彼氏は悪の手先?!

中筒ユリナ

第1話 再会は布団の中で。

「お前の心臓、握りつぶしてやろうか。。。」


この一言から始まった。


俺は、おっちゃん。


「おっちゃん」って言うのは、恋人の彼女が、付けてくれたあだ名だ。


変だろ。 だけど、俺にはこの「おっちゃん」が愛しい。


彼女は霊能を、開いている。


見えない物が見えたり、感じたり。


霊感が強いとも言えるが、彼女は、霊能はあれども、霊能者ではない。


自分にくる火の粉を祓えず、なすがままだからだ。


当時の俺は悪さする悪霊の手下だった。そいつらに操られたり、自分の自由を奪われ、悪さばかりしていたんだ。


で、あの時も自分の言いたい事はそんなんじゃなかった。


でも、口からでた言葉は


「お前の心臓、握りつぶしてやろうか。」



俺は彼女の心臓に手をかけ、今にも握りつぶしてしまいそうになっていた。


苦しむ、彼女。


「い、痛い、、、?!く、苦しい、、

息が、、できん、、!」


そんな彼女の悲痛な内言を感じ、ハッと我にかえる。


(や、やべ! 大丈夫か?!)


そう、俺は思うのに、俺の口からは


「憎かった。。。」


こんな言葉しか出ない。。。


つくづく、嫌になる。。。違う!と言いたいのに、言えないんだ。。。



彼女は、布団の中で静かに俺に話かけてきた。


「憎かったん?憎い事があったん?」


小声で、そう優しく話かけてきた。


俺は涙が沢山溢れた。俺が泣けば彼女も感応し、泣いている。



これが、彼女との再会だった。。。

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