リンクⅠ

浅貴るお

第1話

 僕は音楽家の家系に生まれた。そのためか、物心がついた頃から、ピアノを習っていた。

 だから、演奏には絶対の自信があった。 

 だけど、歌が壊滅的に下手だった。

 演奏家としては、良い。しかし僕がなりたかったのは、ヴォーカリストだった。

 なのに、歌が下手では駄目だった。聴く相手を不快にさせてしまう。 

 歌が下手クソなのは、何度もボイストレーニングをしたが治らなかった。

 僕は、親に勧められるがままに、地元の音楽学校に進学した。

 音大に進学した僕は、そこでもボイストレーニングをしたが、歌の下手さは治らなかった。演奏だけは良いのに。

 完膚なきまでに、ヴォーカリストとして駄目だと叩きのめされている時、僕はソイツに出会った。

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