転生したら松茸だった件

なるとし

第1話 松茸になったぜ

とある山奥の茂み




 松茸だいしゅき!


 いつも俺が口癖のように言っていたセリフだ。


 それほど俺は松茸が大好きで、秋になると、有り金全部叩いて松茸を買い、いろんなやり方で調理をし、楽しんだものだ。


 だが、


 松茸を積んで走っていたトラックに轢かれて、


 目が覚めたら、



「俺、松茸になっとる!」


 そう。俺は松茸になっていた。


 山奥のとある茂みの中にある立派な松の木の下で生えている松茸。


「おお!」


 驚いている俺の脳みそに、この松茸に関する情報が上書きされる。



ーーーー


名前:SSR松茸


原木:樹齢1000年の松の木


想定値段:100億円


効果:精がつく。美肌にいい。若返る。どんな病気も治る。が治る。などなど……


ーーーー



「は、ハゲが治るんだと!?」


 マジかよ。


 俺の父も禿げてて、遺伝的に俺もそろそろだと思っていたのによ……


 そりゃ、想定値段100億円も納得だぜ……


 ノーベル生理学医学賞ものだろこれ……


「俺……すげー松茸だ……」


 俺が自分の素晴らしさに感嘆していると、


「っ!!」


 何かが閃いた。


「もし、俺が胞子を飛ばしてSSR松茸をいっぱい作れば、日本人延いては世界中の人々が幸せになれるん!」


 天才だろ……俺……


 俺は頬を緩めて喜んだ。ていうか、俺キノコだから緩める頬ないんだよね……


「ここは茂みの中だし、人が来ることはないだろう。よし!このあたりをSSR松茸で埋め尽くしてやるぞ!傘が開く時が楽しみだ!」


 そう意気込んでいる俺。


 うん。


 俺はいい仕事をしようとしている。


 松茸の人生も悪くないな。


 そう思った瞬間、






 急に泥まみれのアウトドア姿の中年おっさんが現れた。


 彼は俺を見るなり、数少ない髪の毛を立たせ、鼻息を荒げて、俺を指差す。




「おおおお!!!!あれは!!!!樹齢1000年の松の木でしか生えないSSRまつたけええええええええええ!!!!!」


「は、はい?」


「ああああああれを食べれば、つるっぱげだと揶揄われてた俺の頭にも髪の毛が……おお……おおおおおお……」


「あの……」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

 

 奇声を発するおっさんは、俺の方に駆け足で走ってきた。



 


 あ、


 詰んだ。






追記


ゲーム原案小説オーディションに出すための作品です




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