したたる百物語
28号
第0話『はじまりはじまり』
僕がきた頃には、もう会場には二十余名の参加者が集まっていた。
「百物語をしよう」そんなことを言い出したのは誰だったか。普段はオフ会にはかなり消極的だった界隈の面々が、なぜか今回に限ってノリノリだったのをよく覚えている。
小さな声で、ざわざわと声が聞こえる。みんな初めて顔を見る友人たちに興味津々なのだろう。
僕はとりあえず目についたポニーテールの青年の隣に座る。なんとなく誰だかわかるような気がしたが、外したら恥ずかしいので黙っていた。
「えー、皆さん今日はよくお集まりいただきました」
ポニーテールの青年が、よく通る声で言った。配信でよく聞く声で、ああ、やっぱりな、と思う。
青年は続ける。
「誰が言い出したかこの『百物語オフ会』、予定に合わない方や、親御さんの許可が出なかった未成年の方もいて、まぁ百には足りませんが、それはかえって良かったと言うもの。なんせ百話話し終わると怪しいものが降りてくるって言うじゃありませんか。私らみたいな趣味で怪談やってるだけの連中には……いや、失礼、皆さん結構本気の面構えですね。それじゃぁ、まずは……あ、じゃぁあなたから」
青年の話の途中で誰かが挙手をした。
和やかでどこかうわついた空気の中、話が始まる。
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