第52話 魔道具の改良と航海の終了
従来使用していた魔素の揺らぎ方式だと、サイズ判断と距離の判断が全くできていないことに気が付き大後悔した。
そのため、普通のソナーの様に、音響タイプを使うことにした。
確か音は、空気中を 340 m/秒の速さで伝わるが、 水中では、その4倍以上の約 1500 m/秒で伝わる。
低周波であるほど減衰が少なく。
14KHz の音波を用いるソナー は、有効距離 4,500 mだ。
もっと周波数の低い4KHz だと 、有効距離は 18,000m だったはずだ。
でも、水 中における音速は、 水温と水圧に比例する。
なので、海が深くなるほど、 水圧が高いので音速が速くなる。
欠点もあり、潮目などで、温度差などがあると、見えないところが出てきたはずだ。
音は、音を出す魔道具で発生。
伝声管のような構造で、外に出せばいい。
受け側も同じだが、コンマ数秒の差を、距離に置き換える演算装置が欲しい。
トランジスタで、演算海路を組むのか? この船じゃ、絶対サイズが足りなくなる。
最初は試しで、潜水艦のソナー員よろしく。音を聞いてみよう。
そんなことを考えていると、夕方。
落としていた網を巻き上げると、嬉しいことに、タラバガニかな。ぽつぽつ入っていた。サンゴは、欲しかったアカサンゴなどは、入っていなかった。
その代わり見たことのない。
変な魚が大量に入っていたので、海に捨てる。
少しして、周辺の海。表面に白波が立っていた。
なんだか、この海怖い。
内村さんと二人で、その光景を、ぼーぜんと眺めていた。
「やばそうな気もするけれど、やってみますか」
そう言って、船を止める。
船の両側に明かりを灯す。
餌木を枝スに、5本ほどつけた仕掛けを落としてみる。
烏賊のいる棚。
棚と言うのは、烏賊がいる深さの事。
今は分からないため、100mくらいから、途中大きくしゃくる様に誘いながら、徐々に巻き上げてきた。
「来ないですね。まあ大型の魚は居たので、餌となる烏賊が。全くいないと言うことはないでしょう」
そう言いながら、作業を繰り返す。
すると、40m~50mの辺りで、ずしっと来た。
おっと、きたかと引き上げると、50cmくらいの烏賊が3本ついてきた。
「なんじゃこりゃ? ムラサキイカかな?」
おれが叫ぶと、内村さんにも来たようだ。
烏賊を釣り上げてワイワイ言っていると、寝込んでいた皆も復活したようで、香織達が船室から出て来た。
「人が苦しんでいたと言うのに、あなたたちはずいぶん楽しそうね」
出てきた瞬間。
そんな、理不尽なことをおっしゃる。
「釣ってみるか?」
話を振る。
「やるー」
との元気のいい。返事が来た。
ワイワイと、大騒ぎしながら釣っていると、ドンと言う感じで、ラインが持って行かれた。
「マグロが来たな」
内村さんが、すかさず。
イカの疑似餌を放り込む。
俺はでかい針を作り、小さめの烏賊を引っ掛けて、海に放り込む。
すぐに、どちらもアタリが来て、フッキング。
今度は途中で、電気ショッカーの存在を思い出した。
どうして人間。
記憶が飛ぶんだ。
最初から思い出していれば、もっと楽なのに。
最初に、アタリが来た餌木。この仕掛けでは、さすがに持たなかったようだ。
それでも、良い型の烏賊が残っていた。
30分以上。引き合いをして、近くに来ると、またラインが出ていく。
やっぱり、電気ショッカーが欲しい。
引きの具合を見ながら、錬成してリング型の魔道具を作る。
何かにゴンとあたると、200v程度の電圧で、5秒ほど放電するように作った。
100mの目印まで来たので、魔道具をラインに通して起動。
そして手を放す。
引き合いをしていたドラムが、ガンガンと巻き上がり始めた。成功だ。
慌てて、内村さんにライン今どのくらいですか? と聞く。
「さっき。100mまいた」
と、言うので、ショッカー魔道具を引っ掛けて、起動させ放り込む。
少しすると、引きが緩んだ。
「よし」
俺はそう言って、自分のラインに戻る。
もう、20mほど先に、魚影が見えてきている。
でかい。1m50は超えている。
ドラムを緩めて、手繰り寄せ。ギャフを撃ち込む。
リフトを使い、巻き上げる。
「そっちは〆るから、こっちを頼む」
言われて、内村さんと、場所を変わる。
近くまで来たら、手繰り寄せて、さっきと同じ要領で引き上げる。
「佐藤君。これクロマグロかと思ったら。ミナミだね。背鰭(せびれ)、臀鰭(しりびれ)の両側に小離鰭(しょうりき)はあるんだが。尾びれの付け根。尾柄隆起縁(びへいりゅうきえん)が黄色いよね。それに、クロなら、腹側の側面には、顕著な楕円形の白い斑紋があるはず。…… たしか」
説明しながら、苦笑いをする内村さんだった。
上がったマグロは、180cmくらいと、2mちょっと。
自分たちで作ったメジャーだから、まあまあ参考だけどね。
皆も、集まってくる。
「すごーい」
口々に賛辞? をあげている。
久美が「刺身が食べたい」と叫んでいるが、熟成に低温で3~4日は必要なはず。
「食べるなら3~4日後だよ」
と言う。
「「「え~」」」」
久美だけではなく、周りから声が上がる。
「熟成しないと、おいしくないよ。今日は烏賊だね」
俺が言うと、しぶしぶ納得したようだ。
そんなことをしながらも、楽しく船旅を進める。
途中嵐で、結構揺れたが、問題なかった。
そして、23日目。陸地を発見。
この船旅も、終わりを迎える。
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