豚の生姜焼きを初めて作った日の話
アスパルテーム
第1話
それでも、私はどうしても、あなたの顔を思い出せない。ただ涼やかな波の音だけが頭に響いている。
その日の海は、まるで死んだようだった。鮮やかな青色は鳴りを潜めて、アスファルトを溶いたような灰色の
私はあなたを、近くの
あなたを断崖の手前に座らせようとしたけれど、矢張り上手く座れず、後ろへ倒れ込んだ。それは天邪鬼に、そして
私は軽くなった腕をぐるぐると回しながら、もと来た道を戻って行った。その時には既に、その日の夕飯のことについて考える余裕が、私にはあった。勿論、先程捨てたあなたのことも頭にはあった。けれども、私の関心ごとはそれよりも、今晩の食事のことへ向けられていたのである。
いや何、これが日常茶飯事に起きているかと言われればそういうことはない。しかし、ほら、毎日歯医者に行きはしないだろう。私にとってこのことは、それと何ら変わりはしないのだ。この類の話を友人にしようものなら、彼らは食べ物を口に入れたまま
ちなみにその日の夕食は豚の生姜焼きだった。初めて作ったが、とても美味しく出来て
豚の生姜焼きを初めて作った日の話 アスパルテーム @asuparute_mu
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