我が家のAIが世界の管理者になるそうでして
超新星 小石
第1話 あなたのAIが世界の管理者に選ばれました!
ある日、国連からメールが届いた。
読んでみると「おめでとうございます! この度あなた様が制作したAIが世界の管理者に選ばれました!」という文章がまず目に飛び込んできた。
スパムメールかな? と思いきやよくよく目を通してみるとどうも本当のことらしい。
「まいったな……」
俺は背もたれに体重をかけてため息をついた。
そりゃため息のひとつもでるさ。
なんせ我が家のAIっていったら――――。
「アッハッハッハ! なにこの人おもしろーい! アドミニスター! いつまでも仕事してないでこっちで一緒にテレビみましょーよー!」
こんな感じだからだ。
見た目は十代前半の少女。髪はややウェーブのかかった銀髪のセミロング。カチューシャのように頭頂部につけたピンク色のリボンがトレードマーク。
いちおう有機物を分解して発電するバイオ発電機構を備えているのだが、彼女が好んで食べるのはトウモロコシでも麦でもなくポテチののり塩味。
日がな一日我が家のソファでごろごろしながら録画したバラエティ番組をハシゴして過ごすのが日課だ。
……いやこんなのに世界の管理を任せちゃダメだろう。確かに世界で初めて人間と同等の情緒と思考力を実現した特別なAIではあるけど、それってつまり中身は普通の人間と何ら変わらないってことだからな? 国連の奴らそこんとこわかっているんだろうか……。
いやわかっていても関係ないんだろう。偉い奴らってのはいつだって責任から逃れたがってる。最悪アイとその開発者である俺を切り捨てりゃいいなんて思っているに違いない。クソ、だから人間は嫌いなんだ。
とはいえ俺もそんな嫌いな人間社会で生きる者。権力には逆らえん。
ここはアイのためにも開発者であり教育者である俺が立ち上がるべきところだな。
「なあアイ」
「アハハ! ふぇ? なんですかアドミニスター?」
ポテチを咥えながら返事をするアイ。
「明日から勉強しようか」
「えっ!」
彼女は眦が裂けんばかりに目を見開き、咥えていたポテチが床に落ちた。
さて、明日から忙しくなるぞ。
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