第6話 死体の部屋

「べろべろべろべろ!!!」


「いやああああああ!!!」


 美桜は獣耳おじさんに顔を舐められながら走っていた。


「やめろぉ!!」


 美桜は途中で拾ったキュウリをおじさんの頬に押し付けた。


「ニャン!?」


 びっくりしたおじさんは飛び跳ねて美桜から離れた。


「お姉ちゃん!早く!」


 沙羅は大きな扉を開けて待っていた。


 やがて、美桜が部屋に入ると沙羅は急いでその扉を閉めた。


 美桜は肩で息をしながら、膝から崩れ落ちた。


「もう…やだ…!…一生立ち直れないかもしれない…私…!」


「大丈夫?お姉ちゃん。」


 沙羅は美桜に声をかけた後、部屋の中を見渡した。


「あっ!ステージがあるよ!」


「…。」


 すると、例のごとくステージにライトが当たった。


 そして、次の瞬間、天井から大量の何かが降ってきた。


「ん?なに?…!?…お、お姉ちゃん!あれ何…!?」


「!?あれって…!」


 ステージに落ちてきたものは、紫がかった白色で、人の形をしていて、どれも一切動く気配をみせなかった。


 ステージに落ちてきたものは、大量の人の死体だった。


「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 2人は悲鳴を上げた。すると、ステージの裾から誰かが現れた。


「…お気に召してくれたようですね…。」


 その人は白い装束を着た、黒くて長い髪の毛の、薄紫の肌をした女性だった。


「…私は『ネクロフィリアの間』のフロアマスター、ネクロディーテ。…あなた、素質があるようですね。…ネクロフィリアになってみませんか?」


 ネクロディーテは足元にいた死体を抱き寄せて、その頭を撫でながら美桜に質問した。


 美桜はそう問われても何も答えらことができず、ガクガクと震えていた。ネクロディーテは残念そうな顔をして言った。


「…そうですか。…残念です。」


 彼女はそういうと静かに手を上げた。すると、足元の死体達が急に動き出し、這いつくばりながら美桜と沙羅に迫ってきた。


「お~ね~ちゃ~ん!!!!こ~わ~い!!!!」


 沙羅は涙目になりながら叫んだ。


 美桜は沙羅の手を取って走り出した。


「なんかここだけ趣向が違〜う!!!」

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