2・海底都市
宇佐の首長、久留麻が男たちを召集、少しばかり強くなったハルも呼ばれた。
その内容は、
日向港からの数キロ南にある冠湾全体を花咲漁業組合が網で遮断して、魚を独り占めにしようとしている。そうさせないために組合の停泊している監視船の底に穴を開けて沈めてしまう、というものだ。
「漁業組合といったら港のやくざには手を出せないものだから、我々筏集落の者からむしり取ろうとしているのだ」
「しかし組合員は丈夫なスーツを着てるって噂だ。倒せますかね」ひとりの男が聞いた。
「殺しはいかん。本気で怒らせたら、やり返される。あくまで船を沈めるのみだ」
「しかしその、船にはどうやって穴を開けるんです?」と別の男。
「ある組織の者から聞いたんだが、でっかい手動ドリルが海底に沈んだ足羽飛行場にあるらしい」
まずそれを手に入れるのだと、自らリーダーとなって潜水チームを結成する。ハルは5人の海人とともにチームに選ばれる。
「飛行場はこのあたりだと聞いた。さあ、行くぞ」
と、飛び込む久留麻に続いてハルたちも飛び込む。筏島から遠く離れた、これまで来たことのない深い海だ。
場所を間違えたのか、海底に野球場クラスの海底都市が出てきた。ドーム型のアクリル版で囲まれた都市には空、空気があり、緑の菜園があり、洒落た建物が並んでいる。チームは物珍しげにアクリル板越しに中を見ていると、中のレストランの客が騒ぎだした。
それがきっかけで、回りから警備兵が現れて、ハルたちにモリを撃って攻撃してくる。数の多さに太刀打ちできず、逃げるしかない。
彼らは遠くまでは追ってこなかった。しかしこのとき、チームリーダーであり宇佐の首長である久留麻ともうひとりがモリを受けて、落命してしまった。
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