逃げるが勝ち

@rimauchi420

第1話

ヒトが勝利して半年が経つ。

勇者は魔族の力を恐れ残党狩りを命じた。そのかいもあり、多くの魔族は命を落とした。

「はぁ、はぁ」

戦争孤児であるミゲルは今まさに兵士に追われていた。足だけは速かった。

あなたにかかった呪いは強くならないことだ。

どれだけ努力しようとも変化などない。

今後ミゲルの人生を操るあなたにはいくつかの選択肢がある。

1つは勇者を倒すこと。これは死んだ魔族達の願いでもあるだろう。成し遂げることによって貴方は魔族の英雄として讃えられ、信頼できる仲間を手に入れることだろう。しかし、失敗したら死は逃れられないだろう。

1つはヒトと親交を持つことだ。魔族を利用しようと思うものやあまや信頼しているという愚か者もいるだろう。彼らと共生が出来れば死を恐れずに暮らせるだろう。ただし、彼らが裏切らなければね。

1つはひっそりとヒトのいないところで生活することだ。魔族で死んでいないものもいるであろう。彼らを集めて村を作って生活しよう。ならば友達や恋人も出来やすいだろう。ただ、悲劇を繰り返さないように眠れない夜は続くだろうね。

他にもきみの選択によっては思いも寄らない道が産まれるかもしれないよ。色々試してみるといい。

これら全て叶えなくても良い。死ぬときあなたの分身であるミゲルが幸せであれば良いのだ。

最後に1つ。ミゲルは腹は減るし、眠るし、病気や恋愛だってする。あなたたちと変わらない存在だ。それだけ忘れないでいて欲しい。

じゃああとは任せたよ。

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