第46話 弟子3人

 高瀬さん、信二くん、誠一くんの手を順番に取る。

「よろしくね」

 そう言葉を付け加えて、魔力を流す。


 ゆっくりだが。

 魔力を流すと、大体みんな、1日寝込むことになる。


「いま皆に、魔力を流した。これで1日くらい。だるさや微熱が出るし、体がつらいと思う。けれど、明日には、魔法が使えるようになるから」

 僕がそう伝えると、3人は驚く。


「特に、体に変化は、ないようですね」

 高瀬さんは、この時は言っていた。

 だが、1時間後位からは、徐々に動きが干満になって。症状が出てき始めた。


 3人が。まだ動ける間に、皆のベッドを作る。

 村長さんのところへ行って、状況説明して、布団を抱えて来た。


 そう。弟子たち。

 この家で、住むことになった。


 皆を寝かせた後。水道工事をして、工事状況を確認する。



 その後。

 家に帰り、3人が弟子になったと。説明。

 すると、村上さんと宅間さんが一念発起。

「私たちも、何かしたいです。縫製をしている方に、紹介してください」

 そう言いだして、柳瀬さんと秋田さんの所に、2人を連れて挨拶をしに行く。


 みんな、強制ではなく。

 自分で考え。自分のしたいことに向き合える。

 ここの環境は。彼らにとって、良かったのかもしれない。

 まあ、かといって、ロックがしたいと言われても。楽器が無いな。

 今度作ってみよう。


 柳瀬さんと秋田さんの家には今。付き合っている人が住み込んでいるらしく。同居は渋られた。まだ当面は、家から通いと言うことになった。


 帰り道。

「彼氏と同棲とか、いいよね」

 二人の会話が、聞こえる。


 ここは、条件がみんな一緒。

 決まりも何もない。

 その点では、迷惑さえ人にかけなければ。自由だ。

 考えれば、かなりストレスフリーな、社会構造を取っている。

 その分。責任はすべて、自分にかかるけどね。



 夕方。様子を見に行くと、弟子たち3人は、完全に寝込んでいた。

 何か食べられそうか聞く。

 だが、おかゆとかは、いやだと言うので、うどんを作り。食べさせることにした。


 玉と出汁。

 もろもろの道具を用意していると、村上さんと宅間さんが、手伝いますと言って、手伝ってくれた。

「あいつらとも仲がいいし。1日位、世話をしますよ」

 二人は言っていたが、顔つきが怪しい。

「じゃあ。お願いしようかな」

「おまかせ」

 そう言っているが、しししと、どこかで見た、犬のキャラのような笑い方をしている。


 高瀬さん家に移動する。

 台所の具合を、確認をしながら最後の仕上げをする。

 調理と言っても、温めるだけ。

 それを、各自の部屋へ運んでもらう。

 ベッドわきに、折り畳みの小テーブルを置いてあるので、それを使ってねと説明。 

 俺は、高瀬さんの所へ、うどんを運ぶ。

 うどんには、肉と玉ねぎを、甘辛く煮た物を乗せた肉うどん。


 信二の所に、村上さん。

 誠一くんの所に、宅間さんが行ったのが、あれっと思ってしまった。

 信二は金髪だし、宅間さんと仲がいいのかと思ったが、どうやら違ったようだ。


「どうです。食べられそうですか?」

「ええ。基本はだるいだけなので。大丈夫そうです」

「すいませんね。結局。二人も同居になっちゃって」


「いえ、まあ。その方が、寂しく家に一人でいるより。佐藤さんに、その日習ったことを、みんなで反省なり確認なり。ワイワイするのも、楽しいかもと、思います」 

「酒を飲みながら、ですか?」

「良いですね」

 そう言って、微笑む。


 村上さん達は、もう少しいると言うので、一人で家へ帰る。そして、皆の食事を作る。そうしていると、川上さんがやってくる。

 ついでに、3人が弟子になった事や、今寝込んでいることを説明する。

「それは大変ですねぇ。私ちょっと様子を見てきます」

「いや、さっきうどんを……」

 俺はそう言ったが、そそくさと行ってしまった。なんだ一体?



 そんな頃。

 信二の所。村上さんとの状況。

「ほれ、信二ちゃん。おうどんだよぉ」

「ああっ? 紗莉か」

「おま。また、名前で呼びやがったな」

「いいじゃんか。女の子は、名前で呼ぶ主義なんだよ」

 そう聞いて、紗莉の目が怪しく光る。

「どんな主義だよ。まあ。あんたに呼ばれても。背中に寒気が来ないから良いけど。そうだな。その礼だ。大口で、がっつり食ってくれ。アツアツのうどん」

「食えるかぁ」

 当然だが、否定。頭痛が、叫ぶと頭に響く。


 んーーと考え、にまぁと紗莉は笑う。

「じゃあぁ。しょうがないでちゅね。お姉ちゃんが、フーフーして。食べさせてあげましゅから。ふーふー。はい、あーん」

「ちょ。おまえ。楽しんでいるだろう」

「当然。こんな機会は、逃しちゃなんねいと。じっちゃんの遺言が」

「じいさん、生きているよな」


 紗莉は、にへらと怪しい笑みを浮かべながら、

「気にするな。食え」

 そう言って、押し込んでくる。

「ああ」



 誠一くんと、宅間さん。

「誠一。生きてるか。めしだぞ」

「ああ、紫衣瑠か」

 ガシャッと、テーブルにトレイを置く。


「どれ」

 誠一の額に、紫衣瑠が額をくっつける。

「おい」

 誠一はあせるが、体が自由にならない。

「まあ。熱は微熱だな」

 言いながら、紫衣瑠はすっと離れる。


「それで、どうだ。食えそうか」

「あーまあ。何とか動けるが」

 そう言いながら。誠一は体をずり上げ、ベッドのヘッドボード部分に、体を持たせかける。

 するとまあ。

 なんという事でしょう。


 緩めのズボンと、パンツが脱げ。誠一のものが、こんにちはしてしまった。

「あっ」

「あっ」


 じっと、紫衣瑠は見ながら、手を伸ばして来る。

 指で突っつきながら。

「なんでこれ。元気なんだ?」

 そう言いながら、ぐにぐにと指先でこね始めた。



「わからねえ。けど、体はだるいが、ここは元気なんだよ」

 ズボンを引き上げようとする。だが。

「ちょっとまて、面白いから見せろ」

 ズボン引き上げが、阻止される。

「なんでだよ」

「見たことないから」

 真顔で言ってくる紫衣瑠。まるで、私のおもちゃを取り上げないで。そう訴える目で。


「そんなの。俺がはずかしいだけじゃんか」

 俺がそう言うと。んーと考えて、紫衣瑠は服を持ち上げ。胸を出す。

「よし見たな。へーこんなのなんだ」

 秒の時間だけ、自身の胸を見せ。また、ぐにぐにし始める紫衣瑠。


 何が起こっているのか、理解できない誠一だった。

 だが、やばいことだけは分かる。

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