第3話



「いらっしゃいませ」




いかにもお洒落で女の子が好きそうなイタリアンランチ。

いかにも恵が当てはまるイタリアンランチ。



…と、




「いかにも恵が好きそうな男がいるね。」


「えっ、バレた?なんでわかるのすごーい!(笑)」



わかるよどれだけの男を見てきたことか…(見させられたというか)



「オススメはこのランチだって、これにしよ!店内もご飯も映えるね!可愛いっ!」


「私は…」








「お決まりでしょうか。」


「あっはい、これと……」




「かしこまりました、少々お待ちください。」





「ね!カッコイイよねあの店員さんっ!どう思う?夏美!」


「どう思うって言われても、今時って感じだったような~」


「あー!ちゃんと見てないじゃん!」


「ごめんごめん、ご飯美味しそうだったから」


「そんなんだから好きな人もできないんだよ?そろそろ夏美も彼氏作ろうよ~そんなに興味ないの?」


「そんなこと言われても…」





私だって興味が無い訳では無い。

小さい頃、私は少女漫画が大好きでよく読んでいた。



イケメンで、優しくて、クラスの人気者の男の子がヒロインの王子様になる少女漫画。


誰もが夢見る物語は

女の私もちゃんとハマっていたさ。




でも、現実はそんな出会いもなく

現実は厳しく、容姿にも自信はない。





「恵は、可愛いからそうやって自信に溢れてるんだよ。羨ましいなほんと。」


「…夏美だって可愛いじゃん、私が女なら、夏美みたいになりたかったよ!」


「またそんな冗談ー…」


「冗談じゃないって!本当だって!それにそんなに自信ないなら私も協力するから、夏美自身が自分のこと可愛いと思えるまで女磨き頑張ろうよ!」





なんて女だぁ……


なんていい女なんだぁこの子はぁ……

あざとい女なんて言ってごめんよ…





「ありがと、頑張るよ」


「ほんと!?やったぁ!楽しみ!」




自分の事のように喜んで、

笑顔が可愛くて、いい匂いがして。


肌も白くて、自分に合う化粧をして。



恵も努力してこんなに綺麗にしてるんだな…



私は…


自分に甘いなぁ。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る