サーマイモで石焼き芋ですわ!
ミリーナから研究成果が出たと報告を受けたので、私は王宮植物研究所へ向かう。
「メリア様、お越しいただきありがとうございます」
「ミリーナ、ごきげんよう」
ミリーナは早く報告したさそうにソワソワしている。
「研究成果が出たと報告が上がったのだけど、どうなったかしら?」
「はい、品種改良で新しく2種類のイモを栽培できるようになりました。1つはジャガイモの品質を上げたものです。もう1つは糖度を上げたものです」
ミリーナから食べられるように切り分けた2種類のイモをもらい、私は試食をする。
1つ目は普通のジャガイモね。
といっても、こちらの世界では品質がかなり上がったものだ。
もう1つはサツマイモのようなものね。
ここで「サツマイモだ!」と言ってしまうと面倒ごとになるのでお口にチャックをした。
「ミリーナ、よくやりましたね。見事です。2つ目のイモの程よい甘みがいいですわ。焼いたり蒸したりしたら美味しく食べられますわよ」
「メリア様にお喜びいただけて光栄です。頑張ったかいがありました」
ミリーナの満身の笑顔には癒されますわ……。
サツマイモといえば、焼き芋よね。
どうやって焼こうかしら、やっぱり石焼きかしら。
「ミリーナ、ありがとう。新種のイモの食べ方をちょっと考えますわ。またきますわね」
「は、はい。いってらっしゃいませ」
王宮植物研究所を出て、私は鍛冶工房へ向かった。
「これは、メリア執務官代理。何か御用でしょうか?」
「はい、ちょっと作って欲しいものがありますの」
私は鍛冶工房の所長に開閉できて、中に鉄網も入れられるように釜を作ってもらうように頼んだ。
「はい、かしこまりました。その程度のものでしたら、ものの数時間でお作りできます」
「お願いします。出来上がりましたら、王宮植物研究所へ届けていただけますか?」
「はい、かしこまりました。王宮植物研究所へお持ちいたしますね」
あとは玉石とガスコンロに代わるものが欲しいですわね。
熱を発することができる魔鉱石があれば一石二鳥かしら。
カーナに聞いてみましょう。
次に私は魔法工学研究所へ向かった。
「カーナ、ごきげんよう」
「メリア様、ごきげんよう。何か御用でしょうか?」
「ええ、熱を発する魔鉱石はございますでしょうか?」
「はい、ございます。品質の良いものからクズ魔鉱石までございます。魔力を込めれば熱を発することができます」
カーナから私は良質の魔鉱石とクズ魔鉱石をもらった。
「あと、魔動トロッコの件ですが、少し改良をお願いしますわ。魔動トロッコを速度の調整ができるようにということ。それと、ブレーキをもう少し使い易くしてほしいそうです」
「かしこまりました。こちらで調整して対応しておきます」
「お願いしましたわ。では、カーナ。ごきげんよう」
「はい、メリア様、ごきげんよう」
私はカーナと挨拶を交わし、王宮植物研究所戻る。
鍛冶工房は仕事が早く、王宮植物研究所に着いたらすでに石焼き釜が届けられていた。
鍛冶工房の皆さんありがとう。
「メリア様、お帰りなさいませ」
「ただいま、ミリーナ」
さっそく私は石焼き釜に良質の魔鉱石を鉄網の上に敷いてその上に新種のイモを乗せる。
そもそも鉄網って必要だったかしら?
私が魔鉱石に魔力をこめると魔鉱石がだんだん熱くなってきた。
しかし、魔鉱石が良質すぎて新種のイモが黒焦げになってしまった。
失敗ですわ。
次にクズ魔鉱石で試してみたら、程よく新種のイモを焼くことができた。
さっそく、私はミリーナたちと一緒に試食をしてみた。
「メリア様、とても美味しいですわ。でも舌がやけどしてしまいましたわ」
「ミリーナ、大丈夫?」
焼き芋あるあるですわね。
やけどした舌を出すミリーナも萌えますわね。
『ヒール』
私は小声で詠唱してミリーナの舌のやけどを治す。
「メリア様!? あ、ありがとうございます」
「今のは内緒でございますわよ」
「は、はい」
これで焼き芋を量産する計画が立てられますわね。
石焼き釜も量産してもらいましょう。
クズ魔鉱石は本来利用価値がなく捨てられるものらしい。
けれど、少しでも採掘士たちのお給料になればと採掘所から程々の値段で買い取ることにした。
私は、焼き芋を大量生産してサイネリア王国の特産品にしようと計画を立てていくことにした。
まだまだたくさんの特産品を作らないとですわ。
数日後、カーナが農作機試作1号を完成させたと報告があった。
カーナたち研究員と一緒に私は農地用に確保した土地に向かう。
農地用の土地に到着をすると、カーナたちは農作機試作1号を荷台から下ろす。
「それでは、私にお任せくださいませ」
カーナは自信満々な笑顔を見せ、農作機試作1号をうごかして土地を耕し始めた。
最初はものすごい速さで土地を耕していったが、途中で動きを止めた……。
ズドォォォォォン!
農作機試作1号は爆発してしまった。
「のぉぉぉぉ!」
カーナは頭を抱える。
大丈夫、魔法工学には失敗はつきものですわ。
「こ、こんなはずは……。メリア様、申し訳ございません。農作機試作2号を急いで作ってまいります」
カーナたちは農作機試作1号の残骸を回収して帰っていった。
それでも、かなりの広さの農地を耕すことができた。
その後、農業関係者や失業者を集めて2種類のイモの栽培をやってもらうことにした。
仕事を失っていた者たちからたくさん感謝された。
農地を整備してもらい、種イモが揃うとミリーナが研究開発した上質の肥料を使い栽培されていくことになった。
ミリーナが開発した肥料は栽培期間も短縮できる不思議な肥料だった。
イモの栽培が始まると、農業経験者たちはものすごく驚いていた。
新しいイモの名前は焼き芋を特産品として売り出す街の名前をつけてサーマイモと名付けた。
サーマとは港がある交易の街である。
他国からお客様を招き入れるために街の整備も必要ですわね。
整備計画を立てなくては……。
その後、カーナは農作機試作2号を完成させて残りの部分の畑を耕してくれた。
また、魔動トロッコの改良も問題なくしてくれた。
数日後、更に使いやすくなったと採掘所の人たちからお礼の報告が届いた。
執務室に戻り仕事をしていると、私宛に一つの手紙が届いた。
「メリア様、修道院からお手紙が届きました。どういたしましょう」
「ノエル、私にくださいませ。手紙に目を通しますわ」
「はい、かしこまりました」
私はノエルから修道院からの手紙を受け取り、手紙の内容を確認した。
修道院は孤児院と併設されていて困っていることがあるらしい。
後日、私は修道院に視察に行くことにした。
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