   「時間の経過から言って、気を失っている間に、もう一回襲撃が

    あった筈…」

   「それは、やり過ごせたということか…」


ラルフ、周囲を見渡しながら、ゆっくりと歩き出す。

数多くの兵士達の死体


ラルフ「………」


その時、突如ハーモニカの音色が聞こえてくる。


ラルフ「!」


ラルフ、音色の聞こえてくる方に向かって走り出す。

そして、ラルフが音源に辿り着く。

そこでは、ジャック・ジェーキンス、通称・JJが1人座って

ハーモニカを吹いている。


ラルフ「JJ!」


JJ、ハーモニカを吹くのをやめ、ラルフを見る。


JJ「これは分隊長殿…ご無事でしたか?」


ラルフ、苦笑いを浮かべ


ラルフ「他に誰もいないんだ。いつも通りでいいさ…」

JJ「そうか…じゃあ…」


JJ、ゆっくりと立ち上がり


JJ「想像以上に派手にやられたな…」

ラルフ「ああ、下等生物などと敵を甘く見るとどうなるか、

    身をもって知らされた」

   「他の皆は?」

JJ「さぁな…気がついたら、周りには俺しかいなかったぜ」

ラルフ「ところで、部隊長を知らないか?」


JJ、あごでラルフの背後を指し示し


JJ「そちらでお休み中だ」

  「もう、お目覚めにはならんがな…」


ラルフ、JJの示す方向を見ると、首の無い部隊長の死体が横たわっている。


ラルフ「………」

JJ「で、これからどうする?」

  「脱出しようにも、輸送艇はやられてしまって、使いものにならんぜ」

ラルフ「かと言って、ここに留まっていてもGUYBACKヤツラのエサに

    なるだけだ。持てるだけの武器をもって、どこかに身を隠そう」

   「もっとも、安全な場所なんてどこにも無いが…」

JJ「まぁ~1人で喰い殺されるよりは、2人の方が少しは気が紛れるかも

   な…」


その時、突然


ルイーズ「いや、3人だよ」


ラルフ・JJ、声のする方を見る。

そこには、女性兵士のルイーズ・ギャレットが立っている。


ルイーズ「ただし、GUYBACKあいつらのエサになるのは、あんた等だけに  

     して欲しいけどね…」


ラルフ・JJ、ルイーズを見つめる。


ルイーズ「あたしの分隊もやられたよ。第6分隊も全滅だ…」

ラルフ・JJ「………」

ルイーズ「どうしたのさ?」

    「地獄で美貌の女神様に出会えたんだから、もう少し喜びなよ」

JJ「へっ…よく言うぜ!」

  「でも死神に見えねぇだけ、まだマシか…」

ルイーズ「なんだとッ!」


少しの沈黙の後、3人顔を見合わせ、微かな笑みが呼応する。

そして、ラルフが遠くの方を見つめる。


ラルフ「あそこに、行ってみるしかないな…」


JJ・ルイーズもラルフの視線の方を見る。

その視線の先には、中央管理センターが建っている。


                          <つづく>



【参考資料01】企画書・簡易版

https://drive.google.com/file/d/1FqEFjRaCUX7nAdkCCszB7fNvrilw2OVT/view?usp=sharing


【参考資料02】企画書・完全版

https://drive.google.com/file/d/1z8rwhQLt5_Sofmo3KMhOklpfB2YmOyDf/view?usp=sharing

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