世界樹と彼女 ~the world of the places~

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第1話

ある時私はいつものように彼女に呼び出されて待ち合わせ場所で待っているが彼女はいつまで経っても現れない。

何かあったのかと心配になって家に戻ったら机の上にこんな手紙が......

『ごめんなさい』

たった一言そう書かれた置き手紙があっただけだった。

「なんで......」

そんな言葉しか出てこないぐらい衝撃的な内容であった。

それからというもの私の心は深く傷ついた。

でもそれは失恋という感情ではなかったと思う。

ただ純粋に何故置いて行かれたのかという疑問だけが残った。

しかしその日から数日後に彼女の兄からこんなことを伝えられた。

曰く「妹は病死してもうこの世にはいない」と。

それを聞いて目の前が真っ白になった。

それからさらに数ヶ月経ったある日突然、彼女に似た女性に声をかけられる。

「久しぶりですね......〇〇さん」

そしてこの女性といる時間が長くなるにつれて彼女が死んだなんて嘘なんじゃないかと思い始めた。

でも現実は変わらない......だから今度こそは彼女を絶対に守ると誓う。たとえどんな手段を使っても......

例え自分がどうなっても構わない。

だけど私がどんなに頑張っても運命というものは残酷なものだと実感させられるばかりだ。

「あなたが殺したんだ!」

「お前さえ居なければ!」

そんな呪詛ばかり耳に入って来る。

その度に私は

「違う!私じゃない!!」

と言い返すしかなかった。

それでも聞こえてくる罵詈雑言は止むことはない。

いつしか心まで疲れ果ててしまい私はいつの間にか生きることすら諦めていた。 「あなたと一緒に行きたいよ......」

私は無意識に呟いていた。その時何故か涙が溢れていた。

「それなら叶えられるかもしれないわよ?」

その言葉とともに突如として視界が白く染まると同時に意識が遠退いていく───── ──────────────────────

「......ここは......?」

目が覚めるとそこは見知らぬ空間でした。

辺りを見渡すもそこには誰もおらず、ただ1つだけポツンと机があるだけでそれ以外には何もなく、ただそこに立っていることしかできない。

(あれ......?)

そう思っていると急に体が傾きそのまま机に倒れ込んだ......ってか何で私は倒れてるんだっけ?

そんなことを考えた瞬間思い出した。

(あぁそうだった......)

彼女は私を庇った際に意識を失ってしまったのだ。

(そういえばあれからどれくらい経ったんだろ?)そう思い自分の右腕を目視する。

するとそこには肘の部分から先の感覚が無くなっていてそこから大量の血が出ていた。

「いっ...たぁ!?」

あまりの痛みに思わず悲鳴をあげてしまった。痛みに耐えながらもなんとか止血しようと試みるも上手くいかず結局止まらず血はどんどん床に垂れてくる一方だった。「どうしよう......!」

どうすればいいか分からず混乱しているとき不意に声が聞こえてきた。

『力が欲しいですか?』

その瞬間声の正体が誰なのか理解した。

(もしかして貴女が力を貸してくれるの?)

そう言うと声はこう返した。

『はい、そうです』

やはり思った通りだ。

(ならお願い助けて!)

そう叫ぶと声が答えた。

『分かりました。それではあなたの望むものを言ってください』

そう言われて考える間もなくすぐに答えが出た。

(じゃああの子を助けれる力がほしい!)

そういうと声はまだかと急かす。

『それだけでいいのですか?』

まだだと答えると困惑したような声でこう言った。

『ではいきます』

次の瞬間身体中から光が溢れだした。

それと同時に身体中に激痛が走る。

余りの痛みに立っていられなくなりその場に蹲ってしまった。

しばらくして痛みが引いてくるものの未だに立ち上がることができない。

それどころか動くこともままならない状態であった。

そんな時再び声が聞こえた。

『これで大丈夫でしょうか?まだ痛いと思いますが耐えてください』

どうやら痛みを無くすことは出来ないらしいので我慢するしかないようだ。

(分かったわ)

返事を返すと同時に体の奥底から今までに感じたことの無い力が湧いてくるのを感じた。試しに足に力を入れてみると先程まで全く立てなかったというのに少しふらつく程度ではあるが立てるようになっていた。

『それでは今からあなたをあの少女の所に送ります』

そう告げられた後身体が徐々に浮き上がるような感覚に襲われる。

(え!?ちょっと待ってまだ心の準備が出来てな......!)

そう思った時にはすでに手遅れであり気が付くと目の前にあった机ごと浮いていた。そしてそのまま猛スピードで床を突き抜け何処かへと飛んで行く。

しばらく飛んでいるとだんだん雲の上の景色が見えるようになってきた。

(すごい......!空から見た景色よりも何倍も綺麗だし広い......!)

感動しているとまたしても声が聞こえてきた。

『どうです?綺麗なものでしょう?』

たしかに綺麗ではあるものの今はそれどころではなく一刻も早く帰りたいという気持ちでいっぱいだった。

(えぇ本当に綺麗ね。でもそれより早く家に帰して欲しいのだけど?)

そう伝えると声が慌てたように言った。

『それはできません』

どうしてだろう?と思っているとその理由について説明してくれた。

曰くこの世界は死後の世界であるということ、つまり死んでしまったものは帰ることが出来ないということ。

曰くこのままここにいたらその魂は輪廻転生という理に従い記憶を持った状態で別の世界で新しい生命となるとのこと。

これらのことからもうじき自分は転生出来るということを理解出来た。

(そっか......もう会えなくなるのは寂しいけど仕方ないよね......)

そう思って諦めたフリをする。しかし心の中ではもう会えないことを受け止めきれず必死に涙を堪えようとする自分がいることに気づいた。

(やっぱりダメみたいだわ......もし次生まれ変わったらその時は貴方も一緒に連れていってあげたい)

そう告げると声が焦った口調で言い返してきた。

『いけません!』

(どうして?)

そう思うとすぐに返事が来た。

『貴方は貴方の生きるべき場所があるのですよ!それをこんな所で終わらせてしまうなんてあってはいけません!!』

そうだとしてももう遅いのだからどうにもならないではないか。そう言い返すと声を荒げながら言った。

『どうしても助けたいんですか!!!』

その叫びに何も言えなくなってしまった。

そうして私が黙ってしまうと急に声のトーンが変わり優しい声でこう言った。

『でしたら1つだけ方法があります』

『方法?』

そう聞くと優しく微笑んでこう言った。

『私と契約して魔法少女になってください。そうすれば元の世界に戻れますよ』

その言葉に心が揺らぐ。だが同時にある疑問が出てきた。

(なぜそのことを知っているのだろう?)

そう思って聞いてみるとこう返ってきた。

『それは神様だからです』

神様だから知っていて当たり前なのだろうか?

だとしたら納得がいかないのだがこの際どうでもいいやと思って聞くことにした。『じゃあ何故私を救うのか聞いてもいいかしら?』

そうすると声は笑いながらこう言った。

『あなたは今まで何度も私の世界を救ってくれたんです。なので恩返しとして救おうと思ったからです』

『何回もってどういうこと?』

それに続けて言った言葉を聞いてとても驚いた。

『はい実は何百回か何千回かあなた達の世界では神と呼ばれる存在を倒しています』そんなこと信じられるかと思い聞こうとしたがそれよりも先に声がこう続けた。

『事実です。なんなら証明してあげましょうか?』

そう言われてしまってはどうすることも出来ないため信じるしかない。

『信じてくれるんですね』

(ええ、信じようと思う)

そう思っていると嬉しそうな声でこう言った。

『ありがとうございます!!ならば早速やりましょう!』

そう言うと身体を光が包み込む。すると身体の底から何かが湧き上がってくるような感覚に襲われた。

(これが魔力......?)

そんなことを思っていると少しずつ感覚が戻ってきたことに気付き目を開けると自分の身体に変化が起きていた。

まず髪が金色に染まっていく。まるで脱色されていくかのような変化だった。やがて全身が染まったところで目を開けた。そこには自分の知る人間とは明らかに異なる生き物がいた。

『これは一体なに?』

そう呟くと声が答えた。

『それがあなたの本当の姿ですよ』

言われて顔に触れてみると確かに人間の手ではなかった。

(嘘でしょ?)

そう思いながらも鏡を見てみたら本当に姿が変わってしまっていた。

「これ元に戻るの?」

そう聞くと声はとても明るい声でこう言った。

『大丈夫ですよー戻ろうと思えばいつでも戻ることが出来ますよーただ戻す時は少し痛いですけどねー』

そんなことを言って笑う声が聞こえたかと思うと視界が真っ白になり思わず目を閉じた。

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