壁
火月未音
壁
いつも人の中心で陽のような笑顔を振りまいている君と、いつも隅で聞いていた僕。
この場所でよく友達といて、君が笑う声は悲しみに埋もれている僕に、
一時の安らぎをくれる。
安らぎをくれる君は隅にいる僕に気付いていないのだろう。
君と僕には見えない壁があって、それを知っているのは僕だけ。
それは生きるものと死んでいるもの、という絶対見えない壁。
だから近づくことなんて絶対にかなわないけど、
君の声を聞くだけでもいい
君の笑顔を見るだけでもいい
暗闇から君がいることを知れるだけで
この壁に阻まれていても幸せだ。
この壁に寄りかかって今日も君の声を探すよ。
壁によって僕達は出会えないけど、いつか君が僕に気付いてくれるのを願っている。
僕にはなにもできないけれど、
君が怒っている時はその愚痴を聞くから
君が泣きたい時は思いっきりこの場所で泣いていいから
この壁から遠くに行かないでほしい……
これは僕のわがままに過ぎないけど。
君は一人じゃないから大丈夫だよ。
壁 火月未音 @hiduki30n
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