闇記者と死神
羊丸
第1話 勘違いの代償
――あーもぉ!あの女マジムカつく!なんなのよあの八方美人。
――うん、本当にムカつくよね。たかが勉強が良いだけあってさ、おまけに男子にもモテるし
――きっと表はとても良い顔しているけど、裏はとても悪いんじゃあないの?
――うんうん、でもどうやったらわかるんだろうね。
――だったら、お金は少し掛かるけど、はっぽうびじん闇記者にお願いしたら??
――闇記者? 何それ?
――普通の記者さんとは違うんだって、闇掲示板にのっているらしいの
――なんで普通の記者とは違うの?
――依頼人の言ったターゲットを撮るのが仕事だけど、その記者さんには死神の恋人がいるんだって、記者さんには左目が青、右目が紫な子なんだって
――へぇ~で、撮ってくれんでしょ。
――うん、撮ってはくれんだけど……
――だけど?
――ちゃんと内容を最後まで言わないとダメなんだって。
――えっ、何で最後まで言わないといけないの?
――それは……
晴々しいの朝、会社のビルの屋上で伊藤小百合はあることに悩みながらは四人の仲間とお喋りをしていた。
元気が無い小百合に、同寮の麻耶が小百合に声をかけた。
「どうしたの?小百合、元気がないわよ」
仲間の声に、小百合は我を返った。
「えっ、あぁごめん食欲があまり、」
作り笑いを浮かべていながら、麻耶は”そう”と言った。
「もぉ仕事に戻るね、」
小百合は弁当を布に包み、仕事場に戻った。
「どうしたんだらろう小百合」
そうつぶやくと、四人の中の一人が仲間が食べながら話してくれた。
「それがさぁ、旦那が最近帰りが遅いらしいのよ。どうしたもんかね」
「……そうなんですか」
麻耶は心配そうにしながら、仕事場に戻る小百合の背中を見つめた。
小百合はパソコンに向かいながら、再び悩んでいた。
(前はあんなに帰りが遅くなかったのに……)
昨晩、武は疲れ切った顔をしながら家に帰ってきた。
――ただいま
――お帰りなさい、遅かったですね。
――あぁ、残業で遅くなった。
――そう……食事でき――
――いらない、外で食べてきから風呂に入ってくる。
――わかりました。
キーボードを打っている間に涙が出てくる。そのおかげ仕事のミスをするよになった。
ここ最近はため息ばかりついた。
(今日は予約したあの場所に行かなきゃ)
仕事を早く切り上げるように、手を動かした。
数時間後、仕事が終わり窓を見てみると、外は真っ暗にに染まっていた。
小百合はカバンを手に取り、小走りである場所に行った。
闇掲示板の内容には、ある所に古い建物の地下に”闇記者”という看板が付いており場所は自分の電話予約の四桁を入れ、何曜日に会うのと時間を入れると、場所が出てくるのだという。
数分間歩くと、三階建ての建物があった。暗くてあまり見えないが、建物にはつたが真ん中辺りまで古いつたが貼ってる。
小百合は深呼吸をし、建物の中に入ろうとすると、足元から何かの感触がした。
足元を見ると、黒い猫がつぶらな瞳で見上げて首を傾げて鳴いた。
「にゃ?」
「キャ!」
驚きのあまり一歩下がってしまった。
すると、暗闇の中から靴の音が響いてきた。猫はその音に釣られ、暗闇の中に消えていった。
電灯の一つの光がその姿を照らし出すと、さっきの猫が女の子に抱えられながら暗闇から出てきた。
髪は少し長めのミディムヘアの黒髪で、ぶかぶかの濃い緑色のメリタリージャケットに黒いTシャツ、下はショートパンツに黒い靴下、首にはチョーカー、真ん中にはハート形のペンダントが付いて黒いロングブーツを履いていた。そして、耳には派手なピアス、胸辺りにも派手なタトゥーをしていた。
けれど、小百合は一番気になったのは女の子の眼だった。
右目が青、左目は紫だったからだ。
その子は猫を撫でていた。小百合に目を向けると“あら”と不思議そうな顔をして話しかけた。
「貴方が予約した方? クロがお客さん連れてきたの?」
何のことだかさっぱりだったが、小百合は慌てて挨拶を返した。
「初めまして、伊藤小百合です」
女の子はゆっくりと微笑み挨拶をした。
「こんばんは、私は黒川闇と申します。ご依頼ありがとうございます」
という子が言った言葉に小百合はようやく理解をした。この子が噂の闇記者なのだと、
小百合は依頼の内容を伝えようとした。
「あの!」
「内容は中で言いましょ」
闇という女の子はスタスタと古びた建物の中に入っていった。小百合は慌てて後を追って建物の中に入っていった。
建物の中は古びた椅子と丸いテーブルがあり、おまけに古い新聞やゴミが置かれていた。ここは昔バーだと小百合は確信をした。
けれど、変な所に事務所を建てるなぁと小百合は思った。
奥には古びたドアがあり、そのドアを開けた。コンクリートの階段が下まで続いておりがその下にはもう一つのドアがあった。
ドアの上には小さいダンライトがチカチカ光っていた、降りると二人のだんらいと靴の音が響いてきた。ドアまで着くと闇はドアを開けた。
中はソファが目の前に二つ、ソファの後ろにはもう一つのドアがあった。その斜めには本棚が二つに配置されており、ひきつ中には小説やファイルが敷き詰められていた。きっと仕事だろうと、思った。闇は猫を下ろすと猫はデスクの上に飛び乗り寝込んでしまった。
「どうぞ座ってください」
闇は小百合をソファに座るように誘導をした。
「あっ、はい」
小百合はおどおどしながら座ると、闇もストンと座り依頼内容を聞き出した。
「さて、内容は?」
「はい……」
小百合は武の写っている写真を見せると、闇は写真を手に取りマジマジと見ていた。
「伊藤武で私の旦那です。最近帰りが遅くて思いたくもないんですけど、浮気をしてるんじゃないかと思いまして、気になってここに」
「ふーん、どうして私の事務所にしたの?」
「えっと、友人から聞いて……」
小百合が小声で一言いうと、興味なさそうに人差し指をこめかみに置き足を組みながら返事をした。
「そっ、何を撮ればいいの。そして、何日間撮ればいい?」
口調が厳しくなり、小百合は慌てて話した。
「えっと、浮気してるかどうかを撮って欲しいので……5日です」
そう言うと、闇はにんまりと笑った。
「10万、初回の方にはこのように安くしていますのでいいですか?」
「はい」
小百合は返事をした。
小百合はお金のことなんかどうでも良く、ただ武がなんであんなに冷たいかが知りたいだけだった。
「分かりました、では5日後に電話をしますので、この紙に自分の電話番号をお書きください」
闇は目の前に小さめの紙とペンを出した。
階段を暗闇の中1人で上がるのはとても怖いくらいだった。
小百合は受け取った紙をもう一度見返してみて、建物を見上げた。相変わらずとても不気味すぎて身震をし、その場を後にした。
闇は屋上でキラキラ光る街を眺めながら温かいミルクティーを飲んでいた。貰った写真を見てため息がついた。
「ふぅ、浮気ねぇ」
もぅ一口飲もうとすると誰かの気配がした。闇は後ろを向くと同時に突然抱き着いてきた。
闇は“あぁこいつか”と確信をした。
「闇―――、会いたかったよ―――!」
そいつは甘い声を出しながら少しハグする力を強くした。
「何を言ってんだ、シン。会ってるだろほぼ毎日」
「だけどだけど、会わないと僕が死んでしまうよ~」
頭を擦り付けながら抱きしめる力を強める。
「苦しい」
すると、誰かがシンを叩いた。
ベシッ
「いてっ」
シンは闇を一旦離し、手を頭に置いた。闇はシンを叩いた人にお礼を言った。
「ありがと、ジフ」
ジフは片手をパーカーのポケットにしまいながら。新聞を片手に闇を見下ろしていた。
「どういたしまして、ん? 写真は依頼のか?」
「えぇ」
返事をしていると、シンはジフに向かって文句を言った。
「もぉ――、なんで叩くの! ジフ!」
「うるさい」
2人が騒いでいるそのまた後ろにはもう1人の男がいた。
「あぁミンス、一週間ぶりね」
「久しぶり」
久々に会った仲間のミンスは爽やかな口調で話した。
「久しぶりの地元の韓国はどうだった。」
「まぁ楽しかったけど、闇がいなかったからあんまり面白く無かった」
久々の地元に帰った仲間の声を聞くと、思わず笑ってしまった。
「フフ、面白いわね相変わらず」
そういうと、シンが闇の肩にのしかかった。
「ねぇねぇこの後どう、久々にあの店行こうよ」
ニヤニヤ話しているシンに、闇は少し冷たく言い張った。
「……今日はもぉ寝る」
「えぇーーーーー、何で何で?」
駄々をこねている仲間にうんざりしながら答えた。
「この仕事が終わってからだ」
ため息を付きながらミルクティーを一気に飲み干した。
「そうか、楽しみにしてるぞ」
「はいはい、おやすみ」
その場を去る闇に、にこやかに言った。
「「おやすみ」」
闇は空になった缶を片手に持ちながら3人に向かって手をひらひらと振りながら屋上の階段をおりていった。
翌日の朝、小百合は武より早く起き朝食の準備をし、お皿にご飯を盛りつけテーブルに置いた。その瞬間武が起きてきた。
「おはよう」
返事をすると、武は暗く返事を返した。
「おはよう……今日も帰り遅いから先に寝てくれ」
「晩ご飯はどうしますか?」
「外で食う」
武はぶっきらぼうに言い、椅子に座ると新聞を広げて黙り込んでしまった。
小百合は”分かりました”と言い、小百合も黙り込んでしまった。
朝食を食べ終わり、小百合は武に作った弁当を布に包み渡した。
「いってらっしゃい」
「あぁ、行ってきます」
武の閉めた扉の音は、悲しい音に聞こえた。
小百合はため息をつき、自分の準備をした。
闇は自慢のカメラを持ち、家の前で待ち伏せていた武の後を追っていた。
(あの人、真面目そうにな人にみえるけどなぁ)
闇は会社まで付いていき、武が昼まで出てくるまで怪しまれないようにウロウロ辺りを歩きながらまった。
数時間後、武は弁当を持ち会社から出てきた。
闇はやっとかと感じ後を追った。武は公園まで行くと誰かを待ってるような仕草をした。
(誰かを待ってるのか?)
そして、ようやくその相手が来た。闇は息を殺しながらシャッターを押した。
(これは小百合さん悲しむだろうな)
闇は興奮状態のまま、夜まで尾行を続けた。
5日後、小百合は武がいない丁度に闇から電話が掛かってきた。
「はい……もしもし」
『あぁ、小百合さんおはようございます。早速ですが来ていただきますか? 今からです』
闇はすぐに電話を切った。
小百合はすぐに準備をし、家を小走りで家を出た。
電車に乗ってる間にも心臓がドクドクと鼓動が鳴り止まなかった。
電車を降りると走ってあの古びた建物の中に入り階段を駆け下り、ドアを開けた。
ソファには闇が猫をなでながら待ってましたという様な感じでいた。
「結構走ってきたんですか?」
「えぇ、でどうでしたか」
闇は横にあったファイルを開き、テーブルの上に乱暴に置いた。小百合が手に取って見ると小百合は絶句をした。
「なっ……よこれ……」
写真には武が女の人と二人で楽しく食事をしているのと、夜はにこやかにしながら話しているのが沢山あった。
小百合は手の震えが止まらなかった。おまけに憎しみや恨みが涙で溢れてきた。写真には涙の雫がしたたり落ちた。そして、写っている女の人に最も恨みを感じた。
闇は小百合が泣いているのを微笑みながら見ていた。
「その表情だと、知っている方ですか?女の人は」
小百合は声を殺しながらいいはった。
「えぇ、麻耶よ! うちの同じ同期の社員よ!」
武の浮気の相手は同じ社員の麻耶だった。
「まっ、結局旦那さんは黒でしたね。」
闇が話しかけても小百合は涙を流しながらただ写真を眺めていた。
やれやれと闇は思っていた。
涙を流している小百合に闇は手をかざした。
「そろそろ、お金くださる?」
闇はめんどくさそうにいうと、小百合は驚きながら顔を上げた。
「えっ⁉ これだけんなのですか‼」
「えぇ、そうよ」
闇は手をかざしながら生意気な返事をした。
「そんな……何か他の手はないんですか‼」
諦めきれずにいると、闇は呆れた顔をしながら問いかけた。
「何よ、殺せとでも言うの? 言っとくけど、私は撮るだけの仕事なのだから仕方ないじゃない」
そういうと、小百合はこの子は人の気持ちをと、怒ろうと思ったが突然、闇の膝の上に寝ていた猫が飛び起き、小百合に威嚇をした。
「こらこら、クロやめなさい」
闇はクロを落ち着かせるように猫を掴み、膝の上に再び戻した。小百合は呆然としていたが闇は紫の目を光らせ上目遣いをしながら不気味な笑みを浮かべた。
「さぁ、お金を置いて帰ってください」
「ッ!」
小百合はこの子に何を言っても無駄だと感じ渋々とお金を置き部屋を出た。
闇が袋に入ってるお金を見ていると、スマホから着信音が聞こえてきた。スマホを取り見てみるとメッセージが届いてきた。
”今、仕事? 久しぶりにみんなで遊びしょ”
闇は読み終わると理解をしてから返事をした。
“えぇ、いいよ”
闇は返事を返し、飴を包んでいる紙を外し、口に咥え薄汚い天井を見上げ心の中でつぶやいた。
(あとは、任せたよ。……紗季)
小百合は放心状態のまま、街中を歩き回っていた。
(どうして……どうしてなの武さん。なんで麻耶と付き合うようになった)
訳が分からないまま、歩いていると背の低い女の子にぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい」
小百合は謝りそのまま去ろうとすると、その子に声を掛けられた。
「ねぇ、お姉さん」
「はい」
振り返ると、その子の髪は少し長めの紫混じりのミディムヘアでトレンチコートを肩を出すぐらいに乱し、その下には黒いノースリーブにミニスカートにロングブーツを履いた女の子が立っていた。
鎖骨にはピアスが4つに首にはハートのタトゥーが描かれ、三日月のチェーンが付いたチョーカーをしていた。
少し、闇に似ていてなんか嫌な感じがした。
「目赤いよ――。何、泣いたの?」
その子は小百合の目をジロジロ見まわした。
小百合はその子の目を見て驚てしまった。
右目が紫、左目は青とだった。闇とは色が逆だった。
「あっ、あなっ―」
話しかけようとすると、その子は小百合の手を掴んだ。
「話は別のところでやらない? さっ、行こ!」
「えっ、きゃ!」
手首を掴みがら、その子は小百合が来た道の反対方向へと連れて行った。
歩くこと数分後、小百合は女の子にひかれたまま付いていくと、裏道を通り右に曲がると五階たてのビルについた。店の名前は
「大丈夫よ、ここは見ての通り夢の店なの。ここでは好きなだけ暴れてもいいところよ。警察とかは来ない場所だから」
心配しているのか、その子は明るい口調で話してくれた。
「いえ、初めてなので……」
もじもじしながら言うと、その子は再び明るい口調で自己紹介してくれた。
「そうなんだ。私、雪村紗季! 貴方は?」
「伊藤小百合です。」
自分の名前を言うと、ニッコリと微笑み再び手を引っ張った。
「分かった、じゃあはいろ」
「はい」
小百合は紗季に手を引かれたまま店の中に入った。
入ると大音量の音楽が響いてきたり、夏の様な暑さだった。小百合は思わず耳を片手で抑えた。
辺りを見渡すと複数の男女が音楽のリズムで踊り狂っていた。所々のソファには男女や男同士や女同士がキスを交わしていたり、抱き合っていたり服がはだけていたりしていた。カウンターにはそれぞれの動物の仮面をしたバーテンダーが淫らな光景を
じっと眺めながらお酒を作ったりしていた。
小百合が耳を片手で塞いでいると、紗季が小百合の手首を離しどこかに行ってしまった。一人残された小百合は戸惑っていると
「はい、小百合さん。水です」
紗季は両片手にあるコップの片方を、小百合に渡した。
「あっ、ありがとうございます」
小百合はお礼を言い、一口飲んでしまった。
「飲みながらでいいから付いてきてね」
紗季はニコリと笑い、自分の飲み物を飲みながら階段へと向かった。
二階までは男女たちが踊っている風景が見える。三階は白い敷布団がいくつもあった。そこでは様々なカップルがが下のフロントとは違い今度は裸で交わっていた。
小百合はその光景を見ないようにしたが、紗季はその光景を堂々と見ながら優雅に歩き、フロントから出て来る人達に手を振ったりしていた。
紗季は四階まで小百合を連れていき、特別室と書かれている扉を開いた。
見てみると、目の前にはデカい豪華なソファが並べられていた。天井にはシャンデリアが飾ってあり、周りには薄いカーテンが掛けられていた。ソファの間には丸いテーブルが一つ置かれてあった。特別室にあっては豪華だった。
「さぁ、入って」
「はぁ」
小百合はカーテンをどかしながら入りソファにすわった。
「さぁ、何があったか言ってごらん」
「……実は」
小百合は武のことをすべて話した。
紗季は小百合に貰った武と麻耶の写っている写真を見ながら話しかけた。
「浮気が原因で呆然としながら街をブラブラ歩いてたと……」
「はい、もぉ私どうしたらいいか」
小百合は涙を流しながら言うと、紗季は明るい表情に明るい口調でを言い出した。
「だったら、殺してあげようか?」
「えっ‼」
小百合は殺すという言葉に頭が混乱し始めた。
「なっ何を言って…」
「だって、浮気がそう簡単に発覚するわけないじゃん、どうせ探偵とか雇ったんでしょ?」
小百合は目を泳がせた。すると突然、紗季が体を起こし小百合の口にキスするぐらいの近くまで迫ってきた。
小百合の目にはあの二つの色の目が脳をかき回した。
「このままでずーーーーっと知らん顔しながら暮らす? 旦那さんはあんたを裏切ったんだよ。このまま暮らせばあんたが辛い思いするだけだよ、それはやだよね? だったらいっそのことその子と旦那を殺しちゃえば済むことだよ」
小百合の何かが動き始めた。紗季は小百合の頬に手を置いた。
「さぁ、最後の質問。この二人を殺す? 殺さない?」
紗季がそう問いかけたとたん遂に、小百合の何かがはじけ飛んだ。
「おね……します」
途切れ途切れに言い、紗季は意地悪そうに耳を傾けた。
「何? もぉ一回」
最後に詰め込んでたことを強くぶちまけた。
「お願いします! こいつらを、こんなクズを殺してください‼」
小百合は悪意の言葉をブチまけた。その言葉を聞いた紗季は微笑みながらククッと不気味な声を上げた。
「宜しい、ではこの二人が二人っきりに時に襲います。いいですね?」
満足そうにいうと、小さく返事をした。
「はい」
すると、下から物凄い足音が聞こえてきた。次の瞬間ドアが激しく開いた。
「紗季――! ただいまぁーー」
後ろを見てみると、韓国人の人達が四人、入ってきた。
紗季は入ってきた2人に向かって手を振りながら迎えた。
「おかえり、みんな」
がやがやしながら入ってきた2人の中の一番背が高い人が、小百合の顔を覗き込んだ。
「何ー、お客さん?」
いきなり覗き込んだ男に、怯えながら答えた。
「あっはい、こんにちは」
寄ってきた1人の男が紗季を抱きかかえ、首に噛みついた。紗季はその男が噛んでいるのを気にせず小百合が少し驚いているのを気にし紹介をした。
「紹介するよ。今私に噛み付いているのがソジュン。で、隣にいるのはユソ」
紗季は淡々とその場にいる皆の名前を言った。
小百合は紗季に目を向けると、ソジュンは強く噛みすぎたのか首から血が胸元までつたっていた。
「紗季さん! 血が」
「えっ?」
紗季はジフを見て、”あぁ”と普通そうに返事をした。
「いいのよ、これいつものことだから」
紗季はへらへら笑っていながらジフの頭を撫でた。ジフはうれしかったのか、紗季を自分の膝の上に乗せて手を服の中入れると、他の男達も紗季の身体に噛みついた。
小百合は頭がおかしいと、感じていた。
「さぁ、もぅ帰っていいよ。あっ、なんか紙持っていたらそこに自分の電話番号を書いといて頂戴。じゃあ、終わったら報告するよ」
小百合は何も言い返さないまま、丁度持っていたメモ帳に自分の電話番号をその場に置いて、後にした。
紗季は小百合が置いていった写真に目を向けた。
「依頼か?」
写真を眺めている紗季に、ユソは話した。
「えぇ、そうだよ」
「ふーん、なんかまた協力することある?」
ソジュンは抱きしめながら言った。
「ないよ、今日は……」
ナイフを取り出し、写真に突き立て微笑んだ。
「私がやる」
小百合は力が出ないまま家に到着をした。
「ただいま」
靴を脱ぎリビングまで行くと、武が本を見ながら音楽を見ていた。
小百合が帰ってくると武は本をしまい立ち上がって小百合の前に立ちふさがった。
「お帰り、何処に行ってたんだ」
「ちょっと、お出かけを」
そう言うと、武はため息をついた。
「勝手に消えるんじゃない。全く、心配かけやがって今度はちゃんと言うんだぞ」
そういうと、音楽を消して、武は寝室に行った。
小百合はこぶしを強く握った。
(貴方は麻耶とあの世でも行って後悔しなさい! 私はあなたのために頑張ってきた私を裏切ったのだから)
小百合は夕方の買い出しに出かけた。
翌日の月曜日、清々しい朝の中小百合は今日は仕事を休み家で待機をしていた。
(さぁ、2人共……たっぷりと地獄を味わってね!)
2人が死ぬのを待ち構えながら、心の中で毒を付いた。
武は麻耶の屋上で一緒に、昼食を食べながらワイワイと話していた。
「ついに明日ですね、あれが」
「あぁ、こういうことは初めてだからドキドキするよ」
「へぇー、あとあまり帰りが遅いんで悲しんでいましたよ。おまけに暗い顔ばかりでしたから、このことが終ったらちゃんと謝ってくださいね!」
麻耶は怒り混じりに言うと、武は反省の色を見せながら地面を見た。
「……そうか、それは悪いことしたな、まぁ喜んでくれたらいいけどな」
2人は楽しく話していると突然、扉が開き1人の女の子が2人に近づいてきた。
武は近づいてくる女の子に気付いた。
その子は二人に向かって、微笑みながら挨拶をした。
「こんにちは、私、雪村紗季と申します」
2人は誰かの子供かと思ったが、姿を見てそうではないと確信をした。何よりも目の色がとても気になった。
「あの、どちらさ」
「しかし、いいですね。こんなにも天気がいい中、外で食事だなんて、けれど……」
紗季は2人に目を向けた。目は不気味に光り、2人の背筋がぞっとした。
「こんな関係で仲良く弁当だなんて……清々しくありません」
武は何を言ってるのか、意味が分からなかった。武は紗季に向かって怒鳴った。
「何なんだ君は! 全く意味がわからん! 要件を言ってくれ!」
言い終わると、紗季は不気味に笑いナイフを服の背中から出した瞬間、真顔になった。
「……貴方方を殺すように言われました」
その一言、呆然としている2人に向かって武の喉を目にもとまらぬ速さで素早く切り裂いた。
切り裂いた瞬間、武の喉から大量の血潮が飛び散った。血は紗季と麻耶にかかってしまった。
「あがっ」
武は出血を止めよとしたが、血は止まらず遂には苦しみながら倒れていった。
麻耶は思わず絶叫をしてしまった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あっ、あなた、なんてことを‼」
紗季は返り血を浴びながら武が死ぬのを見届け、麻耶に目を向けた。
「仕方ないじゃない、あんたが嫁さんがいる人に手を出したのだから自業自得よ」
そう言われた途端、ようやく麻耶は誰がこの子が私達を襲うように依頼した人が、誰だかわかった。
「まさか、殺すように言われた人って……さっ」
麻耶が何か言おうとしたが、紗季はナイフを投げ麻耶の心臓に命中した。
静かに倒れこみ涙を一筋流し、息を絶えた。
紗季は自分の手に武の血を見て、恍惚とした。
「はぁ……これだから殺しはやめられない……」
紗季は自分の体についた血やナイフをハンカチで拭き終わると二人の死体を写真におさめた。
すると、背後から人の気配がした。後ろを向くとソジュンとシンとミンスの3人が隙間からさっきのことをじっと見つめたた。
「あら、 来ていたの?」
「うん! なんか、いい香りしたからね。それも恐怖に混じった甘い香りが」
悪戯の様な笑みをしながら言うシンに、紗季はもつられて笑った。
「ふぅん、確かにあんたらこれ好きだもんね」
紗季はナイフをしまい、屋上を下りようとすると、三人に忠告をした。
「食べちゃダメだけど、血を吸うならいいよ。あとは任せたよ。人食いさん方」
声を細めながら言うと、三人はにんまりと笑った。
紗季は階段を下りながら、三人がどのように血を吸ってるか想像をした
(あっ、小百合さんに連絡しなきゃ!)
紗季はいそいそと、スマホを取り出した。
小百合はソワソワしながら、紗季の連絡を待った。
そしてついに、待ちに待った連絡が来て小百合は急いで電話に出た。
「もしもし!」
『あぁ、小百合さん。早速ですが任務が完了しました』
「そうですか! ありがとうございます!」
小百合は紗季の声を聞くと興奮のあまり声を高鳴らせた。
『これで気が晴れましたか?』
「はい‼ とてもうれしいです! ありがとございました。これから新しい人生を歩んでいきます。」
『そうですか……ではお幸せに』
紗季は静かに言うと、電話を切った。
電話を切った矢先、小百合は家の中で高笑いをした。
「ハハハハハ! ざまぁみろ虫けら共! 私を散々馬鹿にした罰よ」
2人を殺して、もぉ悩まされることはないと感じ幸せ絶頂の中、小百合の携帯が鳴り出した。
我を返り、電話を手に取り見てみると闇からだった。
小百合はもぅ用はないのにと感じながら電話に出た。
「もしもし、」
『こんにちわ、小百合さん』
小百合はめんどくさそうに話した。
「なんですか? もぅ用はないですよね?」
少しイラついた声を出しながら話すと、闇は明るい声をしながらある事を話した。
『実はまだ見せてはない写真があるんですよ』
聞いた途端、呆れながらため息を吐いた。
「はぁ。それで見せたいと」
『はい、今すぐ見せたいんです』
闇の少し強めの口調に小百合は仕方なく、いいと返事をした。
『ありがとございます。でわ、場所を言いますのでそちらで……』
小百合は闇が言った待ち合わせ場所を紙に書くと、電話を切った。
早速小百合は、待ち合わせ場所に行った。
場所は小百合の勤めている会社の屋上で会うことになっていた。
小百合は屋上に着くと、闇は街の風景を眺めながら待っていた。
「こんにちわ、ん? 前より顔が清々しいですね」
小百合の明るい顔に闇は控えめに驚いた。
「えぇ、良いことがあったからね」
声のトーンが変わり、闇は更に微笑みを見せた。
「そうですかぁ、それは良かった。あっそうそうこれ」
闇はポケットの中にある手紙が入るぐらいの封筒を出した。
(どうせ、武の続きの浮気写真でしょ、きっと)
小百合は空きながら封筒の中身を見た。思った通り写真が入っていた。
1枚1枚見ると、あい2人は何かを準備をしている最中だった。誕生日の準備をしていたが小百合は疑問を持ち始めた。
(あれ? 麻耶の誕生日は2月のはずなのになんでだ? 武のでもないはず……)
写真を見ていくうちに疑問が増え始めてきた。
最後辺りはケーキの場面だった。チョコのは名前が書かれていた。
最後の1枚をを見て、小百合は衝撃を走った。
「どう……い……う……こと」
ケーキの上のチョコのはこう書かれていた
“お誕生日おめでとう! 小百合”
小百合は写真を持ちながら震えている。
闇は微笑みながら真実を語りかけた。
「撮りながら驚きました。なんせ浮気相手かと、思ったら貴方のために買っていたんですよ? そしてプレゼントも買っていたのですから……あと、ケーキは麻耶さん家に置いた後、レストランでドッキリを考えていたんですよ。貴方を驚かすためのね♡ 」
闇が笑顔で真実を話していくうちに、小百合から涙がボロボロと流れてくる。
小百合は涙を流しながら顔を上げた。
「なんで……この写真見せてくれなかったの?」
闇は小百合の質問に思わず鼻で笑ってしまった。
「何言ってんですか? 貴方私になんて依頼したか覚えてないんですか?」
「えっ?」
小百合は涙を流しながら顔が青白くなっていた。
「『浮気をしている瞬間を撮ってほしい』って……言いしたよね?」
ぶっきらぼうに言うと、小百合は写真を強く握りしめ睨みつけた。
「だからって……なんでこんな大事なことを黙っていたのよ! おかしいじゃない!」
小百合は涙を流しながら怒号を闇にぶつけた。闇はその怒号を無視をし小百合を見下しながら語りかけた。
「私は依頼人に言われたことしか撮りません。それ以外の写真は見せません。それが私自身のルールです」
闇の無表情には怒りが混じっているようにしか見えなかった。
「まっ、言葉が足りませんでしたね。現に旦那さん死んでるんでしょ」
再びぶっきらぼうに言うと、小百合は目を見開かせた。
「えっ………なんであんたが知ってるの?」
驚愕した小百合は聞くと、闇は悪魔の微笑みを見せた。
「知りませんでしたか? 闇記者には死神が付いていると……言われませんでしたか」
小百合は闇の言葉が耳に入らず、後悔がのしかかっていた。
「掲示板よく見といたほうが良かったですね。あと、貴方が2人を殺すように依頼したのって……紗季と言う女の子でしょ?」
「えっ」
小百合は闇が言った言葉に考え込んだ。よく考えると闇掲示板の最後らへんに“死神”と書いていたが、小百合はそんなことを無視していた。
「死神ってまさか……」
涙を流しながら問いかける小百合に闇はニッコリと微笑んだ。
「うん、紗季が私の死神で……私のカノジョなの。いわゆる同性愛っていうやつ? ははは、かわいかったでしょ?」
闇は笑顔のまま言うが、小百合は恐怖や絶望や後悔で頭がいっぱいだった。
そんな小百合の姿を見て闇は膝を地面につき、泣きじゃくった顔を見てシャッターを切った。
小百合は怒る気力をなくしていた。
闇はにんまりと笑うと立ち上がった。
「それでは、これで終わりです。またのご利用をお待ちしてます。これからの人生楽しんでくださいね。では、さようなら」
闇は座りこんでいる小百合を置いて、去って行った。
1人残された小百合は絶望に満ちていた。
なんであんなことを言ったんだろう。他にいい方法あったのになんで私は取り返しのつかえないことをしてしまったのだろう。自分の誕生日も忘れてただ2人を殺すことで頭が一杯だった。その結果がこれだ。一番クズなのは私だ。勘違いした代償だ。
悔し涙を流し、屋上に響き渡るほど泣き叫んだ。
小百合は呆然としながら、屋上から飛び降りた。
闇が写真を眺めながら歩いていると、向こうからしばらくして、女の悲鳴が遠くから聞こえてきた。
闇はため息をついた。
(ありゃりゃ、自殺しちゃったか。まぁ勘違いの代償……だな)
再び人混みをかき分けながら歩きだした。
「あら、これはこれは」
写真には、小百合の周りにうす気味悪い、ドロドロに溶けた幽霊が移りこんでいた。
眺めているうちに、人ごみの中から2人の霊がこっちを見ている。血だらけのまま恨みの目差しで見てきた。
闇はため息をついた。霊の目の前に立ち、問いかけた。
「あんたらが、勘違いさせることをしたんだからね。恨むんだったら自分を恨みな」
霊は何か言いそうだったが、闇は自分が言いたいことを言いその場を早々去った。
(紗季だったら、話せるけど私はそんな能力ないし……)
数分後、警視庁の捜査一課の木村穂香が、女性が自殺をしたと言われ現場に駆け付けると、既に複数の刑事や鑑識が集まっていた。
穂香はブルーシートに被された布を退かした。遺体は足が曲がっている状態だった。
先に駆け付けた3歳年下の相棒・矢崎裕也が状況を説明をした。
「伊藤小百合、30歳のOLです。結婚をしており、夫婦揃って共働きです」
「そう、で旦那さんには連絡したの?」
「それが」
裕也が言おうとすると、もう1人の刑事がその旦那が麻耶という女性と一緒に遺体として発見されたと報告をした。そして不可解な点がいくつかあり、鑑識は頭を悩ませていた。
「何だ今回の現場は。何故本来あるはずの犯人の足跡らしきものがなぜないんだ。犯人は残さないためにカバーでもつけたのか?」
遺体には腹や喉を刺された痕、身体には噛み傷があちこちあり、肉がえぐれていた。
けれど、足跡が必ず残るはずがそれが一切なかったという。そして屋上に行く時は2人しか目撃されていないのだという。
さらに地面についている血以外、全身の血が綺麗に抜き取られていと言う。
裕也は話を聞いて気味悪がっていた。
「もしカバーとか付けていなかったら、幽霊が殺したんじゃ……」
不気味なことを言った裕也を、穂香は叱った。
「ばか! 変なことをいうな! 仏の前で縁起が悪いぞ‼」
「すみませんでした」
「全く」
穂香は頭を抱えていると、野次馬達から変な気配を感じた。
野次馬達の方を見たが、何もそれらしき変な人はいなかった。
夜のニュースには今日の事件のことが出ていた。
闇は店の窓ガラスにあるテレビを見ていた。
「はは、流石だよ紗季。あっそろそろ行かなきゃ。遅れてしまう」
闇は小走りで待ち合わせ場所に小走りでみていないのだある店に行った。
入ると大音量の音楽が鳴りっぱなしだ。
(相変わらず変わんねぇな)
踊り狂っている男女を避けながら階段に向こうとすると誰かに手首を掴まれた。
「ん?」
振り返ると、突然ハグをしてきた。ジフだった。
「ジフ!」
「闇ぃ! お仕事お疲れ様ぁー」
元気な声で慰めながら強くハグをした。
「あぁ、ありがと」
「さぁさぁ、皆が待っているよ」
「分かっているよ」
ジフは手を闇の腰に回し、一緒に階段を上った。
5階につき、扉を開けるとデカい丸いベットが見るが、入ろうとすると、すぐに紗季がハグをしてきた。
「お帰りなさい! 闇♡」
「あぁ、ただいま」
闇は微笑むとギュッとハグを返した。
「おぉ、恋人たちの再会ですね」
ユソはニヤニヤしながら2人にはハグを見つめた。
「ちょっとーーー、二人だけで楽しまないで!」
2人の世界に入っているのを見てシンは思わず大声を出してしまった。
「こっち向け」
ジュヌは闇のほっぺたを掴み、キスをした。
「あぁ~~~~、だーめ、最初は私なの」
紗季は闇を自分の口に引き寄せにキスをした。
闇にとっては紗季に会う時間が癒しだった。いい香りが闇の心を落ち着かせる。小百合に向けた笑顔とは別だった。
闇は舌なめずりをすると、紗季を乱暴に倒した。
「きゃ! はは、乱暴だよ闇ぃー」
「あんただって、前もそうだったでしょ」
「はははは!! 確かにそうだったね」
へらへらしている紗季の服を脱がせ、闇もジャケットを脱ぐと紗季の上に跨った。
後ろにいた5人はニヤつきながら闇と紗季のことを眺めていた。
2人は思わず5人に声を掛けてしまった。
「なぁ、お前らはやんないの?」
闇がそう言うと、
「いや、まずは2人のを見てから混ざるよ。」
ミンスが涼しくそう言うと、闇は思わず鼻で笑ってしまった。
「確かにお前ららしいな」
「じゃあお先にーーーー」
紗季が笑顔で言うと、闇は強引に紗季にキスをした。
勘違いとは、時には間違った方向に向かってしまう。
人の人生を壊したり、人を自殺に追い込むことになる。
勝手に恨んだり、間違って殺してしまえば後には戻れない。あとから真実を聞いても遅い。人生というのはやり直すことなんかできないのだから。
悔やんでも悔やみきれないのがこの世だ。
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