性癖の館～異常性癖からの逃走～

第1話 性癖の館

「あなた、露出狂になってみな〜い？」

「なるわけないじゃないですか！」

「そう。なら、お前達！やっておしまい！！」

　際どい水着を着た女の人がそう叫ぶと、無数の男達が姉妹に迫ってきた。

　その男達は、マスクとサングラスを身に着け、ロングコートの下に素肌という、露出狂のテンプレみたいな恰好をしている。

　ロングコートの前を広げながら追いかけてくる男達。

　姉は妹の手を引き、全速力で逃げ出した。

「お姉ちゃん、なんであの人達は裸なの？」

「ええっ！？…知らないよ！そんなの！私に聞かないでくれる！？」

　走りながらそう叫ぶ姉に、妹は不思議そうな顔をした。そしてその後、後ろから追いかけてくる男達に向かって妹は叫んだ。

「あなた達はなぜ裸なの？」

「コラ！そんなこと聞いちゃダメでしょ！？」

「だって、お姉ちゃんが『私に聞かないで』って言ったから…。」

　プンプンと怒る姉に、妹は怪訝そうな顔をした。

「「「「気持ちいいからだよぉ～っ！！」」」」

　男達は声をそろえてそう言った。

「あんたらも答えるなっ！！」

　姉は前を向いて走りながら、目を瞑って叫んだ。

　ここは性癖の館。

　いろいろな性癖を持った者達が集う場所。何も知らずにそこに迷い込んだ者達は、殆どがその館の住人の餌食となってしまう。

　そしてそのまま、その者達も、館の住人に仕立て上げられてしまう。

　そんな館である。

　そんな館に迷い込んでしまった姉妹がいた。

　姉の名前は美桜。妹は沙羅という。

　彼女達はなぜこの館にいるのか？それは少し前に遡る…。